- 2019-04-29
- 積算資料
はじめに
本調査も今年で13回目を迎えることができました。隔年で実施していることから,通算して過去26年間の推移が把握できる貴重な資料となっております。
まず概要としては,保有量は過去最大の第12回調査(平成28年度)を上回り,賃貸収入も増加するなど,この2年間で効率の良い機材保有へと体質改善されてきたように思えます。
さて,軽仮設機材の当リース・レンタル業界を展望しますと,年々高まる軽仮設機材の需要は今後も続いていくことが推測されます。当面は2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催伴う競技施設建設や新規・補修を含む交通インフラの整備をはじめ,頻発する異常気象への事前対応や想定外の災害に迅速な復旧を行うためにも,軽仮設機材が大いに必要とされることでしょう。
また,大都市圏と地方圏の建設需要には格差が顕著になっているものの,メンテナンス工事等も含めたインフラ整備や維持管理,災害対応に対しても需要は今後益々増加傾向にあると考えらます。
今回は,保有量調査と並行して,総務企画部会企画調査委員会では,仮設業界の現状調査の一環として「運輸業務の現状と問題点に関する実態調査」を実施致しました。
これらの調査結果は本協会会員のみならず,毎回,多方面からの関心も高くなっており,総務企画部会としては,これからも業界発展のため,調査を継続していく所存です。
第1部 軽仮設材の保有量に関する実態調査
1 調査の目的
平成5年度に国土交通省の指導を受け,その後独自に隔年ごとに「軽仮設材の保有量に関する実態調査」を実施しており,今回で第13回の調査となる(前回は平成28年6月実施)。
各協会員の軽仮設材の保有量を調査することで,現状認識や今後の営業戦略などの基礎資料となることを目的とする。
2 調査の概要
(1)調査内容
協会加盟の会員企業に対して,下記の内容について調査を実施した。
1.企業概要等
● 企業名等 ● 資本金
● 売上高 ● 記入者名等
● 事務所数 ● 従業員数
2.軽仮設材保有量
● 枠組足場類(枠組足場,くさび式足場,手摺先行部材等,長尺足場板,吊り足場,移動室内足場,脚立)
● 低層住宅用足場(一側足場)
● 型枠類(鋼製型枠)
● 支保工類(パイプサポート,システム支保工,四角支柱,支保梁,大型支保工)
● パイプ類(丸パイプ,角パイプ,クランプ類)
● その他(仮囲い,メッシュシート,安全ネット,防音パネル,防音シート,仮設ハウス,備品,敷鉄板,保安機材)
● 上記に属さない機材(台車,レンタル用パレット,その他)
3.メーカーに対する要望
4.本調査アンケートに対するご意見,ご感想
(2)調査方法
調査票(アンケート)を郵送する書面調査。
(3)調査時期
調査票発送:平成30年6月1日
調査票回収:平成30年8月17日
集計・分析:平成30年8月20日〜9月20日
(4)調査対象企業数と回答企業数
調査票発送企業:89社
回答企業数 :79社
回収率 :88.8%
3 総 括
(一社)軽仮設リース業協会では2年ごとに保有量調査を実施しているため,ここで過去の調査結果との比較を行う。継続調査の観点から,軽仮設材の貴重な資料となることを目標とし,今後も過去に実施した調査との比較は続けていく。
過去に実施した調査結果と今回の調査結果を総括集計したものを表-1に示した。また,総括集計した結果,次のような結果となった。
① 会員数89社が調査票発送企業数であり,前回平成28年度調査と比較すると,調査先の件数は微減となっている。
② 賃貸収入は前回平成28年度調査と比較すると3.0% の増加となった。
③ 仮設材保有量は,過去最大であった平成28年度調査結果は6,209億8,300万円に対して,平成30年度調査結果は6,308億9,300万円※であった。比較すると1.6%の増加という結果になった。
※ 今年度より上記に属さない機材のうち「台車」・「レンタル用パレット」を除いた「その他」の保有量を含む。
④ 全社の社員数は,今回の平成30年度調査結果において14,034人となり,過去最大であった平成28年度調査結果の13,022人に対し7.8%増となった。
表-1内の軽仮設材保有量,賃貸収入,及び建設投資の総計(名目値)及び新築住宅着工数の推移を図-1に示した。
これを見ると,建設投資は,平成5年度81兆6,933億円から平成22年度41兆9,282億円までは右肩下がりの推移となっているものの,平成30年度(見通し)では57兆1,700億円と平成24年度以降は連続で上昇し続けている。軽仮設材保有量は,平成12年度5,092億2,800万円を最大に平成18年度4,391億5,500万円まで下降していたものの,平成30年度では6,308億9,300万円と平成20年度以降は連続で上昇し続けている。
年間賃貸収入は,平成30年度は2,040億5,400万円となり平成28年度と比較して3.0%増となった。一方,新築住宅着工数は0.9%減の見通しとなっている。
現在,オリンピック需要が本格化しており,建築,土木工事における軽仮設材の出番は,その機会のピークにさしかかっている。協会会員各社において,今回の調査結果が今後の営業活動等の参考になればと考えている。
(本文で使用した参考文献等)
● 平成30年度建設投資見通し(国土交通省)
● 建築着工統計調査(国土交通省)
4 機材の保有状況
(1)全体概要
会員企業各社について,軽仮設材保有地域別に仮設材保有量を調査した結果を表-2,図-2に示す。集計は,軽仮設材の保有地域別の区分で行った(以下,第4節は同じ区分で集計を行った)。
