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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 平成29年度決算検査報告における 公共工事関係の指摘事例

 
会計検査院は,日本国憲法及び会計検査院法に基づき,国や国が出資している独立行政法人等の法人,国が補助金等を交付している地方公共団体等の会計を検査しています。
 
このたび,その検査の結果を平成29年度決算検査報告として取りまとめて,30年11月9日に内閣に送付しました。平成29年度決算検査報告に掲記された総件数は374件であり,このうち指摘事項は359件,指摘金額は計1156億9880万円となっています。
 
なお,指摘事項には,「不当事項」,「意見表示・処置要求事項」及び「処置済事項」が含まれ,以下,①「不当事項」は,検査の結果,法律,政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項を,②「意見表示・処置要求事項」は,会計検査院法第34条又は第36条の規定により関係大臣等に対して会計経理や制度,行政等について意見を表示し又は処置を要求した事項を,③「処置済事項」は,検査において指摘したところ当局において改善の処置を講じた事項をそれぞれ意味します。
 
検査に先立ち29年9月に策定した「平成30年次会計検査の基本方針」では,重点的な検査項目の一つとして公共事業を挙げるとともに,東日本大震災からの復興に向けた各種の施策について,一定期間に多額の国費が投入されていることなどを踏まえて,各事業等の進捗状況等に応じて適時適切に検査を行うなどとしていました。そして,検査の結果,検査報告に掲記されたものには,国民生活の安全性の確保に関するもの,制度・事業の実施体制,効果的な運営等に関するもの,制度・事業の適正で公平な運用に関するもの,資金,基金等のストックに関するもの,予算の適正な執行,会計経理の適正な処理等に関するもの,環境及びエネルギーに関するものなどが含まれています。
 
指摘事項には,府省等別,事項別,観点別など様々な分類があり,公共工事関係の指摘として一意に選別や分類ができるわけではありませんが,本稿では55件を選別し(表−1参照),このうち36件について簡単に紹介いたします。なお,選別,分類,説明等の内容については筆者の個人的見解であり,会計検査院の公式見解を示すものではないことをお断りいたします。
 
また,金額は断りのない限り指摘金額であり,国庫補助事業に係る事案の指摘金額・背景金額は国庫補助金ベースで示しています。
 

表−1 平成29年度決算検査報告における公共工事関係の指摘事項件数・金額




 

1 計画に関するもの

これらは,適切に策定されていない計画に基づいて工事が実施されていた事態や,国と地方公共団体との間の費用負担が適切でなかった事態などです。
 
【意見表示・処置要求事項】
<農林水産省>
・危険地区の山地災害対策の強化に資する治山事業の計画の適切な策定,ソフト対策との連携等について
 
林野庁は,山地災害から国民の生命,財産等を守ることなどを目的として,森林管理局に国有林直轄治山事業等(以下「直轄治山事業」という。)を実施させている。また,都道府県も,国庫補助金等の交付を受けて,民有林における治山事業(以下「補助治山事業」という。)を実施している。森林管理局は,直轄治山事業の実施に当たり,5年を計画期間とする国有林野施業実施計画(以下「施業実施計画」という。)を策定することとなっている。また,都道府県は,補助治山事業の実施に当たり,翌年度に実施する補助治山事業に関する箇所別の事業実施計画(以下「事業箇所別実施計画」という。)を毎年度作成することとなっている。そして,いずれの計画も,治山事業を実施する箇所等や治山施設の整備計画を記載することとなっている。しかし,直轄治山事業において適切に策定されていない施業実施計画に基づき治山施設の工事が実施されている事態,補助治山事業において危険地区調査の結果を活用して総合的に判断して作成されたとはいえない事業箇所別実施計画に基づき予防治山事業に係る治山施設の工事が実施されている事態,また,直轄治山事業及び補助治山事業において市町村の地域防災計画におけるソフト対策との連携が図られないまま治山施設の工事が実施されている事態が見受けられた(直轄治山事業に係る背景金額411億2215万円,補助治山事業に係る背景金額156億4522万円)。
 
【処置済事項】
<農林水産省>
・農地海岸事業について
 
農地海岸事業において,防護区域内に農地が存在していなかったり,防護区域内の農地の全てが荒廃農地対策が講じられていない荒廃農地となっていたりしていて,沿岸域の農地とそこで展開される農業生産活動を守るなどする事業の趣旨に沿ったものとなっていなかった(1億4428万円)。
 
