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表面含浸工法と無機系被覆工法の複合工法(表面改質複合工法)による補修で、新設時の美観と耐久性にまで機能を回復し、既設水路を長寿命化させLCCを低減するもの。
水路補修においては、いくら表面を優れた材料で補修しても、劣化部を除去した後の下地が健全で強固でなければ長持ちしない。
本工法では、下地処理材および表面保護材として優れた効果を発揮するCSクリアー(けい酸塩系表面含浸材)を使用し、CSモルタルで被覆する際に、厚みを骨材の面(型枠面)までで留め、水路断面の減少も回避する。
品質は「農水省開水路補修マニュアル 無機系被覆材の品質規格値(案)」を満たしている。
本工法の確立を目的として、農林水産省農村振興局の農業農村整備事業である官民連携新技術研究開発事業において、3年間(平成27年度~平成29年度)の研究開発を実施した。
具体的には、被覆材の被覆厚さを従来よりも薄くしつつ、表面含浸材の表面改質効果で被覆材の接着安定性および耐摩耗性を向上することで、農業用コンクリート製開水路に適用可能かつ経済的な補修工法の開発であった。
本工法について、従来の一般的な無機系表面被覆工(被覆厚:不陸調整+5mm)と比較した効果を上図に示す。
従来工法と比較すると、PCMの被覆厚の薄肉化により、ゼロスパン現象が発生しにくく、表面含浸材と併用することで、既設水路躯体の母材強度向上により、接着安定性および耐久性が期待でき、浮きや剥離等も発生しにくい。
また、耐用年数20年が期待される一般的な無機系被覆工(被覆厚さ:不陸調整+5~10mm)に比べて、含浸材との併用効果が確認された本工法であれば、薄塗り仕様(不陸調整+3mm)で耐久性は同等以上と考えられる。
施工性と経済性などはほぼ同等であるが、速硬性PCMの使用により、施工時の急な天候の変化にも対応しやすく、また、低温環境下でも早期強度を得られることにより初期凍害を受けにくい利点があるという効果が得られた。
本事業で得られた成果の技術情報は、農林水産省のホームページで公開および農業農村整備情報総合センター発刊の季刊ARIC情報132号に掲載された。
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