仮設材保有量では前回調査結果と比べ,東北,関東,北信越,関西,九州・沖縄で減少したが,全国計では若干増加した。
今回の結果は,前回調査までの枠組足場類のうちくさび式足場における低層住宅用足場(一側足場)を集計対象外,上記に属さない機材のうち「その他」の区分を集計に含めたことで集計対象の変更を行っているため,単純に比較はできないものの実態としては前回調査結果と同程度以上の仮設材保有量があるものと推察される。
(2)支部別軽仮設材保有量
仮設材保有量のうち機材ごとに保有量を集計した結果を表-3に示した。
軽仮設材保有量は,全国総合計で6,308億9,300万円であった。その構成は,枠組足場類3,622億5,400万円,型枠類27億3,400万円,支保工類982億4,200万円,パイプ類573億6,300万円,養生材等869億5,900万円,その他233億4,100万となった。
地域別に見ると前回調査結果と同様に,関東,関西,九州・沖縄のシェアが高い傾向が続いている。(表-4参照)
次に品目別に見てもシェアの高い関東,関西,九州・沖縄では,枠組足場類56.2%,型枠類80.7%,支保工類71.1%,パイプ類58.1%,養生材等58.3%と仮設材保有量が集中している結果となっている。
また,軽仮設材保有地域別の品目別仮設材保有割合を見ると総計で,枠組足場類57.4%,型枠類0.4%,支保工類15.6%,パイプ類9.1%,養生材等13.8%となった。前回調査結果と比較すると,枠組み足場類と型枠類,パイプ類にて保有割合が増加した(表-5参照)。
5 枠組足場類の保有状況
(3)枠組足場類の保有状況
回答企業の枠組足場類の保有量を表-6に示した。
枠組足場類の保有量は,総合計で3,622億5,400万円であった。その構成は枠組足場1,480億400万円(40.9%),くさび式足場570 億5,000万円(15.7%),手摺先行部材等709億300万円(19.6%),長尺足場板356億9,100万円(9.9%),吊り足場151億7,900万(4.2%),移動室内足場327億7,600万円(9.0%),脚立26億5,100万円(0.7%)となった。
前回調査結果と比較すると,手摺先行部材等のみ保有量が増加となった。
軽仮設材保有地域別の保有割合は,枠組足場類合計で関東が28.4%と一番高くなった。
なお,今回調査よりくさび式足場と低層住宅用足場(一側足場)は別枠※を設けて集計している。(※(10)低層住宅用足場(一側足場)の保有状況を参照)
(4)鋼製型枠の保有状況
回答企業の鋼製型枠の保有量を表-8に示した。
鋼製型枠の保有量は,全国計で27億3,400万円となった。前回調査結果と比較すると全国計で保有量は34億1,500万円減少となった。減少額はほぼ前回調査時に増加していた38億6,900万円分にあたり保有量の水準としては前々回調査時(平成26年)からは19.9%増の水準である。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,シェアの高い順から,関東48.7%,九州・沖縄23.8%となった。
(5)支保工類の保有状況
回答企業の支保工類の保有量を表-9に示した。
支保工類の保有量は,全国計で982億4,200万円となった。その構成は,パイプサポート75億8,100万円(7.7%),システム支保工714億1,200万円(72.7%), 四角支柱17億9,200万円(1.8%),支保梁72億8,600万円(7.4%),大型支保工101億7,100万円(10.4%)となった。
前回調査結果と比較すると,システム支保工,大型支保工で減少した結果,支保工類合計でも減少となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,支保工類合計で,シェアの高い順から,関東43.0%,関西18.3%となった(表-10参照)。
(6)パイプ類の保有状況
回答企業のパイプ類の保有量を表-11に示した。
パイプ類の保有量は,総計で573億6,300万円となった。その構成は,丸パイプ317億300万円(55.3%),角パイプ75億5,000万円(13.2%),クランプ181億1,000万円(31.6%)となった。
前回調査結果と比較すると,総計で保有量は減少した。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合を見ると,パイプ類合計で,シェアの高い順から,関東31.6%,関西13.7%となった(表-12参照)。
(7)養生材等の保有状況
回答企業の養生材等の保有量を表-13に示した。
養生材等の保有量は,全国計で869億5,900万円となった。その構成は,仮囲い101億6,000万円(11.7%),メッシュシート78億500万円(9.0%),安全ネット77億7,100万円(8.9%),防音パネル86億4,500万円(9.9%),防音シート34億1,600万円(3.9%),仮設ハウス174 億8,100万円(20.1%),備品137億9,300万円(15.9%),敷鉄板126億1,700万(14.5%), 保安機材52億7,100万円(6.1%)となった。
前回調査結果と比較すると,保有量は仮囲い,防音パネル,仮設ハウス,保安機材が増加した影響を受け,全体としては増加となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合を見ると,養生材等合計で,シェアの高い順から,関東32.4%,九州・沖縄14.7%となった(表-14 参照)。
