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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 阪神高速のネットワーク整備について ─淀川左岸線延伸部・大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北〜駒栄)の事業化─

 

はじめに

(1)近畿圏における高速道路整備の必要性

近畿圏の高速道路ネットワークには,今なおミッシングリンク(途中で途切れた未整備区間)が多数残っています。そのため,阪神高速の一部区間では交通が集中し,交通渋滞や交通事故の発生リスクが高くなる傾向にあり,また,大規模災害,事故・渋滞時等の代替路の確保(リダンダンシーの確保)も課題になっています。
 
阪神高速では,現在,ミッシングリンクの早期解消に向けて,2 号淀川左岸線(2 期)や6号大和川線(鉄砲〜三宅西間),また13号東大阪線(東行)から1号環状線(北行)へ接続する信濃橋渡り線の整備を進めており,新たに「一般国道1号淀川左岸線延伸部」および「一般国道2号大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北〜駒栄(こまえ))」の整備が事業化することになりました(図− 1)。
 

【図− 1 阪神高速のネットワーク】




 
この新規2路線は,前述の建設中路線とともに,近畿圏のミッシングリンクを解消し,さまざまな課題を解決する大きな整備効果が期待されています。
 
本稿ではこれら新規2路線について紹介します。
 
 

(2)新規2路線の計画

淀川左岸線延伸部は,政府の都市再生プロジェクトとして位置づけられた「大阪圏の新たな環状道路(大阪都市再生環状道路)」の一部を構成する道路で,門真市大字薭島(ひえじま)から大阪市北区豊崎を結ぶ延長8.7kmの自動車専用道路です。第二京阪道路と接続することにより,大阪ベイエリア(阪神港・夢洲(ゆめしま)・咲洲(さきしま)地区)と名神高速道路などの主要な高速道路を結びます(図−2)。
 

図− 2 大阪都市再生環状道路と淀川左岸線延伸部




 
当該区間は,トンネル構造(シールドトンネル,開削トンネル)が主であり,一部区間において大深度地下空間を利用した整備を計画しています。
 
大阪湾岸道路は,神戸淡路鳴門自動車道(垂水JCT)から関西国際空港(りんくうJCT)までを結ぶ延長約80kmの自動車専用道路です。現在は,神戸市中心部で断続している状況ですが,今般事業化された大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北〜駒栄)の整備により,まずは5号湾岸線と31号神戸山手線とが接続されることになり,神戸都心部における東西交通の高速道路ネットワークの機能がさらに向上します(図− 3)。
 

図− 3 大阪湾岸道路の整備状況




 
 

淀川左岸線延伸部の概要

(1)地域の課題

大阪都市圏の現状のネットワークは,大阪都市圏の環状線からの放射道路を外周でつなぐ高速道路がないことから,通過するだけの車両が都心部(環状線等)に集中し混雑を招いており(図− 4),高まるニーズに対して高速道路の交通容量(車線数)が不足しています。
 

図− 4 大阪都市圏における阪神高速道路の渋滞状況




 

(2)構造形式

淀川左岸線延伸部は,すでに事業中の淀川左岸線から近畿自動車道路および第二京阪道路の接続部である門真JCT につながる自動車専用道路(道路規格:第2種第2級,車線数:4車線,設計速度:60km/h)です。
 
淀川左岸線延伸部は地下空間を活用したトンネル構造を主体としており,全長約8.7kmのうち約7.6kmがトンネル構造,うち約3.7kmが大深度地下空間を活用します(図− 5)。
 

図− 5 淀川左岸線延伸部の構造形式




 
トンネル構造の内訳は,豊崎側の開削トンネル区間が約1.0km,シールドトンネル区間が約5.8km,鶴見側の開削トンネル区間が約0.8kmで,残る約1.1kmの内訳は,掘割区間が約0.2km,橋梁区間が約0.9kmとなっています。
 