 
<国土交通省>
・地域活性化インターチェンジの設置費用の負担について
 
地域の活性化に寄与することを目的として設置される新直轄道路の地域活性化インターチェンジについて,地方公共団体が主体となって設置費用を負担することとされているのに,上り線側又は下り線側のどちらか一方のインターチェンジ本体の建設費を国が負担していた(1億4946万円)。
 
 

2 設計に関するもの

これらは,構造物に求められる所要の安全度が確保されていない状態になっていた事態や,経済的な設計を行っていなかった事態です。所要の安全度が確保されていない状態になっていた事態の中には,設計業者の成果品に誤りがあるのに,発注者が看過したことが原因となっているものが見受けられます。
 
【不当事項】
<総務省>
・地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)の交付を受けた道路新設改良事業の実施に当たり,擁壁工において設置したガードパイプについて,設計が適切でなかったため,歩行者等の転落を確実に防止できるとされている高さよりも低いものとなっていた(105万円)。
 
 
<農林水産省>
・農業用施設災害復旧事業の実施に当たり,ため池の堤体の余裕高が不足していて,設計が適切でなかったため,設計洪水時において所要の安全度が確保されていない状態となっていた(9207万円)。
 
・農業用施設災害復旧事業の実施に当たり,ため池堤体のブロック積擁壁の築造において,設計が適切でなかったため,擁壁の重量及び主働土圧の合力の作用位置が転倒に対して安全であるとされる範囲を逸脱していたり,滑動に対する安全率が許容値を大幅に下回っていたりしていて,所要の安全度が確保されていない状態になっていた(1207万円)。
 
・農山漁村地域整備交付金事業の実施に当たり,橋りょうの変位制限構造の設置において,既設の橋台等に取り付けられている固定支承と可動支承について,実際とは逆に設置されていると誤認していて,設計が適切ではなかったため,必要な設計遊間量が不足するなどしていて既設の支承の機能を損なっており,地震や温度変化等による伸縮の際に,支承や変位制限構造等が損傷して落橋等を防止できないおそれがある状態となっていた(653万円)
 
 
<国土交通省>
・社会資本整備総合交付金事業における道路事業の実施に当たり,橋りょうの新設工事において,斜角の小さい斜橋であったのに,支承部が変位制限構造と同等の耐震性能を有するよう設計されていることから,変位制限構造を設置しないこととしていて,設計が適切でなかったため,地震発生時において所要の安全度が確保されていない状態になっていた(3232万円)。
 
・河川等災害復旧事業の実施に当たり,復旧した護岸の基礎を保護するために敷設する根固工において,技術基準等により必要とされる間詰工を施工しないことにしていて,設計が適切でなかったため,護岸の基礎を洗掘から保護できない構造となっていて,工事の目的を達していなかった(2131万円)。
 
・社会資本整備総合交付金事業における公営住宅等整備事業の実施に当たり,15cm以上とすることとされている鉄筋コンクリート造の公営住宅の床の相当スラブ厚について,11cm以上を確保すればよいと誤認していて,設計が適切でなかったため,公営住宅等整備基準において必要とされる居室の遮音性能が確保されていない状態になっていた(1361万円)。
 
・河川等災害復旧事業の実施に当たり,被災した河川に近接している道路の石積擁壁を復旧するために築造した擁壁について,擁壁天端から道路幅員の部分を除いた擁壁背後の地形が上方に勾配のある傾斜地となっていたり,擁壁の前面が河川であることから残留水圧及び浮力を考慮する必要があったりしていたのに,これらを考慮しておらず,設計が適切でなかったため,所要の安全度が確保されていない状態になっていた(1000万円)。
 
・係船浮標の設置工事において,既設の3,000トン浮標を500トン浮標として再利用することが可能であったのに,このことについての検討が十分でなかったため,既設の3,000トン浮標を撤去して,500トン浮標を新設することとしていて,工事費が過大となっていた(883万円)。
 
 
【処置済事項】
< 東日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社,本州四国連絡高速道路株式会社>
・橋りょう部の舗装補修工事において施工される床版防水工の設計及び積算について
 
高速道路の維持管理等として,橋りょう部の舗装補修工事のうち舗装を基層まで打ち換える工事において,橋りょう部のコンクリート床版と舗装の間に防水層を設置する床版防水工について,特定の材料を使用しなければならない特段の理由がないのに,高価なシート系材料を使用することとして特記仕様書等に明記して設計したり,使用する材料が特記仕様書等に明記されていないのにシート系防水工の単価を選択するなどして積算したりしていた事態が見受けられた(3件 計1億1660万円)。
 
