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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 土木施工単価 > 港湾工事で活躍する作業船

 

1.はじめに

港湾工事等に従事する作業船は,(一社)日本作業船協会が調査・発行している「現有作業船一覧2017」では6,277隻が掲載されている。その内の約90%を民間企業が保有している。
 
 

2.作業船の定義と分類

作業船とは,河川・湖沼,海岸,港湾工事および海洋土木工事などに使用する工事用船舶の総称である。海上石油掘削リグ,パイプ敷設船,砕氷船,海難救助船,消防艇なども作業船に分類される場合もあるが,(一社)日本作業船協会の作業船の分類(図−1)では除外した。
 

【図−1 (一社)日本作業船協会による作業船の分類】




 

3.作業船の概要説明

作業船の概要について図−1の順で説明する。
 
 

3.1 浚渫埋立用作業船

水底の土砂を浚渫(しゅんせつ)し揚土する作業船で,浚渫・運搬・揚土または土捨を一隻で行うものと,それぞれの作業に特化したものもがある。
 
 
a)ドラグサクション浚渫船
ドラグサクション浚渫船(トレーリングサクションホッパードレジャーともいう)は,航走しながら,船体から海底面まで下ろしたドラグヘッドにより海底の土砂をポンプで吸上げて船内の泥でい艙そうに積込み,運搬・揚土または土捨する作業船である。写真−1に4,792GTドラグサクション浚渫兼油回収船「清龍丸」を示す。同船は,全長104m,1,800kW×2基の推進器を持ち,浚渫深さ21m,泥艙容量約1,735㎥である。
 

【写真−1 ドラグサクション浚渫船】




 
b)ポンプ浚渫船
ポンプ浚渫船は,船尾に装備したスパッドを海底に突き刺し,これを中心に船体をスイングしながら海底を回転するカッターで切削し水と共にポンプで吸上げ,排砂管で排送する作業船である。国内の大型ポンプ浚渫船は,1970年代に建造されたものが主であり非自航船である。写真−2に8,000PS級ポンプ浚渫船「筑波丸」を示す。同船は,全長70m,排送距離5km,浚渫深さ27mであり,エンジン換装など大規模にリニューアルしている。なお,ポンプ浚渫船の呼称は,浚渫ポンプの馬力で表される(8,000PS級など)。
 

【写真−2 ポンプ浚渫船】




 
c)グラブ浚渫船
グラブ浚渫船は,グラブで海底の土砂をつかみ取り,船体に横付けした土運船の土艙に積込む作業船である。写真−3に27㎥級グラブ浚渫船兼起重機船「若鷲丸」を示す。同船は,全長60m,浚渫深さ60mである。グラブ浚渫船の呼称は,普通グラブの1回当たりの最大のつかみ量で表される(27㎥級など)。
 

【写真−3 グラブ浚渫船】




 
d)リクレーマ船
バックホウやグラブ等で土運船から土砂をすくいとり,コンベヤで揚土する作業船である。扱う土砂の性状は,ズリや砂などの比較的水分を含まないものが適している。写真−4に,揚土能力2,500㎥/hのリクレーマ船「第二東揚号」を示す。同船は,全長85m,10㎥バックホウ2台,揚土距離60m,揚土高さ20mである。
 

【写真−4 リクレーマ船】




 
e)バージアンローダ船
土運船内の土砂にジェット水を噴射・撹拌し,ポンプで吸込み,管路で排送する作業船である。写真−5に揚土能力600㎥/hのバージアンローダ船「第二高砂丸」を示す。同船は全長45m,排送距離1,000mである。扱う土砂は軟泥〜細砂が適している。
 

【写真−5 バージアンローダ船】




 
f)空気圧送船
バックホウで土運船から土砂をすくいとり,ホッパーに接続した空気圧送機で管路圧送する。写真−6に,揚土能力1,000㎥/hの空気圧送船「風神丸」を示す。同船は全長60m,圧送距離は,1,500mである。扱う土砂は軟泥が適しており,特に余水を少なくしたい場合に向いている。
 
空気圧送船は,空気圧送機に続く管路中に固化材(セメントスラリー)を注入し,管路圧送中に泥土と混合する管中固化工法にも使用される。写真−6は,管中固化工事を行なっている状況写真である。右からセメント運搬船,セメントスラリー製造装置等を艤装した台船,圧送ポンプ等を艤装した台船,空気圧送船,土運船,その手前が土運船用の押船である。
 

【写真−6 空気圧送船】




 

