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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料公表価格版 > 特集 橋梁土木 > 改訂された道路橋支承便覧(平成30年12月)に基づく支承部の設計例

 

はじめに

平成29年11月の道路橋示方書1)(以下,道示とする)発刊に伴い,道路橋の設計において部分係数設計法が導入された。これにより,数ある設計状況の違い,構造物の種類,それを構成する材料およびデバイス,達成しようとする耐荷性能のレベルを,従来の許容応力度法で用いていた“安全率”という,漠然とした指標を用いて表現するのではなく,照査するそれぞれの項目に応じて,既知の部分,未知の部分を区分けしながら,より適切で合理的な設計が可能となった。その道示の思想を受ける形で,平成30年12月の道路橋支承便覧2)(以下,便覧とする)では,主に以下の7項目において改訂が行われた。
 
①道示に規定された橋の性能を満足するうえで,支承部に求められる性能の標準的な検証手法を提示するという便覧の位置付けの明確化とそれに沿った記述の見直し
②便覧に基づく設計の前提を満足するとみなせる材料の記述の見直し
③支承に求められる性能を有することを確認する試験法の記述の見直し
④設計の前提となる施工(支承の製作を含む),維持管理の条件の明確化
⑤品質管理方法の記述の見直し
⑥維持管理方法の記述の見直し
⑦免震支承の設計モデルの高度化
 
多岐にわたる改訂がされているが,設計体系の思想的な詳細事項や品質管理・維持管理などについては,さまざまな既報に譲るとして,本稿では,実務的な視点に重点を置き,ゴム支承の設計手法についての新旧(H16便覧,H30便覧)の比較を報告する。また,鋼製支承についても,一般的なBPB支承(密閉ゴム支承板支承)を取り上げ,同一条件下での比較結果などを示す。
 
 

1. 支承設計法改訂のポイント

1-1 免震支承の設計モデルの高度化

免震支承の技術開発の動向を踏まえ,近年実施された112体の試験データ(図- 1など)に基づいた設計モデルが構築された3)。鉛プラグ入り積層ゴム支承においては,せん断ひずみが大きい領域におけるゴムのハードニングの影響(cr(γ))(図-2,図-3),およびゴムの面積に対する鉛プラグの面積比が降伏時の水平力に与える影響(α)を考慮できるように設計モデルが見直されている。
 
また,紙面の都合上,データは示していないが,高減衰積層ゴム支承においても減衰性能の向上が図られたものが広く普及している現状を踏まえ,技術進展に適切に対応するために設計モデルが更新されている。
 

図-1 免震支承の試験結果の例

 

(ひずみごとの整理:上段-H16便覧,下段-H30便覧)
図-2 鉛プラグ入り積層ゴム支承の設計式による推定精度4)

 

図-3 設計式の改訂


1-2 設計法(照査項目)の比較

道示における設計体系を実務的な視点から概念的に整理した図が図-4である。設計時に考慮すべき状況(従来の常時,温度変化時,風時,地震時など)として全12ケースを想定し,それぞれに対して,橋(支承)がどのような状態にあるかを限界状態1~3という指標を制限値で代表させて照査することが求められている。この照査は耐荷性能を確認する行為となるが,その耐荷性能を供用期間中に継続的に維持する時間軸の観点として,併せて耐久性能の確認が必要とされており,照査行為としては,大きくこの2つに分類できる。
 
このような思想をゴム支承の照査項目に落とし込み新旧便覧の比較(図-5)をすると,それぞれ耐荷性能,耐久性能の項目に振り分けられているが,削除または新しく追加された項目はなく,従来通りの照査体系と理解することもできる。
 

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