本項では,各区間の構造形式および大深度地下空間活用に関する概要について述べます。
 
a)開削トンネル区間(豊崎側)の構造
豊崎側の開削トンネルは,街路の都市計画道路下を活用する計画ですが,その幅員が狭いことから上下二層構造となっています。
 
鶴見側の開削トンネル区間については,花博通(都市計画道路:都島茨田線)の道路区域下の空間を利用しトンネルを横に並列させる計画としています(図− 6)。
 

図− 6 開削トンネル区間(豊崎側・鶴見側)




 
b)シールドトンネル区間の構造
豊崎側の開削トンネル区間と連続していることから,豊崎側のシールドトンネル区間についても上下に並ぶ配置で計画されており,大深度地下空間に近づくにつれて横配置に移行する線形としています(図− 7)。
 

図− 7 シールドトンネル区間(豊崎側〜大深度)




 
c)掘割および橋梁区間の構造
鶴見からさらに東の門真までの区間は,都市計画道路の幅を活用した掘割構造と橋梁構造が計画されており,西日本高速道路(株)が管理する近畿自動車道路および第二京阪道路に接続する計画です。
 
d)大深度地下空間の活用
大深度地下空間とは,大都市において一般的な高層建築物の基礎などの建設に使用されない地下の空間を,道路・鉄道など公共的な施設の設置のために活用する地下空間のことを指します。大深度地下空間の深さ方向の範囲は,?地下室の建設のための利用が通常行われない深さ(地下40m以深)?通常の建築物の基礎の位置のための利用が通常行われない深さ(支持地盤上面から10m以深)のいずれか深い方で設定されるため,淀川左岸線延伸部では約70m以深として設定しています(図− 8)。
 

図− 8 大深度地下空間の活用




 
また,通常利用されない大深度地下空間において,道路整備に必要な空間だけを都市計画道路の「立体的な範囲」として都市計画に定めています。これにより,地上面および地下空間※を従来どおり利用することができます(図− 9)。
 

図− 9 大深度地下空間と都市計画道路の立体的な範囲




 
トンネル部では,一般的な高層建築物(50階建て程度)の建築物荷重を想定しているため,通常の建築物等の建築には影響ありません。
 


 
※ 地上面から都市計画道路の立体的な範囲までの地下空間
 
 

(3)整備効果

淀川左岸線延伸部は,ミッシングリンクの解消を行い,都心に流入する交通を周辺に分散させることにより,都心部の渋滞解消・緩和,利便性の向上,事故および災害時等の迂回機能の確保,臨海部と内陸部の物流ニーズ等に対応し,関西経済の活性化の支援等を目的として計画された道路であり,整備することにより,以下に示すような効果が生じるものと考えています。
 
a)都心部の道路交通の円滑化
大阪都市圏の外周をネットワーク化することで都心部へ通行する必要のない交通を外周に転換し,交通を円滑にします(図− 10)。
 

図− 10 大阪都市再生環状道路による改善イメージ




 
b)迂回機能の確保
高速道路ネットワークの一部として,関西の観光周遊ルートや災害時の避難・救援活動を支える広域的な輸送ルートとしての機能が期待されます。また,並行する阪神高速大阪港線や東大阪線の規制時の迂回路としての機能も期待されます(図− 11)。
 

図− 11 阪神高速大阪港線通行止め時の代替ルート




 
c)新たな道路ネットワークによる臨海〜内陸
部の連携強化ウォーターフロント開発や企業立地の促進が図られている臨海部と内陸部の間の物流ネットワークが新たに整備されることで,速達性が向上し,物流の効率化に寄与します(図− 12)。
 

図− 12 臨海部⇔内陸部の交通容量補完イメージ




 

大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北〜駒栄) の概要

(1)地域の課題

大阪湾岸道路は,国際コンテナ戦略港湾である阪神港,大阪・関西・神戸の三空港等の重要な物流拠点を連絡する道路として都市計画決定がなされていますが,神戸市六甲アイランド以西で未整備区間が残っているため,阪神臨海地域の東西交通を担う3号神戸線や国道2号等では,慢性的な交通渋滞が発生しています。
 