3.2 構造物築造船

防波堤や護岸・桟橋等を築造するための,揚重,築造,地盤改良工事に従事する作業船である。
 
 
a)起重機船
クレーン型式が固定,俯仰(ふぎょう),旋回があり,自航と非自航がある。写真−7に,ジブスライド格納式の4,000t吊り俯仰起重機船「洋翔」を示す。同船は,全長120m,最大揚程127mである。
 

【写真−7 俯仰起重機船】




 
b)クレーン付台船
係留装置付の台船に陸上クレーンを搭載したものである。写真−8に400t吊クローラクレーンを全長60mの台船に搭載したクレーン付台船「TOYO SIMBA」を示す。同船は,杭保持装置を装備し,フライングハンマーを使用して杭打設も可能である。
 

【写真−8 クレーン付台船】




 
c)杭打船
鋼管杭や鋼管矢板の打設作業を行う作業船である。近年では,複雑な組杭等に対応できる全旋回式が一般的であり起重機船との兼用船が多い。また,作業船の位置固定用にスパッドを装備しているものが一般的である。写真−9に,全旋回式杭打兼起重機船「鶴隆」を示す。全長70m,最大杭径Φ2,500mm,杭角度±25°の斜杭が打設できる。
 

【写真−9 杭打船】




 
d)コンクリートミキサー船
海上でコンクリートを製造し打設する作業船である。写真−10にコンクリートミキサー船「第17神昭」を示す。同船は,全長60m,コンクリート製造能力180㎥/hである。
 

【写真−10 コンクリートミキサー船】




 
e)ケーソン製作用台船(FD)
フローティングドッグとも呼ばれ防波堤,岸壁に使用される大型コンクリートケーソンを製作・進水させる作業船である。写真−11に,載荷質量6,000トンのケーソン製作用台船「大山1200-29」を示す。同船は,全長56m幅35mで沈降可能深さ19mである。
 

【写真−11 ケーソン製作用台船】




 
f)自己昇降式台船(SEP)
セップ(Self Elevating Platform)とも呼ばれ,プラットフォーム(台船)を,昇降用脚(レグまたはスパッドという)で,波の届かない所まで上昇,保持し,風や波浪による船体の動揺を減少させ,作業効率,施工精度を高める作業船である。杭の打設や洋上風車の設置工事等に使われる。写真−12に,「“SEP”くろしお」を示す。同船は,全長48m,昇降能力3,600トン,昇降用レグΦ2.1m×50m×4本である。
 

【写真−12 自己昇降式台船】




 
g)深層混合処理船
船体に装備した櫓(やぐら)を介して処理機(先端からセメントスラリーを吐出する多軸の攪拌軸を装備)を軟弱地盤中に貫入し,セメント系固化材と軟弱土を攪拌混合し強度増する作業船である。セメントサイロ,セメントスラリー製造装置,セメントスラリー圧送機を備えている。写真−13に,4.65㎡級の深層混合処理船「ポコム12号」を示す。全長60m,櫓高さ61.3m,改良深さ水面下52mである。
 

【写真−13 深層混合処理船】




 
h)サンドドレーン船(SD船)
軟弱地盤中にケーシングパイプを振動,圧入で貫入し,砂を投入し砂柱を造成する作業船である。地盤中の間隙水を砂柱のドレーン効果により排出し圧密改良する。写真−14に12連装SD船「第一光号」を示す。同船は,全長71m,リーダーの高さ海面上65m,最大打設深さが水面下50mである。
 

【写真−14 サンドドレーン船】




 
i)サンドコンパクション船(SCP船)
軟弱地盤中にケーシングパイプを振動,衝撃,圧力等で貫入し,砂を供給しながら,大径の締固砂杭を造成し,軟弱土の圧密および置換を行う。標準的なSCP船は,3連装で打設ピッチが変更可能である。写真−15に,3連装SCP船「ぱいおにあ第30フドウ丸」を示す。全長70m,リーダーの高さ最大水面上90m,最大打設深さが水面下70mである。
 

【写真−15 サンドコンパクション船】




 

3.3 作業補助船

主作業船に付属して用いられる作業船で,揚錨(ようびょう)船,引船,押船,港湾業務艇・交通船・警戒船および潜水士船がある。
 
 
a)引船
船舶の出入港,離接岸時の補助作業,非自航作業船,各種浮体等の曳航等に使用する。写真−16に,196GT,推進器2,640kWの引船「海興丸」を示す。
 

【写真−16 引船】




 
b)交通船
一般乗組員,関係者等を乗せ,作業船および作業基地まで輸送を行う。写真−17に,総トン数19トンの交通船「飛島」を示す。同船はアルミ船である。
 

【写真−17 交通船】




 
c)潜水士船
コンプレッサ等潜水に必要な諸器具を装備し潜水士や連絡員等を乗船させて,潜水作業を行う。写真−18に,13GT「第78武栄丸」を示す。
 

【写真−18 潜水士船】




 