(8)上記に属さない機材のうち「その他」の保有状況
回答企業の上記に属さない機材のうち「その他」の保有量を表-15 に示した。
上記に属さない機材の保有量は,「台車」「レンタル用パレット」を別計上とし,全国計で233億4,100万円となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,シェアの高い順から,関東38.8%,関西27.5%となった。
(9)上記に属さない機材のうち「台車」「レンタル用パレット」の保有状況
回答企業の「台車」「レンタル用パレット」の保有量を表-16に示した。
上記に属さない機材の保有量は,全国計で「台車」49億6,500万円「レンタル用パレット」70億9,100万円となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,シェアの高い順から,「台車」で関東39.7%,九州・沖縄21.2%,「レンタル用パレット」で関東33.5%,中部15.3%となった。
(10)低層住宅用足場(一側足場)の保有状況
回答企業の低層住宅用足場(一側足場)の保有量を表-17に示した。
低層住宅用足場(一側足場)の保有量は,全国計で201億9,100万円となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,シェアの高い順から,九州・沖縄32.6%,関西25.7%,関東23.9%となった。
6 メーカーに対する要望
メーカーに対して,製品開発についての要望等,意見に関するコメントの一覧を表-18に示した。
第2部 運輸業務の現状と問題点に関する実態調査
第1章 調査概要
第1節 調査の目的
仮設業界の現状調査の一環として,軽仮設業界における運輸業務の現状と問題点に関する実態調査を行い,参考情報を得る事を目的とする。
第2節 調査の概要
(1)調査内容
協会加盟の会員企業に対して,下記の内容について調査を実施した。
1.運輸体制について
2.運輸に掛かる経費について
3.運輸契約先又は自社雇傭の運転手の状況について
(2)調査方法
調査票(アンケート)を郵送する書面調査。
(3)調査時期及び調査対象企業数
「第1部 軽仮設材の保有量に関する実態調査」と同様。
第2章 調査結果
第1節 総括
今回実施した「運輸業務の現状と問題点に関する実態調査」では以下のことが確認できた。
尚,個別の集計結果は次節以降に記す。
①運輸業務は委託が大半
運輸体制について回答の有った,76社を対象に集計を行ったところ,自社配送のみの会社が4社,委託配送のみが52社,自社配送との併用が20社であった。
②運輸に掛かる経費は概ね「黒字」か「ほぼ同額」だが,委託費用は今後増える見込み
運輸体制について,委託配送を行っている72社について,運送代金の収支状況について確認を行ったところ,赤字が8社,黒字が40社,ほぼ同額が24社であった。
③運輸契約先又は自社雇傭の運転手の状況について確保が困難
運輸体制について回答の有った,76社から回答なしの2社を除いた74社を対象に集計を行ったところ,「特に問題なし」が30社,「確保が困難」が44社であった。
第2節 調査結果
(1)調査票の回収状況
平成30年5月現在の会員企業89社に調査票を発送し,76社について回収した。回収率は85.4%となった。
(2)運輸体制について
運輸体制について,有効回答76社を対象とし集計を行った。自社配送のみの会社が4社,協力会社配送のみが52社,自社配送との併用が20社であった(図-3参照)。
また,「併用」と回答の20社について委託の比率について集計を行った所,特段決まった傾向はみられなかった。
なお,協力会社へ委託している72社について,その契約形態は専属の常傭契約が13件,スポット契約との併用が33件,スポット契約のみが26件であった。
現状,運輸手配について問題ありが40件,問題なしが35件,回答なしが1件であった。具体的な問題点は別途,表-23にてとりまとめた。
(3)運輸に掛かる経費について
運輸委託費用について委託配送を利用している
72社を対象とし集計を行った結果,「増加している」「これから増加する」を合わせると41社となり増加傾向が窺えるものの,運輸委託費用の収支について集計した結果では,現時点では「黒字」と「ほぼ同額」の回答で64件を占める結果となった。
なお,赤字と回答した会社に理由を尋ねた結果を表-26にまとめた。
(4)運輸契約先又は自社雇傭の運転手の状況について
運転手の確保状況ついて回答のあった全76社を対象とし集計を行った。「確保が困難」が44 件,「特に問題なし」30 件,回答なしが2件であった。「確保が困難」の理由については「仕事がきつい」35.3%,「賃金が安い」25.9%,「雇傭が不安定」12.9%の3つの要因のみで7割を超える結果であった。
一方で「特に問題なし」と回答した企業に対して,運転手の確保に効果的な施策について伺った結果を表-29にまとめた。
(5)客先からの運送業者(ドライバー)の仕事内容へのクレームについて
客先からの運送業者(ドライバー)の仕事内容へのクレームについて集計を行った。「事故」が27件,「安全に関すること」35件,「運転手のマナー」が29件,「待機場所」が22件,その他が2件であった。
http://www.keikasetsu.or.jp
【出典】
積算資料2019年02月号
最終更新日:2019-04-22
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