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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 土木施工単価 > 亜鉛めっき鉄筋を用いたコンクリート構造物の 設計・施工指針(案)について

 

1. はじめに

亜鉛めっき鉄筋は,コンクリート構造物中の鉄筋腐食問題の対策手法の一つとして,わが国では,1970年代から実用化が進められ,1979年に建築学会で,1980年には土木学会でこの鉄筋を用いた鉄筋コンクリートの設計施工指針(案)が制定された。また,1983年に日本コンクリート工学協会(当時)で制定された「海洋コンクリート構造物の防食指針(案)」の中でも,エポキシ樹脂塗装鉄筋や電気防食工法等とともに鉄筋防食の有効な方法の一つとして挙げられた。
 
亜鉛めっき鉄筋の特徴は,鉄筋表面に施工されている亜鉛めっき層が,空気,水,あるいは塩化物などの鉄筋腐食関連因子が直接,鉄筋に接しないようにする「保護皮膜効果」を有することに加え,皮膜に多少の傷ができても,亜鉛が「犠牲防食作用」を発揮することで,その部分の腐食を抑制することが期待できるところにある。しかし,その一方で,亜鉛は,高アルカリ性の環境において溶解することから,コンクリート中では皮膜が消耗することが危惧され,特に,海洋環境下のような過酷な塩害環境では亜鉛めっき鉄筋を使用した場合の耐久性が絶対的ではないとする意見も出るなどして,1990年に入ったころからは,亜鉛めっき鉄筋の海洋コンクリート構造物に対する適用について賛否が分かれ,わが国では一時期亜鉛めっき鉄筋が鉄筋腐食対策から除外されるような状況にまで至った。
 
一方で,近年,わが国におけるコンクリート構造物の設計体系が性能照査型に移行したこともあり,亜鉛めっき鉄筋のめっき厚がコンクリート中で減少する状況にあったとしても,供用期間中のめっき減少量を適切に予測し,構造物が十分な耐久性を保持できる期間を定量的に確認できるのであれば,構造物の設計耐用期間を設定することで,亜鉛めっき鉄筋を有効な鉄筋防食方法の一つとして用いることが可能になる,との知見も得られるに至った。また,亜鉛めっき鉄筋の施工実績も,現時点ではわが国では未だ少ないものの,海外では比較的多いことから,この鉄筋の適用範囲を明確にすることも可能と考えられた。
 
本指針(案)は, 一般社団法人日本溶融亜鉛鍍金協会から公益社団法人土木学会への委託研究業務に基づき平成28〜30年度に土木学会コンクリート委員会の2種委員会として組織された「亜鉛めっき鉄筋指針改訂小委員会(委員長:武若耕司)」における活動の成果を設計施工指針(案)として取りまとめると同時に,亜鉛めっき鉄筋の技術の現状を取りまとめたものである。
 
なお,土木学会コンクリート委員会では,平成15年1月に「エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針[改訂版]」を,平成20年9月に「ステンレス鉄筋を用いるコンクリート構造物の設計施工指針(案)」を発刊しており,この度(2019年3月),本指針(案)を発刊することで,3種類の耐食性鉄筋の指針の整備が完結するに至った。
 
 
 

2. 指針(案)の構成

本指針(案)の構成は以下のとおりであり,本編と付属資料からなっている。
 
本編
1章 総則
2章 亜鉛めっき鉄筋
3章 耐久性照査
4章 構造細目
5章 施工
6章 検査
7章 工事記録
 
付属資料
第1編 事例調査分析
第2編 亜鉛めっき鉄筋の諸性能
第3編 コンクリート中亜鉛めっき鉄筋の腐食
第4編 溶融亜鉛めっき鉄筋に関する規格の比較
 
 
 

3. 亜鉛めっき鉄筋の基本的性質

3.1 関連する用語の定義

本指針(案)では,議論を正確かつ可能な限り定量的に進めるために以下に示す用語を再定義した。
 
普通鉄筋:亜鉛めっきを施さない普通丸鋼や異形鉄筋。
亜鉛めっき鉄筋:普通鉄筋に亜鉛めっきを施した鉄筋。
めっき皮膜:亜鉛めっきによって鉄筋表面に形成された亜鉛および亜鉛と鉄との合金からなるめっき層。
めっき付着量:亜鉛めっき鉄筋の単位表面積当たりのめっき皮膜の質量。単位はg/㎡で表す。
めっき膜厚:JIS H 0401「溶融亜鉛めっき試験方法」5.3(磁力式厚さ試験)を適用して測定した亜鉛めっき鉄筋のめっき皮膜の厚さ。単位はμmで表す。

