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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > BIM > 設計初期段階でのコストマネジメントに「COST-CLIP」を-BIM概算ツールに求められる役割とは?-

はじめに

株式会社日積サーベイでは、BIM活用積算の普及を目指し、BIM対応建築積算システム「ΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)」を開発、提供しており、2023年1月には、新3Dビューワ機能などを搭載した最新版「ΗΕΛΙΟΣ2023」をリリースした(図-1)。
このΗΕΛΙΟΣは、BIMソフトとの連携として、2011年にはIFCファイルを中間ファイルとした「IFC連携」を、2016年にはBIMソフトのデータを直接ΗΕΛΙΟΣのデータ形式に変換する「ダイレクト連携」を実現した。
 
これらのBIM連携機能をリリースして以降、多くの方々に活用いただいており、弊社でもBIMを活用した積算業務を行っている。
 
そして、2022年1月には、BIMソフト上で利用可能なアドイン概算システム「COST-CLIP(コストクリップ)」の初弾となるバージョン1.0をリリースし、同年8月には機能追加版となるバージョン1.5をリリースした。
さらに、2023年2月にはバージョン2.0をリリースする。
 
今回は「COST-CLIP」に求められているBIM概算ツールとしての役割に触れた上で、新バージョン(Ver.2.0)の主要機能を紹介する。

図-1 ΗΕΛΙΟΣ 2023
図-1 ΗΕΛΙΟΣ 2023

 
 

「COST-CLIP」の概要

「COST-CLIP」は「ΗΕΛΙΟΣ」のBIM連携機能をリリース以降、多くの方々から要望いただいた「設計初期段階のBIMモデルの活用の幅を広げたい」、「BIMモデルによって概算の効率化を図りたい」、「コストを意識したBIM設計を推進したい」などといったニーズに対応するべく開発、提供しているシステムである。
 
また、「COST-CLIP」は、国内でよく使われている「Archicad(グラフィソフトジャパン株式会社)」や「Revi(tオートデスク株式会社)」上で動作し、設計初期段階の概算コストが把握できる。
これにより、設計プランを変更した際にも、リアルタイムに、建築工事全体の概算コストを把握できる。
 
企画段階からの利用に配慮し、最低限必要なBIMモデルを「部屋」のみとし、仕上情報の取得は表計算ソフトで作成した「仕上表」にも対応している。
また、ΗΕΛΙΟΣでのノウハウを生かし、「帳票出力」や「数量集計」に対応し、表計算ソフトで作成した「単価表」により、金額まで埋め込まれた、部分別内訳書が作成できる。
 
 

BIM概算ツールの役割

BIMモデルを活用して概算するために最低限求められる役割は大きく4つあると考えている(図-2)。

図-2 BIM概算ツールの役割
図-2 BIM概算ツールの役割

 
そのうち、役割1.「BIMモデルの数量算出」は、BIMソフトが標準装備する「数量集計機能」でも対応可能である。
一方で、役割2.~4.は、BIMソフト単体では対応が難しい。
 
 

役割1.「BIMモデルの数量算出」

BIMモデルに描かれた数量を単に集計するだけでなく、“概算数量”として集計することが求められる。
 
「COST-CLIP」では、一般的な概算で用いられる「部分別集計」に対応している。
 

役割2.「BIMにない数量算出」

概算に必要な部材が、必ずしもBIMモデルに描かれているとは限らない。
しかし、描かれていない部材(例えば、仮設、構造体や雑物)も、概算上無視できない。
そのため、BIMモデルに描かれていない数量も算出できることが求められる。
 
「COST-CLIP」では、BIMにない概算項目の「自動計上」機能の追加で、各種床面積やBIMモデルからの数量をベースに直接仮設、構造体や雑物を含む、建築工事全体の概算コスト算出に対応している(図-3)。

図-3 COST-CLIP「自動計上」
図-3 COST-CLIP「自動計上」

 

役割3.「単価データの連携」

単価情報は、理論的にはBIMモデルの各部材に入力できるが、現実的な話ではない。
単価は永久に同じではないからである。
そのため、単価の変動に対応できることが求められる。
 
「COST-CLIP」では、表計算ソフトで作成した「単価表」との連携に対応している。

 

役割4.「算出したコストのチェック」

BIM概算ツールには、単に概算コストを算出するだけでなく、算出した概算コストの妥当性や、設計変更の必要性をチェックしやすいことが求められる。
 
「COST-CLIP」では、二次利用(編集)が容易でシンプルな概算表である「総括表」出力機能の追加により、数量やコストのチェック、検討をしやすくしている(図-4)。

図-4 COST-CLIP「総括表」
図-4 COST-CLIP「総括表」

 
 

「COST-CLIP」の深化

「COST-CLIP」は、BIM概算ツールの役割を果たすことを重視し、BIMソフトの標準機能にはない付加価値の提供を心掛け、日々機能改良を進めている。
新バージョン(Ver.2.0)でも、ユーザーからの意見を多く反映しながら、BIM概算ツールとしての役割を深化させている。
ここでは、主要な2つの機能について紹介する。
 

1.「BIMモデルの数量算出」の深化

-全てのBIM部材への対応-
前バージョン(Ver.1.5)までは、意匠BIMモデルの主要部材である「部屋」、「壁」、「建具」に特化して対応していたが、新バージョン(Ver.2.0)ではBIMモデルに描かれた全ての部材(例えば、構造体や雑物)の数量算出に対応した。
 
BIMモデル化されたものは、そのまま全て計上できるようになったことで、コスト担当者だけではなく、設計者にとっても、より概算が「見える化」しやすくなった。
 

2.「BIMにない数量算出」の深化

-構造計算ソフトの数量対応-
新バージョン(Ver.2.0)では、構造計算ソフト(Super Build/SS7など)から出力した数量データについて、「COST-CLIP」への取り込み、集計に対応した。
これによって、設計段階やBIMモデルの入力状況に応じて、構造体の数量の算出を、以下の3つから選択できるように
なった。
 
①各種床面積ベースの「自動計上」
②構造計算ソフトの数量データ活用
③構造BIMモデルからの数量算出
 
 

今後の展開

2019年に国土交通省が設置した「建築BIM推進会議」では、BIMを活用した概算やコストマネジメントが、主要なテーマに位置付けられており、「BIM活用概算/積算」の流れは広まりつつある。
 
リリースして2年目を迎える「COST-CLIP」も、この流れをさらに加速させる存在となるべく、今後もユーザーに積極的なヒアリング調査や提案を行っていく。
特に、リアルタイムでコストの変化を確認できる機能や、「積算資料(経済調査会)」等の刊行物の単価データを連動できる機能など、さまざまな機能追加や改良を加えることで、よりいっそうBIM概算ツールの役割を担っていけるよう取り組んでいくことを約束する(図-5)。

図-5 COST-CLIPの今後

 

会社概要

会社名:株式会社日積サーベイ
所在地:大阪市中央区大手前1-4-12大阪天満橋ビル8F
創業:1964年(昭和39年)10月URL:https://www.nisseki-survey.co.jp/
資本金:2,000万円
従業員数:43名(2022年4月現在)
主な事業内容:建築積算、コスト算出、コンピューターシステムの開発
 
 
 

株式会社日積サーベイ BIMソリューション部
高橋 肇宏

 
 
【出典】


建設ITガイド 2023
特集2 建築BIM
建設ITガイド2023


 

最終更新日:2023-09-05

 

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