 

3 積算に関するもの

これらは,積算額が過大となっていて,交付金が過大に交付されていたり契約額が割高となっていたりしていたものです。
 
【不当事項】
<国土交通省>
・防災・安全交付金事業における河川改修事業の実施に当たり,架空送電線路の移設に係る補償費の算定において,鉄塔を建設するために必要な費用から,既存の鉄塔に係る減価償却の累計額を減価相当額として控除すべきであったのに,これを控除していなかったため,交付金が過大に交付されていた(178万円)。
 
 
【処置済事項】
<国土交通省>
・下水道事業により設置されるポンプの積算単価について
 
社会資本整備総合交付金事業等における下水道事業の実施に当たり,ポンプを新設又は交換する工事において,ポンプの積算単価の決定について,適正な市場価格を把握するための特別調査の活用が可能であったにもかかわらず,見積単価と同額を積算単価としていて,経済的な積算となっていなかった(1億1688万円)。
 
 
<西日本高速道路株式会社>
・安全巡視員の人件費単価について
 
新名神高速道路の建設事業において,工事中の事故の発生を防止するために配置されている安全巡視員に係る費用の積算に当たり,安全巡視員の業務内容等を踏まえた人件費単価を設定することなく,受注者から提出された協議書に記載された安全巡視員の配置に係る費用を基に算定していて,積算額が高額となっていた(4540万円)。
 
 

4 経理に関するもの

これらは,工事に係る契約や補助金の交付対象事業費の算定等の経理が適切でなかったものなどです
 
【不当事項】
<国土交通省>
・サービス付き高齢者向け住宅整備事業の実施に当たり,虚偽の内容の領収書等の写しを添付して支払っていない額を補助対象事業費に含めるなどして実績報告書を提出していたため,補助金が過大に交付されていた(5件,計2522万円)。
 
・防災・安全交付金事業における港湾改修事業の実施に当たり,既存施設の延命化のための改良を目的とした橋りょう延命対策工,橋面舗装改良工等について,国の負担割合を交付対象事業費の3分の1以内とすることとされているのに,誤って10分の5としていたため,交付金が過大に交付されていた(2378万円)。
 
・防災・安全交付金事業における特定構造物改築事業の実施に当たり,工事の一般競争入札において,誤って算定した最低制限価格により,落札者とすべき者を失格として排除していたため,契約額が割高となっていた(623万円)。
 
 
<環境省>
・循環型社会形成推進交付金事業の交付対象事業費の算定に当たり,現場管理費について,純工事費から特殊製品費の2分の1に相当する額を減額していなかったり,取扱要領に定められた所定の率と異なる高い率を用いて算出していたり,交付の対象とならない車庫棟,多目的広場等の用地に係る土地造成費を含めていたりしていて,交付金が過大に交付されていた(4件 計9272万円)。
 
 
【処置済事項】
<農林水産省>
・国営更新事業等の実施に当たり支障となる他目的使用施設の移転等に要する費用について
 
土地改良財産の更新整備に係る国営更新事業の実施に当たり,かんがい排水事業等の国営土地改良事業によって整備した用水路等の土地改良財産を他の用途又は目的に使用させ,若しくは収益させる他目的使用施設の移転等に要する費用について,国が施設等の移転等に要する費用を負担する補償施設には該当しないのに,これに該当すると誤認して,原形復旧に要する費用を負担していた(1353万円)。
 
 
<国土交通省>
・空港整備事業で照明施設を整備する場合における補助対象事業の範囲について
 
空港整備事業として実施された照明施設の整備工事において,補助の対象となる事業は照明施設の新増移設又は改良工事とされているのに,整備工事が完了し供用が開始された後の維持管理において使用する予備品等の購入費を補助の対象に含めて補助金が交付されていた(2140万円)。
 
 