3.2 亜鉛めっきにおけるめっき皮膜について

溶融めっき法による場合,めっき皮膜は母材となる鉄筋が溶融亜鉛に浸せきされている間に鉄と亜鉛の合金反応で生成する合金層と,溶融亜鉛浴から引き上げる際に付着してくる亜鉛層から構成される。写真−1に溶融亜鉛めっき層断面の顕微鏡写真を示すが,鉄素地と亜鉛層(η層)の間に亜鉛と鉄からなる合金層(ζ層(鉄含有量6%程度),δ1層(鉄含有量7〜11%))が存在し,この合金層によって亜鉛と鉄が強く金属結合しているため高い密着性を有する皮膜となる。
 

【写真−1 めっき皮膜断面の顕微鏡写真】



3.3 亜鉛めっきを施す鉄筋について

亜鉛めっきの品質を確保するために,めっきを施す鉄筋について,
 
1)JIS G 3112「鉄筋コンクリート用棒鋼」に適合するものを原則とすること
2)適正なSi量を含有するものを用いること
3)曲げ加工を行っていないものを原則とすること
 
を明記した。やむを得ず曲げ加工を行った鉄筋に亜鉛めっきを施す場合は,あらかじめ責任技術者の承認を得なければならない,と規定した。
 
 
 

4. 亜鉛めっき鉄筋を用いたコンクリート構造物の耐久性照査の考え方

4.1 耐久性照査の基本

耐久性照査を行う体系を整備し,設計段階で亜鉛めっき鉄筋を用いるコンクリート部材の耐久性を推定することを可能とした。しかし,現時点では推定誤差は大きいと考えられ,亜鉛めっき鉄筋を使用する場合においても,コンクリート標準示方書に示される,一般的な環境において建設されるコンクリート構造物の最小かぶりおよび最大水セメント比に関する規定は満足しなければならないことを明記した。

4.2 亜鉛めっき鉄筋の鉄筋腐食に対する照査

塩化物イオンの侵入および中性化に伴う鉄筋腐食に対する照査は,亜鉛めっきの消耗膜厚の設計値Wdの亜鉛めっき消耗膜厚の限界値Wlimに対する比に構造物係数γiを乗じた値が,1.0以下であることを確かめることにより行うこととした。
 


4.3 塩化物イオンの侵入に対する照査

塩化物イオンの侵入に伴う亜鉛めっきの消耗膜厚の設計値は,
 
1)暴露試験または実構造物調査の結果
2)亜鉛めっきの塩化物イオンの侵入に伴う消耗速度式
 
のいずれかにより求めるものとした。亜鉛めっき鉄筋を使用したコンクリート構造物の塩害による劣化進行過程は図−1のように考えることができる。塩害環境下における鉄筋腐食を考えた場合,亜鉛めっきによって塩化物イオンの素地鉄筋への接触を保護することができるため,亜鉛めっき鉄筋の表面の塩化物イオン濃度が鉄筋の腐食発生限界塩化物イオン濃度を超えても素地鉄筋の腐食は発生しない。したがって,亜鉛めっき鉄筋を用いる場合の潜伏期は,供用開始から亜鉛めっきが消耗して素地鉄筋が露出するまでの期間と定めた。すなわち,通常の鉄筋を用いた構造物に比べて潜伏期が延長されることが期待できる。ただし,めっき膜厚はある程度のばらつきを持つため,潜伏期はめっき膜厚が最小となる部分のめっきが全て消耗した時点(一部分でも素地鉄筋が露出した時点)までと定めた。
 

【図−1 亜鉛めっき鉄筋を用いたコンクリート構造物の劣化進行過程の概念図】




亜鉛めっき鉄筋を用いたコンクリート構造物の進展期は,最初に素地鉄筋が露出して素地鉄筋の腐食が開始する時点から腐食ひび割れが発生するまでの期間とした。亜鉛は,鉄(鋼材)よりも卑(ひ)な金属であり,鉄筋に対する電気防食用の陽極材としても用いられる材料である。したがって,素地鉄筋が露出しているものの,素地鉄筋の周辺に亜鉛めっきが残存している状態であれば,亜鉛の犠牲防食作用により素地鉄筋の腐食速度は低減することで進展期の延長が期待される。しかし,現時点では亜鉛の腐食生成物による膨張が定量的に評価できていないこと,鉄筋露出後の犠牲防食作用の効果とその持続期間が明確でないこと,鉄筋が露出した時点で既に高濃度の塩化物イオンが鉄筋位置に存在している可能性が高いことなどから,進展期の定量的な評価は困難である。そこで,本指針(案)における耐久性照査では,亜鉛めっきの消耗による潜伏期の延長効果のみを考慮し,犠牲防食作用による素地鉄筋の腐食速度低下に対する効果は照査に含めないこととした。
 
