- 2025-10-30
- 特集 「いい建築」をつくる材料と工法 | 積算資料公表価格版
総論
石綿(アスベスト)は、その粉じんを吸入することにより、肺がん、中皮腫等の重篤な健康障害を引き起こすおそれがあることから、現在は石綿含有製品(石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する全てのもの)の製造、輸入、譲渡、提供、使用が全面的に禁止されている。
一方、過去に輸入された石綿の大半は建材として建築物に使用されており、将来にわたって、建築物に既に使用されている石綿の劣化等による飛散や建築物の解体・改修等の工事における石綿ばく露が懸念される。
このため、平成17年(2005年)に石綿障害予防規則(以下「石綿則」という。)を制定し、建築物の解体等の作業における石綿ばく露防止対策等について規定した。
その後も石綿ばく露防止対策の充実のため規制の見直しを重ねており、直近では、平成26年(2014年)に石綿則の改正を行い、吹付け石綿の除去等に係る隔離等の措置や建築物に使用されている石綿含有保温材等の管理について規制を強化した(同年6月1日施行)。
また、労働安全衛生法に基づく技術上の指針についても併せて見直しを行い、建築物等の解体等の作業および労働者が石綿にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針を新たに制定した。※1
しかしながら、石綿則で義務付けられている作業開始前の石綿含有の有無の事前調査など、建築物等の解体・改修工事を行う際に必要な措置が実施されていない事例が散見されたことから、解体・改修工事における石綿ばく露による健康障害を防止するため、令和2年(2020年)7月に石綿則が改正され、令和2年(2020年)10月1日から順次施行されている(図-1)。
令和6年(2024年)4月以降は、建設現場における石綿等の粉じんの発散しやすい石綿含有建材の切断等の作業や石綿含有仕上げ塗材を電動工具で除去する作業では、①湿潤な状態とすること、②除じん性能を有する電動工具を使用すること、③その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置の①~③のいずれかの措置を行う必要がある。※2
アスベスト除去作業の今後
石綿(アスベスト)を含む建築物の解体は、令和10年(2028年)度頃にピークを迎えるといわれている。
石綿関連法令が改正されたことにより、石綿に関連する解体・改修工事の事前調査と対策が必要となっている。
事前調査と対策には、費用がかかることになるが、適切な解体・改修工事を実施していく必要がある。
こうした中、建築物等の解体作業での石綿の除去作業においては、「作業者の安全」と「関連法令に沿った石綿の飛散防止」に配慮した技術が必要とされる。
※1 出典:厚生労働省HP「石綿障害予防規則など関係法令について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/jigyo/ryuijikou/index_00001.html
※2 出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイトHP
https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/point/#movie2
石綿除去技術 注目製品
Hi-jet工法とは
(一社)Hi-jetアスベスト処理協会の「Hi-jet工法」は、水を有効に利用した工法で「環境」と「作業者」の安全を守るためのアスベスト除去技術である。
水圧をコントロールすることで水量を調整し、超高圧でターゲットのアスベストを破壊、除去し、除去面ならびにその一帯を洗浄する。
また、同工法で使用された汚泥水は1カ所に集められて自然沈降分離させた後、HEPAフィルター同様の0.3マイクロメーターより細かいフィルターでろ過し、PH処理とアスベスト検査を行った後に下水溝などへ放流する。
作業床は防水シートによって養生されるため、作業中に使用される水が未回収のまま外に流れ出すことがない。
①Hi-jet FP工法
1980年代後半までに建てられた建築物のビニル系床材には、強度や耐熱性能を強化するために、アスベストが使用されてきた。
また、下地との接着強度を高めるために、アスベスト含有床用接着剤も2002年まで使用されてきた。
近年はこれらのアスベストも問題視され始め、安全かつ適切な処理が求められている。
本工法では、専用の機械を用いて飛散を最小限に抑え、安全かつ確実に除去することができる。
超高圧水を使用した工法である為、石綿除去に必要な常時湿潤状態が維持でき、環境面・作業員の安全面にも効果的な工法である。
施工スピードは1日1台あたり100~150㎡前後。
他工法と異なり個人の技量による施工品質の差が生じにくい工法である。
詳細▶特集86ページ
②Hi-jet ARC工法®
煙突の上部と下部のボイラー室に密閉した仮囲いを設置し、「煙突アスベストライニング材除去装置」を吊り下げ、超高圧水発生ポンプ車から供給される超高圧水を専用ノズルから噴射・同時に回転させ、可変速度機能付きチェーンブロックで煙突内を上下に移動する。
その噴射した超高圧水で、煙突内のアスベストライニング材の湿潤・削り落とし・洗浄を一連の作業で、効率良く安全に除去を行える。
最後に点検口に削り落とした汚染物質を適切に処理し、終了。
排水処理も不要。
詳細▶特集86、87ページ
③Hi-jet AAC工法®
あらゆる下地調整材も一工程で除去し、工費軽減と工期短縮を実現する。
245MPaの超高圧水を超高圧水発生ポンプで発生させ、同時吸引式の特殊なアタッチメントで湿潤、噴射、剥離、吸引を同時に行い、上塗り材および下地調整材を飛散防止しながら除去。
剥離剤では除去できない無機質の下地調整材の除去も可能。
詳細▶特集87ページ
【出典】
積算資料公表価格版2025年11月号

最終更新日:2025-10-30
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