5 維持管理等に関するもの

これらは,事業運営が適切でなかったり,施設等の維持管理が十分でないなどのため事業の目的に照らして適切ではなかったりしているものです。
 
【意見表示・処置要求事項】
<農林水産省>
・農業農村整備事業等により整備した小水力発電施設の売電収入に係る国庫納付制度の運用について
 
農林水産省は,農村における地域資源の潜在力を活用した再生可能エネルギーの利用を促進し,土地改良施設の維持管理費の負担等を低減するために,農業農村整備事業等により小水力発電施設等の導入を図っている。小水力発電施設のうち補助事業施設を管理する発電施設管理者は,売電収入等の収益が発電に関する管理運営に必要な費用(以下「発電施設運営経費」という。)及び発電施設管理者が管理する発電施設以外の土地改良施設の操作に必要な費用の合計額を上回る場合において,その差額に国庫補助事業の実施に係る国の補助率を乗じた額を国庫に納付することとされている。しかし,発電施設運営経費の妥当性が確認できない事態,発電施設運営経費のうち渇水準備引当金の取扱いについて公営電気事業に準ずるなどした見直しが行われていない事態,建設改良積立金の財政援助効果により農業農村整備事業等の枠組みにおける公平性を損なうおそれがあったり,建設改良積立金が発電施設の更新等に要する資金需要を勘案して計画的に積み立てられていなかったりしている事態が見受けられた(8億5842万円)。
 
 
<国土交通省>
・一般国道等の路面下空洞対策に係る費用の負担について
 
国土交通省は,道路の陥没の発生を未然に防止することを目的に,国が実施する直轄事業又は地方公共団体が実施する交付金事業として,陥没の原因となる路面下の空洞を早期に発見するための路面下空洞調査業務(以下「調査業務」という。)を実施している。一方,道路の路面下には,地方公共団体や民間企業等が道路管理者の許可を受けて上水道管,下水道管,ガス管等(以下「路面下占用物件」といい,路面下占用物件を設置している地方公共団体や民間企業等を「占用企業者」という。)が多数埋設されている。占用企業者は,路面下占用物件を常時良好な状態に保つように管理し,もって道路の構造又は交通に支障を及ぼさないように努めなければならないことなどが占用許可の条件とされている。しかし,調査業務において路面下占用物件が原因である空洞が一定割合で発見されていること,国土交通省が路面下占用物件の破損等が原因となる空洞や陥没の発生対策として調査業務を実施することが有効であるとしていること及び事業主体が既に直轄事業又は交付金事業として調査業務を実施していることに鑑みると,調査業務は占用許可の条件の適切な履行に資することとなることから,事業主体は,占用企業者に応分の負担を求める必要があると認められるのに,占用企業者に,調査業務に要した費用について応分の負担を求めていない事態が見受けられた(直轄事業に係る背景金額:25億1885万円,交付金事業に係る背景金額:7億7210万円)。
 
 
< 東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社>
・道路構造物の点検等について
 
3会社は,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構から借り受けた道路を常時良好な状態に保つように適正かつ効率的に維持,修繕その他の管理を行うこととされている。そして,3会社は,管理する橋りょう,トンネル等の道路構造物の状況を的確に把握して評価し,補修等を計画的に実施するために,構造物の点検等を実施している。しかし,点検困難箇所における点検が十分に行われていなかったり,点検・補修結果が適切に記録されておらず,変状原因の分析,維持管理計画等の立案等に十分活用できるものとなっていなかったりしている事態,点検の結果速やかな対策が必要と判定されているのに,補修等が実施されておらず,補修等が実施されるまでに長期を要する見込みとなっているなど点検結果が維持管理計画等に適切に反映されていない事態が見受けられた(東日本高速道路株式会社に係る背景金額:549億9812万円,中日本高速道路株式会社に係る背景金額:278億9064万円,西日本高速道路株式会社に係る背景金額:306億8117万円)。
 
 
以上に紹介した事例を含め,会計検査院の指摘事項等については,全文を会計検査院のホームページ(http://www.jbaudit.go.jp/)に掲載しています。過去の検査報告についても,データベースで検索できますので,是非御活用ください。
 
今後とも,検査活動に対する皆様の御理解を深めていただくため,検査の結果をできる限りわかりやすく公表するとともに,事態の再発防止のため説明会等の機会をとらえて検査結果について説明してまいります。
 
最後になりましたが,国や地方公共団体,国の出資法人等の職員の皆様及び公共工事に携わる関係者の皆様には,これらの検査報告事例を参考にしていただければ幸いです。
 
 
 

会計検査院 事務総長官房総務課 渉外広報室長 前川 猛(まえかわ たけし)

 
 
 
【出典】


 
積算資料2019年2月号


 

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