塩化物イオンの侵入に伴う亜鉛めっきの消耗速度式を用いて亜鉛めっきの消耗膜厚の設計値を求める方法は,亜鉛めっき鉄筋周囲のpHおよび含水率RHを係数化した以下の式(2)を用いて求めてよいこととした。
 



αdについて,JISに規定されたセメントを用いる場合は,ポルトランドセメントおよび混合セメントのいずれのセメントも1.0を用いることとした。混合セメントを使用したコンクリートの場合,コンクリート中のpHがポルトランドセメントに比べて低下するため,理論的には亜鉛の消耗速度は小さくなると考えられる。しかし,現状では十分な知見が得られていないことから,安全側の照査となるようにαdを1.0とした。そのため,混合セメントの使用により亜鉛めっきの消耗速度が低下することを実験等で確認できた場合はαdを1.0よりも小さくしてもよい。一方,特殊なセメントや混和材料を使用し,コンクリート中のアルカリ総量が多くなる場合には,コンクリート中のpHが上昇するとともに,亜鉛の消耗速度が大きくなるおそれもあるため,実験等で確認し適切な係数に設定する必要がある。
 
βdについて,構造物が設置される環境として,高含水状態の環境と一般的な環境および乾燥状態の環境の二つに区分した表−1に示す値を用いてよい。図−2に示すように亜鉛めっきの消耗速度は設置する環境によって異なる。これは,亜鉛めっき鉄筋周囲の水分の影響を受けるためである。なお,本指針(案)では,乾燥状態にある環境のβdも一般的な環境と同じ0.7とした。現状で,屋外や海上大気などで実施した暴露試験のデータはあるものの,鉄筋周囲の水分状態が亜鉛めっきの消耗速度に与える影響について十分に把握できていないことから,安全側の照査となるようにβdを設定した。ただし,乾燥状態にあるコンクリート中の亜鉛めっきを詳細に調査した結果では,亜鉛めっきの消耗が確認されないケースもある。そのため,暴露試験や実構造物調査の結果に基づいてβdを適切に設定できる場合は,βdを0.7よりも小さくしてもよいこととした。 塩化物イオン濃度が亜鉛めっきの消耗速度に及ぼす影響を表す関数であるg(Cl)については,コンクリート中の細孔溶液の模擬溶液への浸せき試験結果を参考に定式化した式(3-1)および式(3-2)を用いてよい。
 


 
g(Cl)は,図−3に示す鉄筋位置の塩化物イオン量と亜鉛めっき鉄筋の消耗速度の関係から決定した。安全側の照査となるように最大の消耗速度となる飽和水酸化カルシウム(CH)水溶液中の結果を用いている。なお,本指針(案)においては,めっき膜厚が75μmおよび100μmの亜鉛めっき鉄筋を用いた場合の塩害照査の結果を例示しており,同条件で使用する場合はこれを用いて照査することも可能となっている。
 

【表−1 βd 値と環境条件の関係】


 

図−2 異なる環境に暴露されたコンクリート中亜鉛めっき鉄筋の消耗速度】


 

【図−3 鉄筋位置の塩化物イオン量と亜鉛めっき鉄筋の消耗速度の関係】



暴露試験および実構造物調査の結果に基づいて塩化物イオンの侵入に伴う亜鉛めっきの消耗膜厚の設計値を定める場合,実構造物中または暴露供試体における亜鉛めっきの消耗膜厚のデータの蓄積を行い,塩化物イオンの侵入に伴う亜鉛めっきの消耗速度を適切に評価しておくことが重要となる。なお,亜鉛めっきの消耗速度は炭素鋼の腐食速度と比べ非常に小さいが,亜鉛めっきの消耗速度は設置される環境条件によって異なるため,建設するコンクリート構造物と同様な環境条件下で評価された結果を用いる必要がある。
 
 
 

