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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > ICT建築土工への取り組み−掘削BIMモデルとICT建機のデータ連携−

 

はじめに

国土交通省は平成30(2018)年4月に「営繕工事において施工合理化技術の更なる活用推進〜i-Constructionの建築分野への拡大を踏まえて活用方針を策定〜」を報道発表した※1。報道発表では「施工BIM(試行)」、「情報共有システム(活用)」、「ICT建築土工(試行)」、「電子小黒板(試行)」の4つの施工合理化技術が示されている。
 
今回、建築工事において掘削BIMモデルとICT建機が連携した「ICT建築土工」に関する取り組みを試行する機会があった。そこで本稿ではBIMモデルとICT建機とのデータ連携の話題を中心として、取り組みの概要を報告する。
 
 

ICT建築土工の概要

「ICT建築土工」は「ICT土工の省力化施工技術を建築工事における根切り・土工事に活用するもの」※2と定義され、掘削工事などでICT建機を活用し、土工事の合理化を推進しようとするものである。
 
ICT建機にはMG(マシンガイダンス)とMC(マシンコントロール)の2種類がある。MGはオペレーターが設計面の横断形状を常にキャビン内のモニターで確認しながら作業を進めるため、設計面付近の仕上げ精度はオペレーターの技量に左右される。一方MCでは設計面に接地した段階で作業機自体に制御(コントロール)がかかり、設計面を侵さず計画したとおりの掘削工事ができる。
 
ICT建機(MG/MC)のオペレーターは、写真-1に示すようにモニター画面に表示された掘削平面や掘削レベルを参照し掘削を進めるため、従来のように掘削範囲や掘削レベルを都度確認する作業員を配置する必要がない。いずれの場合でもICT建機がGNSS(衛星測位システム)により捕捉した座標を読み取り、正確に自分の位置を把握することで制御している。そのためICT建機にはGNSSアンテナ、高精度センサ付油圧シリンダーやIMU(慣性センサー)を搭載している。
 

写真-1 オペレーター目線




 
MGやMCを機能させるためには掘削形状(位置・深さ)に関するデータをICT建機にインプットさせる必要がある。専用のソフトウェアで制御されているため、連携するデータ形式により対応できる内容が異なる。
 
2次元の掘削図データしか用意できない場合は、MCを活用しても水平方向の位置は無制御となり、垂直方向のみあらかじめ設定した高さ(GL/FL基準)で作業機は制御される。MGではモニター画面に表示のみとなる。
 
3次元データ(掘削範囲と掘削レベルを数値化)とICT建機(MG/MC)を連携させると、オープンカットの整形など3次元で座標が変化する面にも制御がかかり、より均一的な掘削の出来形になる。
 
 

BIMモデルとICT建機の連携

建築工事においてICT建機を3次元座標で制御するためには、従来と同様に総合建設会社(ゼネコン)が基礎躯体図をベースとして2次元の掘削図の作成と同時に掘削BIMモデルを準備してICT建機側のソフトウェアとデータ連携する必要がある。
 
今回の試行では当社と機器等の提供者間で、連携に必要となるBIMモデル作成の標準化を写真-2に示すように行った。ICT建機(MG/MC)が必要とするデータはTINデータ※3のため、BIMモデルと連携する際は、データ形式の違いに配慮する必要がある。
 

写真-2 連携の手引き




 
以下にその要点を示す。
 
①データはサーフェスにする
②データは土工の仕上面のみにする
③側面は外側に10mmの傾きを持たせる(図-1)
④法の勾配は70度以下にする
⑤一番底の面をつくる
⑥杭頭、構台杭などの掘削に関係ないデータは削除しておく
⑦尺度はメートル基準にする(土木ではmm単位で作成しない)
 
BIMモデルからTINデータへの変換作業は施工面の面積、変化点数によって前後するが、平均的に1週間程度の作業工程を見込む必要がある。
 

図-1 側面は傾きをつくる




 

BIMを活用したICT建築土工

(1)掘削工事概要
敷地条件:GNSS(GPS等)の捕捉が難しい市街地(写真-3)
工事期間:2018年9月〜11月
掘削面積:約3,300㎡
最大掘削深さ:GL-8.5m
ICT建機:コマツ製。BIMモデルと連携することでMCを適用
その他:現場打杭+鋼管杭+山留
 

写真-3 現場の状況




 
(2)作業の進め方
当社で図-2に示す掘削BIMモデルをRevitにて作成した。作成期間は約2週間である。BIMモデルはデータ連携だけでなく、職員や作業員との情報共有にも活用するため、杭や構台杭なども入力した。
 

図-2 掘削BIMモデル




 
作成したBIMモデルは、当社でサーフェスのみをDWG形式でコマツカスタマーサポート株式会社に渡し、データ変換した。変換作業は2日ほどで完了した。
 
掘削工事にICT建機を使用するため配慮したことは、構台を架設する作業工程を掘削が完了してからにしたことである。ICT建機がGNSSから現在地を取得する必要があるため、構台が先に架設されると電波が届かなくなり、作業が進まないことによる。また、毎日の作業開始前にはICT建機のバケットの刃先の座標位置を確認した。基準点は従来通りの現場の逃げ杭があればよい。
 
(3)効果と今後の課題
掘削の出来形はバックホー各作業機のシリンダーを自動制御しているため、掘りすぎることがなく図-3に示すBIMモデルと同等の出来形となった(写真-4)。掘削作業後に測位誤差を確認したところ、水平精度で5mm〜10mm、垂直精度で10mm〜 15mmとなった。砕石敷き作業は従来と同様に作業員が敷き均しを行い、誤差を調整した。
 

図-3 掘削出来形(BIM)




写真-4 掘削出来形(実際)




 
掘削の作業開始前にBIMモデルの作成などの作業手間が増えているが、掘削工事中は以下の効果が確認できたことから、「ICT建築土工」の適用を今後も進めることができると考えられる。
 
①職員による掘削位置出しや床付面のレベル確認が不要
②バックホーの手元作業員が不要となり、重機との接触事故が防止
③手元作業員が不要となることでバックホーのオペレーターの待ち時間がなくなり、作業の効率が向上
④掘削BIMモデルをタブレット端末で閲覧し、作業員間での出来形イメージを共有することで意思伝達が効率的
 
今後の課題としては近隣で高い建物に遮蔽されGNSSが捕捉できないことで位置情報の精度が確保できないことが挙げられる。どの場所でも適用することができないため、「ICT建築土工」の採用を計画する際は、事前にGNSSの捕捉状況を確認してから採用の可否を考える必要がある。
 
 

おわりに

土木分野におけるICT土工の取り組みに関してはさまざまな報告がなされているが※4、民間工事が中心である建築分野ではこれから適用の検討が加速すると思われる。
 
 
謝辞
今回の取り組みでは、コマツカスタマーサポート株式会社にお世話になりました。また当社関東支店の遠藤聡作業所長には有意義なご助言をいただき、お世話になりました。御礼申し上げます。
 
 


※1 国土交通省HP、「ホーム>報道・広報>報道発表資料」平成30年4月12日
※2 ※1の【参考】p1に掲載
※3 TIN(ティン、triangulated irregular network)は不規則三角形網のことで、三角形の網からなるデータのこと
※4 例えば、以下の事例が報告されている。株式会社大林組土木本部本部長室情報技術推進課、「i-Constructionの先進的な取り組み事例」、建設ITガイド2018、p.66-69、一般財団法人経済調査会、2018.2
 
 
 

前田建設工業株式会社 建築技術部 TPM推進グループ グループ長 曽根 巨充
主任 藤井 周太

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集2「進化するBIM」



 

 

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