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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > BIM > 設計初期段階でのコストマネジメントにBIM活用を建築 -アドイン概算システム『COST-CLIP』のご提案-

はじめに

(株)日積サーベイでは、BIM活用積算の普及を目指し、BIM対応建築積算システム『ΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)』を開発、提供しており、2021年12月には、『ΗΕΛΙΟΣ2022』をリリースした(図-1)
 
また、ΗΕΛΙΟΣは、BIMソフトとの連携として、2011年にIFCファイルを中間ファイルとした「IFC連携」を、2016年にはBIMソフトのデータを直接、ΗΕΛΙΟΣのデータ形式に変換する『HeliosLink』により、「ダイレクト連携」を実現した。
 
これらのBIM連携機能をリリースして以降、多くの方々に活用いただいており、弊社でもBIM活用積算の実務を行っている。
 
そして、2022年1月には、BIMソフト上で使用するアドイン概算システム『COST-CLIP』をリリースする。
 
そこで、今回は、『COST-CLIP』の特長を、開発経緯も交えながら、紹介する。

ΗΕΛΙΟΣの画面

図-1 ΗΕΛΙΟΣの画面



 

『COST-CLIP』開発経緯

ここでは、『ΗΕΛΙΟΣ』のBIM連携機能をリリースしてから、『COST-CLIP』の開発に至るまでの経緯について触れていく。

『ΗΕΛΙΟΣ』でのBIM連携

『ΗΕΛΙΟΣ』のBIM連携では、①『Helios Link』を介して「ΗΕΛΙΟΣのデータ形式」を出力、②それを『ΗΕΛΙΟΣ』上で開き、積算モデルとして確認、③建築数量積算基準に則って数量を算出、内訳明細書を作成という、「設計用BIMソフト」や積算用の『ΗΕΛΙΟΣ』の、各ソフトの専門性を生かせる方式をとっている。
 
これにより、積算技術者は、紙図面を基に『ΗΕΛΙΟΣ』上でゼロから再配置(Reモデリング)をすることなく、積算を開始できるため、積算業務の効率化を図ることができる。
また、『ΗΕΛΙΟΣ』に標準搭載の帳票出力機能により、数量算出根拠が確認できる。

『ΗΕΛΙΟΣ』のBIM連携による概算

『ΗΕΛΙΟΣ』のBIM連携機能のリリース以降、設計初期段階から概算コスト算出に活用したいという要望を多くいただいた。
しかし、『ΗΕΛΙΟΣ』は実施設計段階の詳細積算が主な対応フェーズであるため、スピード感が重要な概算コスト算出に求められる機能と、相反する部分があった。
 
例えば、『ΗΕΛΙΟΣ』のBIM連携では、前述の通り、2つのソフトの専門性を重視していることもあり、それらに対する習熟が必要となる点である。
 
そこで、設計初期段階の概算コスト算出を対象としたBIMソフト上で動作する新システムとして、アドイン概算システム『COST-CLIP』の開発をスタートさせた(図-2)。

ΗΕΛΙΟΣの画面

図-2 ΗΕΛΙΟΣの画面



 
 

『COST-CLIP』の特長

特長1.BIMソフト上で概算コスト算出

『COST-CLIP』は、設計用BIMソフト上で動作し、概算コストが算出できる。
これにより設計プランを変更した際にも、リアルタイムに概算コストを把握することができる(図-3)。

COST-CLIP画面イメージ

図-3 COST-CLIP画面イメージ


特長2.設計初期のBIMモデルに対応

『COST-CLIP』は、第1弾の対応オブジェクトを「部屋」、「壁」、「建具」とすることで、既往の概算コスト算出において一番手間の掛かる「内外装」に対応した。
 
最低限必要なBIMオブジェクトは「部屋」のみとし、仕上情報は表計算ソフトで作成した「仕上表」からの取得にも対応した。
 
設計初期段階で作成されるBIMモデルには、一般的に多くのBIMオブジェクトや属性情報は入力されていないからである(図-4)。
 
入力された「部屋」の情報を基に、シンプルな操作で、内装(床・巾木・壁・天井・廻縁)、外装(屋根・外壁)の概算コストの算出が可能である。
 
さらに、設計段階が進み、「壁」や「建具」が入力されることに応じて、間仕切や建具(窓、ドア、カーテンウォール)の概算コストも算出可能となる(図-5)。

COST-CLIP活用の流れ

図-4 COST-CLIP活用の流れ



 

COST-CLIP(第1弾)対応状況

図-5 COST-CLIP(第1弾)対応状況


特長3.明細や各種帳票出力に対応

『COST-CLIP』は、『ΗΕΛΙΟΣ』の専門分野である「数量集計・明細出力」、「帳票出力」に対応している。
 
「数量集計・明細出力」では、表計算ソフトで作成した「単価表」により、金額まで埋め込まれた、部分別内訳明細書が作成できる。
 
また、「帳票出力」では、『ΗΕΛΙΟΣ』と同様に数量算出根拠が確認できる。

対応BIMソフト

『COST-CLIP』に対応する設計用BIMソフトは、国内でよく使われている『Archicad(グラフィソフトジャパン株式会社)』と『Revit(オートデスク株式会社)』の2製品とした。

 
 
 

概算/積算でのBIM

2019年6月に国土交通省により設置された「建築BIM推進会議」では、BIMを活用した概算やコストマネジメントは、主要なテーマに位置付けられており、「BIM活用概算/積算」の流れは広がりつつある。
 
『COST-CLIP』は『ΗΕΛΙΟΣ』とともに、その流れをさらに加速させる存在となるべく、今後ユーザーに積極的なヒアリング調査や提案を行い、集まった意見も踏まえながら、継続して、機能追加や改良をしていく。
 
また、設計初期段階の『COST-CLIP』は、実施設計段階の『ΗΕΛΙΟΣ』とはターゲットが異なるが、いずれも建設プロセスにおいてBIMを活用することには変わりはない。
 
今後の展望として、『COST-CLIP』と『ΗΕΛΙΟΣ』の間で、互いに単価情報などを共有することで建築ライフサイクルが循環するように取り組んでいく(図-6)。

COST-CLIPとΗΕΛΙΟΣの連携

図-6 COST-CLIPとΗΕΛΙΟΣの連携



 

会社概要
会社名:株式会社日積サーベイ
所在地:大阪市中央区大手前1丁目4番12号 大阪天満橋ビル8F
創業:1964年(昭和39年)10月
URL:https://www.nisseki-survey.co.jp/
資本金:2,000万円
従業員数:45名(2021年4月現在)
主な事業内容:建築積算、コスト算出、コンピューターシステムの開発

 
 
 

株式会社日積サーベイ BIMソリューション部
高橋 肇宏

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集2 建築BIM
建設ITガイド_2022年


 

最終更新日:2023-07-14

 

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