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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 施工BIMの今 −日建リース工業のBIM−

 

はじめに

当社の設立は1967年。まだレンタルという言葉が一般化していない時代から、仮設資材のレンタルを中心に、52年にわたってその経験とノウハウを磨いてきました。「仮設事業」として仮設資材をレンタルするとともに、これまでの建枠に替わって建築現場で主流となってきた、クサビ緊結式足場「NDシステム(通称:ダーウィン)」のメーカーでもあります。
 
自社開発の足場CADシステムで業務を行っていますが、これまでに2回、3次元での運用にチャレンジしてうまく活用できなかった苦い経験を持っています。
 
 

BIMへの取り組みのきっかけ

そんな当社が再び3次元に取り組むことになったのは、社長の「今後のCADシステムはBIMを視野に入れて考えてほしい」という一言からです。そのときは、「また3次元をやるのか…」というネガティブな思いが浮かんできましたが、あらためてBIMについて調べてみて、すぐに「今からやっておくべきで今回は失敗しない」という思いに変わりました。
 
●なぜ、「今からやっておくべき」と考えたのか。
 
それはBIMの「企画」→「設計」→「施工」→「維持管理」のサイクルにあります。
 
当時のBIMはまだ「設計」での活用が中心だったので、それならば次は「施工」になるはず、「施工」となれば足場仮設計画になるはずと思いました。そうなれば必ず当社にもBIMでできないかと声が掛かる。声が掛かった頃に始めても遅いと考えたのです。
 
●なぜ、「今回は失敗しない」と思えたのか。
 
理由は明確で、BIMであれば躯体モデルをお客さまが作ってくれているからです。
 
これまでの3次元取り組みの失敗の原因は、担当者自身がお客さまから頂く2次元図面を見ながら、躯体モデルをワイヤーフレームで作っていたことにあります。そんなことをしている間に、最初から2次元で作図していればとっくに図面は完成しています。
 
それがBIMであればお客さまが躯体モデルを作ってくれており、ワイヤーフレームとは違って視覚的に分かりやすい完成されたBIMモデルに、自分のスキルを思う存分生かして足場仮設計画に専念できるのですから、当社にとってこんなにラッキーなことはありません。
 
 

施工BIMへの本格的取り組み

社長の一声でBIMに取り組むことになり、やるぞ!と意気込んではいたものの、そもそもお客さまがBIMでの足場仮設計画を必要と考えているのだろうかという疑問がありました。既に幾つかの仮設材パーツは試験的に製作しておりましたが、BIMは設計での活用が中心だったので、BIMをやったことのないわれわれには施工でBIMを活用するイメージが浮かばなかったからです。
 
そこで営業の力を借りて、行く先々で「BIMでの足場仮設計画の重要性」についてアンケートを行いました。2013年10月〜12月頃のことで、その結果が図-1です。
 
BIMを推進している(BIMのことを知っている)本社や支店の方々からは、ある程度期待されているものの、実際に施工する現場となると「あってもなくても困らない」的な回答が多い結果でした。出鼻をくじかれテンションが下がったことは否めませんが、それでも当時はBIMについて尋ねると「何のビーム?どこの開口部?」と、冗談のようなリアクションが多かったときですから、ここは現場さんの話は置いておき、本社支店さんのことを信じてBIMを推し進めることにしました。
 
そんな折、2014年1月に日本建設業連合会(以下、日建連)から『施工BIMのスタイル』が発刊されました。「施工BIM」というキーワードを目にしたのは、そのときが初めてだったと思います。そしてどこの新聞かは失念しましたが、鹿島建設様の新聞記事(2015年5月頃)で、「建築全現場にBIM」「ライセンス貸出で協力会社と連携」「足場などをモデル化」などの記事を読んだときに、「いよいよ来たんじゃない?」と思ったことを覚えています。
 
こうした経緯で当社は本格的にBIMでの足場仮設計画に取り組み始めます。
 

図-1 「BIMでの足場仮設計画の重要性」
アンケート結果




 

具体的な取り組み

(1)仮設材パーツの製作
仮設材パーツの製作はBIMの取り組み当初から行っており、次の2点を方針として取り組んでいます。
 
①お客さまがARCHICADとRevitのどちらを使用していても対応できるように両方で製作する。
②当社カタログの基本部材は全てモデル化する。
 
製作当初はARCHICADのGDLを勉強しつつ、まずは簡単に作成できるRevitで研究がてら製作して、試行錯誤しながら4〜5回作り直して今のLODと属性になっています。
 
