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ホーム > 建設情報クリップ > 建築施工単価 > 建築基準法の告示の改正〜積雪荷重の強化について〜

 

1. はじめに

平成26年2月の関東甲信地方を中心とした大雪は,直後に雨が降ったことにより,体育館等の勾配の緩い大きな屋根の崩落などの被害が発生しました。
 
一定規模以上の緩勾配屋根については,積雪後に雨が降ることも考慮して建築基準法における積雪荷重を強化することとし,平成30年1月15日に改正告示を公布しました。
 
 

2. これまでの取り組み

平成26年2月の関東甲信地方を中心とした大雪により,体育館等の屋根の崩落やカーポートの倒壊など,建築物の被害が発生しました。これらの被害を受け,社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会に建築物雪害対策ワーキンググループを設置し,被害の原因及び対策について検討を行いました。同部会においては,同ワーキンググループの検討を踏まえ,平成26年10月9日に「建築物の雪害対策について 報告書」※1としてとりまとめたところです(図-1)。
 

【図-1 建築物の雪害対策について 報告書 概要(国土交通省ホームページ※3 より)】




 
本報告書では,建築物の被害の原因のひとつとして,積雪後の降雨により建築物の屋根にかかる積雪荷重が増大したことがあげられており,今後このような降雪及び降雨が予測される場合には,必要な注意喚起を行うよう指摘されています。この指摘を受け,雪の少ない地域で大雪の後に雨が予想される場合,気象庁と国土交通省が連携して注意喚起を行うこととしました。
 
● 注意喚起を行う目安:
原則,大雪警報相当規模の降雪が見込まれ,かつ,大雪後の降雨により積雪の重さが一層増す場合等,概ね建築基準法に定める積雪荷重に相当する重量分を超えることが予想される場合。
 
● 注意喚起の方法:
各地方気象台等が発表する府県気象情報等で簡易な建築物等における大雪被害に対する注意を呼びかける。
 
また,カーポートを製造する業界団体内における,積雪荷重を踏まえた設計の周知及び特定行政庁からアーケード等の所有者,管理者に対する定期的な点検,補修の要請が行われました。
 
今般,一定規模以上の緩勾配屋根について,積雪後の降雨も考慮した積雪荷重の強化を行うため,平成28年2月に実施したパブリックコメントのご意見や積雪荷重に関する調査・研究等の成果※2を踏まえ,建築基準法に基づく告示を改正しました。
 
 


※1 建築物の雪害対策について 報告書(社会資本整備審議会 建築分科会 建築物等事故・災害対策部会)
http://www.mlit.go.jp/common/001057399.pdf
 
※2 建築基準整備促進事業「S17積雪後の降雨の影響を考慮した積雪荷重の設定に資する検討」成果概要
http://www.mlit.go.jp/common/001183673.pdf
 
※3 第35回建築分科会・配付資料【資料6】建築物の雪害対策について 報告書 概要
http://www.mlit.go.jp/common/001059529.pdf
 
 

3. 改正内容

建築基準整備促進事業「S17積雪後の降雨の影響を考慮した積雪荷重の設定に資する検討」における検討結果を踏まえ,保有水平耐力計算及び許容応力度等計算の方法を定める件(平成19年国土交通省告示第594号)を改正し,一定の建築物には,構造計算において用いる積雪荷重に,積雪後の降雨を考慮した割増係数を乗じることとしました。
 

【図-2 積雪後に雨が降ることを考慮した積雪荷重の強化について(告示改正)】




 
対象となる建築物は,多雪区域以外の区域にある建築物(垂直積雪量が15cm以上の区域に限る)で,以下の全てに該当する屋根を有する建築物です。
 
● 大スパン(棟から軒までの長さが10m以上)
● 緩勾配(15度以下)
● 屋根重量が軽い(屋根版がRC造又はSRC造でないもの)
 
割増係数は以下の式により算定します。詳細な算定方法については,平成29年12月25日付け報道
発表資料(http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000699.html)をご参照ください。
 



 
上記の算定式における,屋根勾配と棟から軒までの長さに応じた値については,屋根部分の最上端から最下端までの水平投影の長さ及び屋根勾配の数値により求めることとしています。代表的な屋根形状については,屋根形状に起因する雨水の滞留による影響を考慮した上で,建築基準整備促進事業における実験等を踏まえ,これらの数値の設定方法について,国土交通省住宅局建築指導課長より都道府県建築行政主務部長等宛てに周知しているところです。設定方法の例を図-3に示しますが,ここに掲げる以外の方法であっても,特別な調査又は研究の結果に基づいて算定することも可能です。
 

【図-3 代表的な屋根形状における割増係数の考え方】




 
なお,本告示に示す割増係数は,屋根の谷部や軒先に設ける樋にごみ等による詰まり等が生じないよう適切な維持管理を行い,屋根上の雨水及び融雪水が有効に排水されることが前提となっていますので,ご留意ください。
 
 
 

国土交通省 住宅局 建築指導課 建築物防災対策室

 
 
 
【出典】


建築施工単価2018春号



 

最終更新日:2018-09-11

 

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