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ホーム > 建設情報クリップ > 建築施工単価 > 官庁施設の防災性能の低下を防ぐ! 〜「官庁施設の施設管理者のための防災性能確保ガイドブック」について〜

1.はじめに

国土交通省官庁営繕部では、『官庁施設の施設管理者のための防災性能確保ガイドブック』(以下、「ガイドブック」という。)を作成し、令和4年6月に公表しています。
本稿ではその目的や内容についてご紹介します。
 
 

2.ガイドブック作成の目的

多くの方々に利用される官庁施設は、常に安全な施設でなくてはなりません。
特に、災害時に応急対策活動の拠点や近隣住民の避難場所等となる施設では、必要とされる防災性能を常に維持していく必要があります。
このため、官庁施設の施設管理者は、自らの管理している施設に要求される防災性能を把握し、発災時に必要とされる施設機能が確保されるよう、普段から行動することが求められます。
 
本ガイドブックは、建築の専門家ではないことの多い官庁施設の管理者を支援するため、国土交通省営繕職員が実施してきた官庁施設への保全実地指導によるこれまでの改善事例を踏まえ、官庁施設の防災性能維持の観点から、施設管理者が災害に備えるために”すべきこと”、“してはいけないこと”などをとりまとめています。
建築分野の専門ではない施設管理者にも手に取っていただけるよう、イラストや写真を多用して解説しています(図-1)。
 

【図-1 第Ⅱ章の記載例(12の状態ごとの対応)】

【図-1 第Ⅱ章の記載例(12の状態ごとの対応)】


 
 

3.ガイドブックの主な内容

本ガイドブックでは、官庁施設の防災性能が低下する恐れがあると考えられる、次の3点に着目しています。
 
・建物の損傷、腐食その他の劣化により、防災性能が低下した状態
・関係法令等の改正により、防災性能が最新の基準を満たしていない状態
・過去の模様替えや不適切な運用などにより、意図せずに防災性能が低下した状態
 
第Ⅱ章では、これらに該当する状態のうち、特に施設管理者に知っておいていただきたい「施設の防災性能を低下させる12の状態」(図-2)についてイラストで紹介しています。
 
Ȁ図-2 施設の防災性能を低下させる12の状態】1

【図-2 施設の防災性能を低下させる12の状態】

【図-2 施設の防災性能を低下させる12の状態】


 
さらに、それぞれのケースごとに、
 
・放置したままだと災害時にどうなってしまうのか
・どのような施設管理がその状態を引き起こすのか
・その状態を是正する方法
 
などの主な留意事項をピックアップし、関連する建物の各部位や機器が持つ、防災上の役割や機能とともに解説しています。
さらに防災性能低下を是正するためのチェックポイントについては、簡易な対応策から修繕等を伴うものまでを、段階ごとに費用の考え方と共に紹介しています。
 
第Ⅲ章は、地震・火災・水害などの災害の種類ごとに、発災時に機能を発揮する部位・機器が関連する法令について、条項番号や内容を解説したものとなっています(図-3)。
(第Ⅱ章の各“状態”に関連する第Ⅲ章の法令条項番号等も、第Ⅱ章で記載しています。)
 
さらに参考として、本編で例示した12の状態を含む、防災性能を低下させると考えられる80の状態を一覧に整理し、そのうち建築物の既存不適格に該当する15の状態については根拠法令の新旧対照表を掲載するなど、詳細な解説や具体的な根拠などを知りたい施設管理者の方に向けた内容を掲載しています。
 
【図-3 第Ⅲ章の記載例(法令等が求めていること)】

【図-3 第Ⅲ章の記載例(法令等が求めていること)】


 
 

4.おわりに

本ガイドブックは国土交通省のホームページに全編が掲載されています。
施設管理者が「知ってよかった!」と思わず膝を打つような内容となっておりますので、ぜひご一読下さい。
 
 
【ガイドブック掲載先URL(国土交通省ホームページ)】
https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk3_000008.html
 
 
 

国土交通省 大臣官房官庁営繕部 計画課 保全指導室 
高原 洋介

 
 
【出典】


建築施工単価2023年冬号

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最終更新日:2023-04-07

 

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