写真− 1 混雑する3 号神戸線(京橋付近)




 
なかでも3号神戸線の渋滞損失額は全国の都市高速道路の中でワースト1位(表−1)となっており,沿道環境改善の観点からも,東西交通の分散化を図る必要があります。
 

表− 1 全国都市高速道路の渋滞損失時間




 
また,近年,阪神地域では臨海部や新名神高速道路沿線に物流施設の立地が進んでいるほか,阪神港におけるコンテナ取扱貨物量も増加傾向にあり,特に神戸港では平成28年に阪神淡路大震災以降の最高値を達成し,横浜港を抜き全国2位の取扱貨物量となっています(図− 13)。
 

図− 13 阪神港におけるコンテナ貨物取扱量の推移




 
また,コンテナ取扱貨物量の増加に伴い,阪神港内各地区や神戸港以西の生産圏との横持ちの物流が増加しているため,高速道路ネットワークの充実によるさらなる物流の効率化も課題となっています。
 
 

(2)構造形式

大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北〜駒栄)は,5号湾岸線の終点(神戸市東灘区)から31号神戸山手線(神戸市長田区)を結ぶ延長約14.5kmの自動車専用道路(道路規格: 第2種第1級, 車線数:6車線,設計速度:80km/h)です。当該区間の大部分は橋梁構造(陸上約8km,海上約7km)を採用しており,神戸港の主要航路を跨(また)ぐ区間では,現在,主径間長約600mなどの長大橋梁3橋を計画しています(図− 14)。
 

図− 14 大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北〜駒栄)の構造形式




 
具体的な構造形式等については,今後,調査・設計を進めて最終決定する予定ですが,特に長大橋梁の計画にあたっては,架橋地点が日本を代表する国際港都“神戸”の臨海部に位置することから,「みなと神戸」にふさわしい世界に誇れる景観を創造することが求められており,重要な検討要素の一つとなっています。
 
 

(3)整備効果

本事業の整備により,阪神臨海地域の東西交通が分散化されることで,既存路線の交通渋滞や沿道環境などの交通課題を緩和し,阪神港内の交通の円滑化や阪神港と背後圏とのアクセスの向上が図られるため,物流の効率化が期待されます(図−15)。
 

図− 15 時間短縮効果の事例




 
また,災害や事故など緊急時における代替ルートの確保が可能となり,例えば,交通事故等による3号神戸線通行規制時には5号湾岸線へのルート変更が容易になるため,一般道路への交通集中の緩和が期待されます(図− 16)。
 

図− 16 代替ルートの選択イメージ




 
さらには,神戸市ではポートアイランドにおいて先端医療技術の研究開発拠点を整備し,産学官連携により,21世紀の成長産業である医療関連産業の集積を図る「神戸医療産業都市」を推進中であり,進出企業は年々増加しています。本事業の整備により,東西へのアクセス性が向上し,さらなる企業進出の加速など地域経済の活性化が期待されています(図− 17)。
 

図− 17 先端医療技術の研究開発拠点(ポートアイランド)




 
 

おわりに

新規事業化された淀川左岸線延伸部および大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北〜駒栄)はともに,近畿圏のネットワーク強化の観点から非常に重要な役割を担っております。
 
工期の遅延リスクとなりやすい用地買収が最小限になるようなルート選定等が行われていますが,大深度地下空間でのトンネルや海上部での長大橋構築などをはじめとした,非常に難易度の高い施工条件のもとで事業を進める必要があります。これまで阪神高速が培ってきた技術力を活かし,共同事業者である国等との調整を行いながら,本路線の早期完成に向けて努力していきます。
 
 

阪神高速道路株式会社 計画部 計画調整課 
大池 岳人(おおいけ たけと) 
藤林 健二(ふじばやし けんじ)
肥田 肇 (ひだ はじめ)   

 
 
 
【出典】


積算資料2017年11月号



 

 

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