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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > BIM/CIM > 関東地方整備局における BIM/CIMの取り組み

はじめに

関東地方整備局では、令和5年度の小規模を除く全ての公共工事についてBIM/ CIM原則適用に向けて、段階的に適用を拡大しているところであるが、原則適用に向けた取り組みについて2点紹介する。
 
 

「関東BIM/CIM 活用(3次元データの作成・活用)ロードマップ」の概要

関東地方整備局では、インフラ分野の DXを推進するため、BIM/CIMの活用による建設現場の生産性向上や働き方改革の促進、3次元データの維持管理への活用などの実現に向け、BIM/CIM活用ロードマップを策定し、令和3年4月に「関東 BIM/CIM活用ロードマップ」を策定したところであるが、BIM/CIM活用対象事業などでは、事業の初期段階からBIM/CIMを活用することで、受発注者双方の業務効率化・高度化が図られることから、事業の上流に位置する測量・地質調査段 階から3次元データの作成・活用を行うことを原則とした「関東BIM/CIM活用(3次元データの作成・活用)ロードマップ」を令和4年6月に公表し、測量・地質調査段階から3次元データを作成・活用を行うこと を位置付けたところである(図-1)。

図-1 関東BIM/CIM活用(3次元データの作成・活用)ロードマップ
図-1 関東BIM/CIM活用(3次元データの作成・活用)ロードマップ

 
「関東BIM/CIM活用(3次元データの作成・活用)ロードマップ」のポイントは次のとおりである。
①河川事業、道路事業のうち、BIM/ CIM活用の効果が高い場合は、事業の初期段階に位置する測量・地質調査段階から3次元データの作成・活用を行うことを原則としている。
②3次元データを作成・活用する業務・工事は、BIM/CIM活用の対象としている。
③測量・地質調査、予備・詳細設計、施工、維持・管理の事業段階ごとにBIM/CIM活用事例や活用効果、活用に必要な要領などを分かりやすく整理している。
 
以上のように、測量・地質調査段階からBIM/CIMモデルを導入し、その後の設計・施工・維持管理の各段階においても、情報を充実させながら活用を図っていくこととしている。
 
 

「3次元出来形計測技術を用いた出来形管理の活用手引き(案)」の概要

情報通信技術(ICT技術)の活用により、土工については、マシンコントロールまたはマシンガイダンスを有するICT建設機械による施工やICT計測技術を用いた3次元出来形管理が一般的になっており建設現場の生産性向上に大きな成果を上げてきている。
国土交通省では、ICT技術の全面的な活用のため、令和4年3月に「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」(以下、要領(案 )を改定したところであり、この要領(案)を用い、施工段階においてBIM/ CIMによる3次元データを効果的に活用することで、受発注者が建設現場の生産性向上を図ることが求められている。

3次元計測技術を用いた出来形管理の活用 手引き(案)表紙
3次元計測技術を用いた出来形管理の活用 手引き(案)表紙

 
関東地方整備局では、3次元データを効果的に活用するための資料として、この要領(案)を分かりやすく解説した「3次元計測技術を用いた出来形管理の活用手引き(案)」(以下、手引き(案 )を作成したので本項において紹介する。
 
要領(案)は、第1編を総則とし、第2編から第14編まで各工種ごとに3 次元計測技術を用いた出来形計測および出来形管理についてとりまとめられたものであるが、手引き(案)は、発注者および施工業者が要領を活用し、建設現場の生産性向上が図られることを目的として、以下の構成で要領(案)を要約したものである。
手引き(案)の目次を図-2-1に示す。
 

図-2-1 3次元計測技術を用いた出来形管理の活用手引き(案)第1編 共通編より抜粋
図-2-1 3次元計測技術を用いた出来形管理の活用手引き(案)
第1編 共通編より抜粋

第1編では、共通編として、用語の解説、 3次元計測技術を用いた出来形管理の概要のほか、3次元計測技術の概要(図-2-2)として本手引き(案)で対象としている3元計測技術を、工種別に示し、特徴・留意事項などについてとりまとめた。
また、3次元計測技術に求められる精度についても工種別に解説した。

図-2-2 3次元計測技術を用いた出来形管理の活用手引き(案)第1編 共通編より抜粋
図-2-2 3次元計測技術を用いた出来形管理の活用手引き(案)
第1編 共通編より抜粋

 
第2編から第14編は出来形管理編とし、 3次元計測技術を用いた出来形管理方法について、工種ごとに現場条件による計測手法の選択や計測方法、実施フロー、 3次元計測実施の効果や注意点を図解で分かりやすく解説し、現場技術者が3次元出来形計測を実施する際の判断や留意事項を確認する資料として、活用できるものとしている。
 
一例として第4編路面切削工編の出来形管理の概要を示す(図-2-3)。

図-2-3 3次元計測技術を用いた出来形管理の活用手引き(案)第4編 路面切削工編より抜粋
図-2-3 3次元計測技術を用いた出来形管理の活用手引き(案)
第4編 路面切削工編より抜粋

 
路面切削工での出来形管理では、従来、基準高・厚さ・幅を検尺テープなどにより計測して出来形管理を実施していたが、ICT活用工事により3次元計測技術を用いた面管理を実施することで、施工現場の省力化が期待できるほか、出来形管理帳票作成ソフトウエアによる出来高管理資料作成の短縮、歩道や側道から交通規制が不要となり安全性を確保することが可能となる。
さらに、施工履歴データによる出来形管理では、計測作業の大幅な削減と施工サイクルの効率化を図ることができ、平坦性などのデータは維持管理に必要なデータとして引き継ぎが可能となるなどの解説を行っている。
 
本手引き(案)により、3次元データが出来形管理に活用され、建設現場の生産性向上に寄与することを期待する。
 
 

おわりに

関東地方整備局では、受発注者の働き方改革と、建設現場の生産性向上に向け、引き続きBIM/CIM活用に関する取り組みを推進していく。
 
 

国土交通省 関東地方整備局 企画部 技術管理課

 
 
【出典】


建設ITガイド 2023
特集1 建設DX、BIM/CIM
建設ITガイド2023


 

最終更新日:2023-08-28

 

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