4.4 中性化に対する照査

中性化に伴う亜鉛めっきの消耗膜厚の設計値は,
 
1)暴露試験または実構造物調査の結果
2)亜鉛めっきの中性化に伴う消耗速度式
 
のうちのいずれかの方法で求めるものとした。
 
亜鉛めっきの中性化に伴う消耗速度式を用いて亜鉛めっきの消耗膜厚の設計値を求める方法は,亜鉛めっき鉄筋周囲のpHおよび含水率RHを係数化した式(4)を用いて求めることとした。
 


αdの設定は,塩化物イオンの侵入に伴う亜鉛めっきの消耗膜厚の設計値の算定の考え方と同じとした。
 
βdは,亜鉛めっきの消耗速度が亜鉛めっき鉄筋周囲の水分の影響を受けるため,構造物が設置される環境として,高含水状態の環境と一般的な環境および乾燥状態の環境の二つに区分した表−1に示す値を用いてよいこととした。
 
vlossについて,コンクリート中に埋設される亜鉛めっき鉄筋は,亜鉛めっき表面に保護皮膜を形成することで,高アルカリ性の環境であっても極めて小さい消耗速度となる。また,中性化深さが鉄筋腐食発生限界深さに達してからの亜鉛めっきの消耗速度は,コンクリートのpHが低下するためより小さくなると考えられるが,コンクリートが中性化した場合の,亜鉛めっきの保護皮膜となるCaHZn(ヒドロキシ亜鉛酸カルシウム)の挙動についてはこれまでに十分な知見が得られていない。そこで,本指針(案)では,暴露試験等の既往の試験データに基づいて,亜鉛めっきの消耗速度vlossを表−2に示すように,中性化の有無に関わらず1.0μm/年で一定とした。暴露試験や実構造物調査の結果によって亜鉛めっきの消耗膜厚のデータの蓄積を行い,中性化に伴う消耗速度を評価できる場合は,その結果に基づいて設定した値を用いてもよい。ただし,亜鉛めっきの消耗速度は環境条件によって異なるため,建設するコンクリート構造物と同様の環境条件下で評価された結果を用いる必要がある。なお,中性化深さが鉄筋腐食発生限界深さに達するまでの時間の算出方法については,示方書[設計編:標準]に準じることとした。
 

【表−2 亜鉛めっきの消耗速度vloss】




 

5. 亜鉛めっき鉄筋の加工

亜鉛めっき鉄筋の加工に際しては,めっき皮膜に損傷を与えないように加工することが求められる。設計図に曲げ半径が明示されていない場合は,コンクリート標準示方書[設計編:標準]7編に示されている曲げ内半径より小さな半径で加工してはならない,ことを規定した。なお,曲げ加工によって目視で確認できる有害な損傷が生じたと判断される場合は,ただちに補修を行うこととした。また,亜鉛めっき鉄筋の曲げ加工は常温で行うこととした。
 
亜鉛めっき鉄筋を曲げ加工する場合,めっき皮膜が引張に追従できず,亀裂,浮き上がり,剥がれ等の変状が生じる場合がある。折り曲げ鉄筋やハンチ,ラーメンの隅角部等の鉄筋の曲げ内半径は鉄筋直径の5倍以上とされており,めっき皮膜に有害な欠陥が生じることは少ないと考えられる。しかしながら,スターラップや帯鉄筋のフック等の加工を行う場合,曲げ内半径は鉄筋直径の2.5倍または2倍以上と小さいため,用いる鉄筋によっては変状が生じる可能性がある。既往の実験データによると,曲げ内半径が小さくなるにしたがい,めっき皮膜の欠陥が発生しやすくなる傾向を示す。一方,鉄筋径が大きくなるにしたがい,めっき皮膜に変状は発生しにくくなる傾向を示す。このように,鉄筋の種類や曲げ内半径により亀裂や剥がれ等の変状の発生状況は異なる。さらには,曲げ加工機の種類や曲げ加工速度および曲げ加工の方法によっても変状の発生状況は異なってくることから,曲げ加工後には目視による試験を行うこととした。なお,曲げ部だけでなく,鉄筋曲げ加工機と接触する部分もきず(疵)が発生する可能性があり,目視による試験を行わなくてはならない。曲げ加工後のめっき皮膜の状態について,めっき皮膜は健全な状態にあると判断される場合は補修の必要はない。しかし,めっき皮膜に目視で確認できる変状が生じている場合は耐食性の低下が懸念されることから,目視で確認できるレベルの変状に対しては全て補修を行うことを原則とした。
 
 
 