現時点では目標の1/3程度の部材しかできていませんが、LODや属性に関しては、「こうあるべき」と、はっきりした結論はまだ出ていません。実案件を通してお客さまからのご意見を伺い、これからも妥協することなく、修正を続けて進化させていきます。
 
また、ありがたいことにパーツ提供のご依頼をよく頂きますが、当社はクサビ緊結式足場「NDシステム」(図-2)と「S造関連部材」(図-3)についてはメーカーとしての立場でもありますので、この2点については、日建連の『施工BIMのスタイル2014』に掲載されていた「BIMモデルの取扱いに関する覚書」をベースとした独自の「覚書」を作成し、内容合意の下ご提供しています。
 

図-2 NDシステム

図-3 S造関連部材




(2)BIM担当者の育成
将来的には海外にBIMオペレーターを配置して、件数をこなせるようにしていく必要があります。しかし今は、国内で将来のBIMマネージャーを育成していく段階と考えており、現時点で全国に10名ほどいます。
 
BIMマネージャーとなるためには、まずはオペレーターとして実案件を複数経験し、直接現場とBIM調整会議を行い、2次元図面とは違うBIMならではの打合せ内容や、お客さまからどのような要望があるのかを知る必要があります。仮設材配置だけのBIMオペレーターであればすぐに育成できますが、当社はただ配置して終わりにしたくありません。重要なのはBIM担当者全員がBIMに取り組む目的や、この物件はどう進めるべきか、どうしたら問題解決できるのかをご提案できることであり、当社の全国に70人近くいる技術スタッフの中から、ある意味選ばれたこの10名は、今後の当社の「施工BIM」での立ち位置をより高めていかなければいけない人材です。
 
 
(3)仮設計画モデリングの請け負い
当社の仮設材を現場で採用していただくことが大前提ですが、2018年からは本格的にBIMでの足場仮設計画モデリングを請け負っています(図-4)。
 
2016年、2017年もご依頼がなかったわけではありませんが、試行的に年2〜3件ほどしかなく、少し不安になるくらいでしたが、2018年に入ってからは急激にご依頼が増え、常に数件は重複して作業している状況です。施工BIM元年は2015年といわれていますが、当社のBIM元年は2018年だと考えています。
 
作業内容としては先ほどご紹介したように、ただ仮設材を配置して終わりにしたくありませんので、事前打合せ(キックオフ)→基本配置→社内BIM検討会(写真-1)→現場でのBIM調整会議1回目→修正→BIM調整会議2回目 と、このような工程を基本として作業しています。「工区ごとの数量を拾いたい」(図-5)ですとか、「危険箇所を可視化して対処したい」(図-6)というご要望もよくありますので、必要に応じて対応しております。
 

図-4 足場仮設計画モデリング

写真-1 社内BIM検討会

図-5 工区ごとの数量拾い

図-6 危険箇所の可視化



 

現状の大きな課題

実は課題を挙げればきりがないので、ここでは現状悩んでいる「大きな課題」を2点だけ挙げておきます。
 
(1)図面化の難しさ
BIMによって2次元作図や修正の業務負荷は軽減されているといわれていますが、足場仮設計画図に関していえば決してそうではありません。BIMによって見えてほしくない所が見えてしまうためです。
 
全てができないわけではありませんが、まだまだ研究が必要ですので、これからも試行錯誤していきます。
 
 
(2)現場にBIM担当者がいない
現場にBIMアプリに精通している人が、まだまだ少ないのが現状です。そういう方が居るのと居ないのとでは、工程確認や数量抽出の生産性に大きな違いが出てきます。
 
ただこれは施工BIMが広がっていくことによって時が解決するような気もしますが、当社でも可能な限りご協力してまいります。

 

最後に

BIMは施工から始めても効果は抜群です。2次元図面だけのときとは大きく打合せ内容が変わり、初期の打合せにかかる時間は増えたかもしれませんが、施工BIMで先行して検討することで、工事中に発生しそうな不具合が確認でき、事前に対処したり、対処できなくても解決策を考えておくことができるようになったことは素晴らしいと思います。一度BIMに携わった現場関係者さんは、次も必ずBIMでやりたいと仰います。
 
これからも各社のBIM推進部門、管理部門の方々とも一緒になって、施工BIMを推進していきます。
 
持ち分のページ数では説明したいことがあまり説明できませんでした。もし足場仮設計画のモデリングをご検討中でしたらご連絡ください。ぜひ一度、意見交換させていただきたいと思います。
 
 
 

日建リース工業株式会社 技術安全本部 技術システム部 部長 小川 浩

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集2「進化するBIM」



 

 

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