3.4 運搬作業船

建設物資等を運搬する作業船で,ガット船,ガットバージ,石運船・捨石船,土運船,台船・運搬船(半潜水式運搬台船と,ランプウェイ式台船を含む),給水船,廃油回収船がある。
 
 
a)ガット船(グラブ付自航運搬船)
グラブで,資材を自船の船倉に積込み,運搬,陸揚げまたは現場での投入を行う。写真−19に,749GTガット船「第六十三さだ丸」を示す。同船は全長73.8m,最大積載荷重2,400トン,推進器2,206kWである。
 

【写真−19 ガット船】




 

3.5 調査船

海底の状況を測量する測量船,海底下土中にある機雷,爆弾等の危険物を検知記録する磁気探査船,海底の土質調査をするスパッド台船がある。
 
 
a)測量船
測量船は,各種測量に利用する船舶で,交通船と兼用される場合もある。写真−20に76GT測量船「海燕」を示す。同船は,双胴船で,マルチビームソナー,水中障害物探査装置,超音波式多層流速計を装備している。
 

【写真−20 測量船】




 

3.6 環境整備船

環境整備船には,清掃船,流出油を回収する油回収船およびオイルフェンス展張船がある。
 
 
a)清掃船
水域環境の保全用作業船で,水域の浮遊ゴミや流木等を取除く作業船である。写真−21に,198GT海洋環境整備船「海和歌丸」を示す。同船は,全長33.5mの双胴船であり流出油の回収,水質測量調査も行える。
 

【写真−21 海洋環境整備船】




 

4. おわりに

本稿では,港湾工事で活躍する作業船を紹介したが,遠隔離島や洋上風力設備用の多目的外洋作業船も多く建造され活躍している。今後も時代のニーズに合った作業船が活躍する事を期待する。
 
当協会ホームページでは,本稿で挙げた作業船の他にさまざまな作業船を紹介している。是非,ホームページにご来訪いただき,本稿では紹介することができなかった特殊船などをご覧いただきたい。
 
また,「1.はじめに」で紹介した「現有作業船一覧」は,国土交通省港湾局監修の元,隔年で発行しており「現有作業船一覧2019」は,2019年1月1日現在の作業船の状況をアンケート調査し,2019年8月に発行予定である。同一覧には,各種作業船の解説・説明・代表的な写真が掲載されており,各作業船の仕様が一覧表となっている。
 
※「現有作業船一覧2019」の購入には,2019年7月以降に,当協会ホームページの「各種出版物紹介」を開き,右上の「お申し込み」をクリックし,購入申込書をダウンロードして必要事項を記載の上,FAXにて注文いただける。
 
なお,「現有作業船一覧2019」の表紙の色は黄色を予定している。
 



 


写真提供
 
写真−1 中部地方整備局 ドラグサクション浚渫兼油回収船「清龍丸」
写真−2 東洋建設(株) ポンプ浚渫船「筑波丸」
写真−3 若築建設(株) グラブ浚渫船「若鷲丸」
写真−4 東洋建設(株) リクレーマ船「第二東揚号」
写真−5 りんかい日産建設(株) バージアンローダ船「第二高砂丸」
写真−6 りんかい日産建設(株) 空気圧送船「風神丸」
写真−7 寄神建設(株) 起重機船「洋翔」
写真−8 東洋建設(株) クレーン付台船「TOYO SIMBA」
写真−9 東亜建設工業(株) 杭打船「鶴隆」
写真−10 寄神建設(株) コンクリートミキサー船「第17神昭」
写真−11 (株)山本精工所 ケーソン製作用台船「大山1200-29」
写真−12 第一建設機工(株) 自己昇降式台船「SEPくろしお」
写真−13 五洋建設(株) 深層混合処理船「ポコム12号」
写真−14 日本海工(株)サンドドレーン船「第一光号」
写真−15 ( 株)不動テトラ サンドコンパクション船「ぱいおにあ第30フドウ丸」
写真−16 日本海事興業(株) 引船「海興丸」
写真−17 高松建設(株) 交通船「飛島」
写真−18 (株)青山海事 潜水士船「第78武栄丸」
写真−19 盛徳海運建設(株) ガット船「第六十三さだ丸」
写真−20 九州地方整備局 測量船「海燕」
写真−21 近畿地方整備局 清掃船「海和歌丸」
 
 
 

一般社団法人日本作業船協会  皿澤 薫

 
 
 
【出典】


土木施工単価2019春号



 
 

 

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