6. 検査

亜鉛めっき鉄筋の施工時のめっき皮膜の検査は,表−3によることを標準とした。亜鉛めっき鉄筋の施工時のめっき皮膜の検査は,皮膜に損傷がないかを目視により確認し,損傷が認められた場合は,適切に補修しなければならないとした。また,現場施工時に補修した箇所については,適切に補修されていることを目視により確認するものとした。
 

【表−3  亜鉛めっき鉄筋の施工時の検査】




 
 

7. 亜鉛めっき鉄筋を使用した実構造物の事例

委員会において収集した国内における溶融亜鉛めっき鉄筋の施工実績の一覧を表−4に示す。また,構造物と亜鉛めっき鉄筋の配筋の状況を写真−2,写真−3に示す。同表に示すように,国内では,塩害の厳しい沖縄県を中心に使用されている。実績は多いとはいえないが,これらの構造物において亜鉛めっき鉄筋は劣化の兆候もなく健全な状態で供用されている。
 

【表−4 国内における溶融亜鉛めっき鉄筋の施工実績】


 
 
【写真−2 海洋記念公園マナティ館(表中のNo.5)】


 
【写真−3 栽培漁業センター(表中のNo.7)】


 

8. あとがき

本文の冒頭にも示したように,わが国における亜鉛めっき鉄筋の実用化については,1970年代から進められてきた。しかし,その後,鋼材を腐食から守るべき亜鉛めっき層がコンクリート中で消耗していく可能性があるとの危惧が生じ,経年的な皮膜の状態変化を定量的に評価することは難しいとの理由で,「亜鉛めっき鉄筋使用の場合の構造物の耐久性は,確実には担保できない」とされるに至り,わが国では,一時期,この鉄筋は実用化の対象外となってしまった。
 
それでも,エポキシ樹脂塗装鉄筋等,他の補強鋼材に関連する指針改訂の状況も踏まえると,わが国における土木コンクリート構造物の設計体系が『性能照査型』が中心となっている現状においては,亜鉛めっき鉄筋もまた,防食層となるめっき層の防食性能とその限界を定量的に評価することができれば,防食鉄筋の一つとし復活させて有効に活用することは十分に可能となる。
 
また,これにより,1980年に制定され,その後,改訂がなされていなかった亜鉛めっき鉄筋指針の改訂の意義も明確になり,今般,40年の月日を経て,「亜鉛めっき鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針(案)」を改訂するに至った次第である。
 
ただし,指針に記載されている亜鉛めっき鉄筋活用のメリットを伸ばし,一方,デメリットをいかに改善していくかは,今後,亜鉛めっき鉄筋の製造者側ならびに,これを使用する側それぞれの自助努力に委ねられるところも大きいと考える。また,今回の指針の改訂で亜鉛めっき鉄筋に対する市場の受け止め方も大きく変わってくることは明らかであるため,製造者ならびに使用者(施工者)がそれぞれ,製造,管理,施工の各場面で,亜鉛めっき鉄筋の信頼を損なわないように,本指針を参考としながら,鉄筋の品質確保を怠らないことが肝心である。
 
 
 

9. 委員会委員の紹介および謝辞

本報告の著者4名以外の改訂委員会の委員の方々を以下に紹介し,各委員の方々にこの場を借りて改めてお礼を申し上げる。
 
幹事長:佐藤靖彦
 
幹事:宮里心一,山本貴士,齊藤成彦
 
受託側委員:綾野克紀,飯島 亨,上田隆雄,岡崎慎一郎,加藤絵万,上東 泰,合田寛基,佐伯竜彦,篠原 正,島多昭典,杉本雅文,高谷 哲,竹田宣典,鶴田浩章,富山 潤,中村英佑,二井谷教治,野田和彦,林 大介,堀口賢一,前田敏也,正村克身,松井 淳,松本浩嗣,皆川 浩,安中新太郎,山本 誠
 
委託側委員:清水義明,平川 剛,飯田勝典,大橋一善,佐伯総一郎,鈴木庸一,仲松庸一郎,今野貴史,平井哲夫,前山雅博,松浦 誠,村上慶弘,渡会竹志
 (以上,敬称および所属は省略)
 
 
 

鹿児島大学学術研究院 教授 武若 耕司       九州大学大学院 教授 濵田 秀則
鹿児島大学学術研究院 教授 山口 明伸  鹿児島大学学術研究院 准教授 審良 善和

 
 
【出典】


土木施工単価2020春号



 

 

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