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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 施工者から見たCIMの問題点と対応策《その4》

 

株式会社 大林組 技術研究所
主任技師 古屋 弘

 

CIMの課題

これまで述べたように、CIMは建設プロジェクトにおいて有効なツールであり、設計・施工に大きな変革をもたらすものである。
現状では、まだ簡易で安価なシステムであるとは言いきれないが、多くのデータを迅速に処理し、「見える化」への貢献も大きい。
しかし、このような物理的な利点の反面、解決すべき課題も存在する。
 

(1) CIMの概念の共有

CIMに関しては数々の取り組みが2012年度より開始され、一部パイロット的な取り組みも始まりつつある。
しかし、CIMの概念は意外と共有されていないようである。
BIMとの大きな違いは、社会インフラの構築・メンテナンスに適用する点と発注形態にある。
特に後者に関しては、設計施工分離と入札制度に関わる事で、ここで論ずるには大きすぎる課題であるため割愛する。
ここでは前者を考慮した論理モデルを図-7に示すことにより、CIMの概念を少しは明らかなものとしたい。
図-7における重要な点は、Project DatabaseとAsbuild Databaseの分離である。
データは施工中に絶えず変化するものであるが、それらを闇雲に変更することは大いに混乱を招くこととなる。
変更権限の一元化はCIMの運用にあたって重要な点である。
また、3D化を伴う設計・施工データは肥大化することが予想される。
これらの運用にはデータハンドリングを充分考慮したデータベース構築が必要である。
 

図-7 CIMのイメージ

図-7 CIMのイメージ

(2) 品質管理への適用

CIMは3次元データの活用や施工シミュレーション、「見える化」による施工ミスや手戻りの防止などに目を向けられがちであるが、ここでは、CIMを用いることによる施工の高度化のうち、品質管理への適用に関して考察する。
建設現場における品質管理に関しては、例えば鋼材の管理をイメージした図-8(a)に示すような、降伏点があらかじめ分かっていて、それに対する安全率を考慮した許容応力度を設定し、その値を閾値として管理する手法はごく一般的である。
この手法においては、計測とデータ整理・(逆)解析の迅速な処理は非常に重要で、データベースを用いることが必須のCIMは、分析や検討にまさに活躍できる分野である。
近年のセンサネットワークやモニタリングシステムの高度化は、この部分をターゲットとしたものである。
 
一方、図-8(b)に示すような管理基準値が明確でないものに関しては、いくらICTによる多頻度の計測を行い、CIMによるデータベ−スを活用しても、その計測値に対応する基準値が明確でないために、その判断は技術者が担うこととなる。
ところで図-8(b)の左側の図は、一見すると管理基準値を適用して管理できそうであるが、劣化などの判定には、そもそもどのような指標を用いるのかを明確にする必要があり、その意味で管理基準が不明確であるという例示に用いた。
さらに、図-8(b)の右図は、盛土のように材料の性質が安定せず、ばらつきが大きい場合の概念図である。
このような対象物にはどのような管理も一見無意味に思われるが、この場合はICTを用い、多点計測(多くのデータを収集)を行い、その品質の安定化傾向をCauchyカーブなどの非線形性を利用して、安定化傾向を検討し、管理するなどといった方法も考えられる。
 

図-8 品質管理に対するCIM(ICT)の活用で考えなければならないこと

図-8 品質管理に対するCIM(ICT)の活用で考えなければならないこと


以上、CIMの適用に関する課題を施策面以外の点に関しまとめたが、本節の最後にCIMの活用における留意点を示す。
 
●CIMのデータはできるだけ初期に構築しておくことと、施工中はデータの取得、改変のタイミングなどのルールを事前に検討しておく
 
●せっかく取得した情報を有効に活用するために、設計や計測データを現在以上に有効活用し、数々の情報の組み合わせによる評価も考える
 
●新しいデータ、データ取得方法と活用には、新しい解釈や新しい基準値の適用も検討する
 
●データの取捨選択も時には必要:必要なデータ、保存すべきデータを考える(BIMの運用でTB(テラバイト)クラスのデータとなってしまった事例もある)
 
 

終わりに

図-9 情報化施工の進展イメージ

図-9 情報化施工の進展イメージ


建設分野における情報化施工は、CIMにより新たなステージに移行しつつある。
CIMは始まったばかりで課題は存在するものの、施工結果と計画値の定量的な評価、データ分析を多角的により多くのデータから行うことにより、新たな技術的見知の創出も期待される。
図-9には情報化施工の進展のイメージを示した。
計測管理だけでなくICTの活用の歯車が上手く回ってこそCIMへの昇華が達成される。
この時、われわれ技術者は、ICTの単なるユーザーになってはならない。
基本的なICTシステムのみならず工学的な分野のリテラシーの向上も常に心がけなければならない。
ICTに関しては、特にツール(PC、センサー等)や通信技術を中心に施工現場に急速に取り入れられるようになり、技術者にイノベーションをもたらしつつある。CIMも今後多くのアプリケーションやツールが提供されるであろう。
われわれはこれらの利点と考慮すべき点、および導入・運用コストなどを冷静に検討し、合理的な活用を考えていかねばならない。
 
 
 
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その1》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その2》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その3》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その4》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 

 

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