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ホーム > 建設情報クリップ > 建築施工単価 > 官庁営繕版遠隔臨場実施要領について

1.はじめに

国土交通省官庁営繕部では官庁営繕事業の建設現場において、公共建築工事標準仕様書、公共建築改修工事標準仕様書、公共建築木造工事標準仕様書及び建築物解体工事共通仕様書(以下「標準仕様書等」という。)に定める「監督職員の立会い」、「監督職員と協議」、「監督職員の検査」及び「関連工事等の調整」(以下、「監督職員の立会い等」という。)に遠隔臨場を導入するため、令和2年度より試行を行ってきました。
 
この度、試行の結果を踏まえ「官庁営繕事業の建設現場における遠隔臨場に関する実施要領」(以下、「本要領」という。)を作成し、令和4年7月1日以降に入札手続きを開始する、原則全ての工事に適用することとしました。
 
 

2.試行結果

官庁営繕部では令和2年度から令和3年度までに38件の試行を行ってきました。
また、遠隔臨場を活用している民間建築工事の現地調査及びその元請施工者や工事監理者へのヒアリングを行いました。
 
その結果、発注者・受注者共作業効率の向上等一定の効果があったことが確認出来ました。
一方で画質や音声など通信環境に関する課題が多くあることが分かりました。
本要領はこれらの結果を踏まえ作成しています。
 

【R3アンケート結果(母数14件)】

【R3アンケート結果(母数14件)】


 
 

3.実施要領の概要

本要領の概要を以下に示します。

3-1.目的

本要領は、工事受注者における「監督職員の立会い等に伴う手待ち時間の削減や確認書類の簡素化」や発注者(監督職員)における「従来の臨場の削減による効率的な時間の活用」等を目指し、その適用範囲や具体的な実施方法と留意点等を示したものです。
 
本要領の目的を踏まえ、遠隔臨場に必要とする機器の手配と運用が可能であり、かつ実施により効果の見込める工種・確認項目を対象としています。
 
 

3-2.ポイント

本要領のポイントを以下に示します。
 
①本要領は、利用者が見やすく分かりやすいものとするため本文と解説で構成しました。 
 
②対象工事及び工種は、遠隔臨場に必要とする機器の手配と運用が可能であり
・遠隔臨場が実施可能な通信環境を確保できる現場
・「監督職員の立会い等」を映像・音声による確認で対応できる工種
の両方を満たすものとしました。
 
③確実な履行を前提として、実施に先立ち実施計画書を作成することとしました。
なお、実施計画書の記載内容は以下のとおりです。
・適用する工種・確認項目
・使用機器と仕様
・実施方法
 
④動画撮影用のカメラ等やWeb会議システム等の資機材は受発注者間で協議の上選定し、工事受注者が手配、運用することとしました。
また、費用は発注者が負担することを明確にしました。
 
⑤遠隔臨場の映像と音声の品質は、使用機器と通信回線の仕様に左右されるため、動画撮影用カメラ等とWeb会議システム等に関する解像度等の参考値を明記しました。
官庁営繕工事では、映像品質の確保が求められる確認項目が多いことから、可能な限り高品質な仕様とすることが望ましいとして本要領に示す仕様は、「画素数:1920×1080以上、フレームレート30fps」としています。
ただし、「通信環境、目的物の判別を勘案して、監督職員との協議により、画素数は640×480程度以上、フレームレートは、15fps以上とすることができる」ものとしました。
 
発注時の参考として現場説明書記載例を明記しました。
 
⑥実施対象表(A・E・M)を添付し、標準仕様書等による実施対象項目を明確にしました。
 
⑦留意事項に以下の内容を記載しました。
・作業員のプライバシーを侵害する画像や音声が配信されないよう留意すること。
・撮影しながら移動する場合は進行方向の段差・障害物の有無を確認するなど、安全対策に留意すること。
・施工現場外ができるだけ映り込まないようにすること。
・電波状況等により遠隔臨場が中断された場合の対応について、事前に受発注者間で協議を行うこと。
・工事受注者は、故意に不良箇所を撮影しない等の行為は行わないこと。
・録画・録音する場合の情報管理は、現場説明書の「図面等の情報の適切な管理」に基づき、適正に行うこと。
・文字や数値の視認性を高めるため、必要に応じて手ぶれ防止機能のある機器又は手ぶれ補正装置の使用を検討すること。
・改修工事の場合、来庁者及び現地職員のプライバシーに配慮するとともに、現地職員の業務に関する秘密の保持に留意すること。
 
【参考数値】
 

3-3.その他

参考資料として、工事において「工事が設計図書の内容に合致するかどうかの確認」を行うこととされる各項目の確認が遠隔臨場でも実施可能かどうかの目安について、「適応性一覧表」をA・E・M別に作成しました。
ここに記載している項目以外の項目についても、遠隔臨場の活用を妨げるものではないとしています。
 
適応性一覧表では、項目毎に
 
○:遠隔臨場に向いている
△:基本的に遠隔臨場に向いているが一部向かないものがある
▼:基本的に遠隔臨場に向かないが条件がそろえば遠隔が可能
 
の3段階で評価しています。
 
遠隔臨場に向く確認内容として
・対象や確認項目を明確にでき、数値確認できるもの
・作業手順、作業状況、出来高の確認
・搬入材料の確認
 
遠隔臨場に向かない確認内容としては
・広範囲、網羅的な確認を要するもの
・平たんさやむら等の仕上がり状況の確認
・音、振動などによる確認を要するもの
・色合い等、映像品質に左右されるもの
・配線、配管の接合等、詳細な確認を要するもの
・設備の試運転、性能、機器試験
と整理しています。
 
なお、表中の適応性の判断は、今後の実施結果を踏まえ必要に応じて変更することとしています。
 

【適応性一覧表(抜粋)】
【実施要領(抜粋)】

【実施要領(抜粋)】

 
 

4.最後に

本要領は、地方整備局・北海道開発局及び沖縄総合事務局へ通知するとともに国土交通省HPで公表しました。
 
さらに、各省各庁及び地方公共団体にも営繕担当者が参加する会議等を活用して情報提供を行いました。
 
 
(国土交通省HP)
官庁営繕事業の建設現場における遠隔臨場に関する実施要領遠隔臨場に関する適応性一覧表
https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk4_000051.html
 
QR
 
 
 

国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課建築技術調整室 

 
 
【出典】


建築施工単価2023年冬号

建築施工単価2023年冬号

最終更新日:2023-04-13

 

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