- 2023-07-28
- 特集 公園・緑化・体育施設 | 積算資料公表価格版
はじめに
GREEN×EXPO2027(2027年国際園芸博覧会 以下、本博覧会)は、日本で開催される7回目の“万博”となります。
本稿では、本博覧会の概要や今後の取組みについて紹介します。
1.国際園芸博覧会とは
国際園芸博覧会は、国際的な園芸・造園の振興や花と緑のあふれる暮らし、地域・経済の創造等を目的に、世界各国で開催されてきた博覧会です。
国際園芸博覧会には開催期間や会場の最低面積等によりA1、B、C、D の4 つのカテゴリーが設けられ、最上位であるA1 クラスの開催に当たっては、AIPH(国際園芸家協会)の承認に加え、「国際博覧会に関する条約」に基づき設置されている博覧会国際事務局(以下、BIE)の認定が必要となるため、A1 クラスの国際園芸博覧会は、当該条約に基づく国際博覧会(EXPO)としての位置付けも持っています。
日本で開催されるA1 クラスの国際園芸博覧会としては、1990 年に大阪の鶴見緑地で開催された
「国際花と緑の博覧会(大阪花の万博)」以来、37年ぶり2 度目の開催となります。
大阪花の万博はアジア初のA1クラスの国際園芸博覧会であり、約半年間の会期で2,300 万人を超える参加者数を記録しました。
これを契機にいわゆる“ガーデニングブーム”が起き、花壇苗の出荷量が増加するなど、産業振興に大きな効果をもたらしました(図- 1)。
2. 開催地・上瀬谷について
本博覧会は、横浜市の郊外部(旭区・瀬谷区)に位置する旧上瀬谷通信施設(約242ha)の南側、約100haを使用し開催されます。
会場予定地となる旧上瀬谷通信施設は、2015 年に米軍から返還された広大な土地であり、戦後約70 年間米軍施設として使用されてきたため、長年にわたって自由な土地利用が制限されており、市街化が抑制されてきました。
そのため、農地や緩やかな起伏の草地など豊かな自然が広がり、南北に流れる相沢川、和泉川の源流部、谷戸地形等の貴重な自然資本が残っています。
周辺からは丹沢山・富士山が眺望できるとともに、近接する樹林地(市民の森)との隣接部分に存在する林縁は、多様な生き物の生息環境を創出しています。
また、東名高速道路横浜町田IC に近く、複数の鉄道路線に囲まれ、多様なアクセス手段が利用できるほか、農業振興と都市的土地利用による新しいまちづくりが進められており、郊外部の活性化拠点として大きなポテンシャルを有しています(図- 2)。
3. GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)の概要
(1) 概要
本博覧会の概要は、表- 1 の通りです。
(2) 開催テーマ「幸せを創る明日の風景」
本博覧会は、地球温暖化等、世界規模の環境変動を踏まえ、自然が有する機能を活用し、花や緑との関わりを通じて自然と共生した持続可能で幸福感が深まる社会を、新たな明日の風景として可視化していくことを目指しています。
SDGs目標年の3 年前に開催される国際園芸博覧会として、持続可能な社会の形成に向けた取組みの成果を確認し、世界と共有することで、 SDGs達成をより確実なものとする機会にしたいと考えています。
(3) 正式略称「GREEN×EXPO 2027」
本博覧会について、その趣旨をわかりやすく伝え、多くの人々に親しんでもらえるよう、開催1500 日前記者発表会(2023 年2 月8 日)において、正式略称を発表しました。
それが、本稿の表題となっている「GREEN × EXPO 2027(グリーンエクスポ ニーゼロニーナナ)」です。
「植物」、「花」、「緑」を総称する言葉であり、「自然」、「環境にやさしい」という意味を持つ「GREEN」、国際的な共通課題の解決に寄与する国際博覧会「EXPO」という単語を掛け合わせることで、 SDGsやGX(グリーントランスフォーメーション)の実現に貢献する博覧会として、これからの自然と人、社会の持続可能性を追求し、世界と共有する場であることを表現しました。
多様な業界の企業をはじめ、行政や研究機関、市民も含めて産官学民でGREEN の可能性を拓き、多様な価値との出会いがもたらす掛け算(×)により、具体目標と共に課題解決のさまざまなイノベーションが生み出される博覧会を目指していきます。
4. Village共創事業
本博覧会では、さまざまな企業との共創を軸に、私たちが目指すグリーン社会を世界へ発信するGREEN×EXPO 2027 独自の参加型事業「Village共創事業」の検討を進めています。
本事業は、グリーン社会のショーケースとしてさまざまな形でこれからのまち・ライフスタイルモデルを提示し来場者に新たな体験を提供するための事業です。
さまざまな参加主体で1 つの“まち”として共創されるVillage共創事業は、2050年グリーン社会を見据えて「Well-being」「Farm& Food」などをテーマに展開を検討しています。
「Well-being」では、自然のすごさの体感や都市・暮らしへの応用、「Farm & Food」では、農・食に対するプロの極みを学び未来につなげる、という内容を検討しています(図- 3)。
5. 公式ロゴマークの決定
2023 年4 月28 日に首相官邸にて「2027 年国際園芸博覧会関係閣僚会議(第1 回)」(議長:内閣官房長官)が開催され、公式ロゴマークが公表されるとともに、岸田首相が「多くの方々に夢や希望をもたらすもの(博覧会)にしたい」と述べました。
公式ロゴマークは、2022 年10 月から公募を行い、1204 点の応募作品の中から、厳正な審査と選考を経て、喜多祐子(きた ゆうこ)氏の作品が最優秀賞作品として選出されました。
木の葉や花びらが重なり合い、私たちの暮らしにさまざまな幸福を積み重ねている様子を表現しています。
今後、開催に向けて本公式ロゴマークを積極的に活用することで開催認知を高め、機運醸成を図っていきます(図- 4)。
おわりに
本博覧会の開催まで4 年を切り、当協会としては、国、自治体、関係諸団体や民間企業の皆様と連携しながら、記憶に深く刻まれる「新しいグリーン万博」を作るべく準備を加速していきます。
本博覧会の最新情報については、公式Webサイト、公式Twitter でご確認いただけます(図- 5)。
【出典】
積算資料公表価格版2023年8月号

最終更新日:2023-07-28
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