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はじめに

大規模な災害が発生すると家屋の損壊や自衛隊の支援活動等に注目が集まるが,その裏で必ずと言っていいほど問題となるのが「トイレ」である。災害時の快適なトイレ環境の確保に向けて,国土交通省としては避難所等でのマンホールトイレの整備促進を図っており,平成28年度末時点でマンホールトイレを整備している地方公共団体は391団体,整備基数は約26,000基となっている。平成28年4月の熊本地震の際には,熊本市内の4中学校でマンホールトイレが使用され,利用者から大変好評であったと報告されている。
 
本稿では,マンホールトイレの更なる整備・活用促進を図るための国土交通省の取組み等について紹介する。
 
 

1. マンホールトイレとは

マンホールトイレとは,災害時において,下水道のマンホールや避難所等に整備した排水設備(小口径のマンホールと下水管につながる排水管)の上に便器や仕切り施設等を設置して使用するトイレである(図−1)。
 

図−1 マンホールトイレの構造(例)




 
マンホールトイレの主な特徴は次のとおりである。
 
● すぐに使える─マンホールの上に便座や囲いを設置するだけで使用可能
● 段差なし─高齢者や車いすの方でも使いやすい
● 洋式トイレが可能─使い慣れたトイレ空間を提供
● くみ取り不要─し尿は下水道へ流せるので臭いも少なく衛生的
 
災害用トイレには,マンホールトイレの他,携帯トイレや簡易トイレ,仮設トイレがある。それぞれの特性を踏まえて,時間経過や被災状況に応じて災害用トイレを組み合わせて使用し,避難所等において快適なトイレ環境を切れ目なく提供することが重要である。
 
 

2. マンホールトイレの使用事例等

2-1 実際の災害時における使用

平成28年4月の熊本地震の際には,熊本市内の4中学校でマンホールトイレが設置され,最長35日間使用された(写真−1)。
 

写真−1 熊本地震時の使用(熊本市)




 
また,平成23年3月の東日本大震災の際には,宮城県東松島市の2箇所の避難所で設置され,約900人が利用した(写真−2)。
 

写真−2 東日本大震災時の使用(東松島市)




 
実際に使用された際には,「避難所ですぐに使えて良かった」「洋式トイレだったので子どもも使いやすかった」「段差がなく安心して使えた」など好評の声が多く,災害時におけるマンホールトイレの有用性が確認された。
 

2-2 イベント等における使用

発災時にマンホールトイレを早急に運用できるようにするためには,定期的な訓練を実施することが望ましい。多くの団体でマンホールトイレの組み立て訓練は行われているが,実際にマンホールトイレを使用することで見つかる問題点を改善していくことも快適なトイレ環境づくりに有効である。
 
例えば,北九州市においては,市民マラソンや地域イベントの際に訓練の一環としてマンホールトイレを設置し,幅広い世代の方に利用されている(写真−3)。
 

写真−3 マラソン大会での使用(北九州市)




 
また,利用者からのアンケートを通じて,トイレットペーパーの位置を使い易い場所に変えたり,荷物置場が必要という声を受けて棚を設置したりすることで,トイレ環境の更なる向上が図られている。同様に恵那市では,クロスカントリー大会で使用している(写真−4)。
 

写真−4 クロスカントリー大会での使用(恵那市)




 
また,東京都墨田区では,花見の時期のトイレ不足等が課題であったことから,イベント時のトイレ不足の解消とトイレ環境の改善を図るため,期間限定でマンホールトイレを活用した臨時のトイレを設置した(写真−5)。
 

写真−5 花見会場での使用(墨田区)




 
利用者から「去年よりもトイレがきれいで,においもしないので良かった」と好評であり,快適なトイレ環境の提供によりイベント自体の満足度向上にもつながるとともに,マンホールトイレの機能が実体験を通じて確認できたと考えられる。
 
堺市では,避難所となる施設で被災を想定した宿泊訓練を行った際に,住民自らがマンホールトイレを設置し,夜間に使用する実践的な訓練が行われた。マンホールトイレの清掃や撤去も住民自らが行った。
 
このようなマンホールトイレの活用は,訓練だけでなくマンホールトイレのPRにもなる。学校の運動会等のイベントにおける使用等も有用と考えられる。
 

2-3 学校教育における使用

愛知県豊川市では,マンホールトイレが整備された小学校で,授業の一環として約100名の児童による設置訓練が行われた(写真−6)。
 

写真−6 授業における組立訓練(豊川市)




 
実際に設置するという経験により,マンホールトイレへの理解が一層進むとともに,災害に対する意識も高まると考えられる。このような取組みが全国的に広がることに期待したい。
 
 

3. マンホールトイレの整備促進に向けた国土交通省の取組み

3-1 マンホールトイレ整備・運用のためのガイドラインの策定

国土交通省では,平成28年3月に災害時のトイレの実態や被災者の健康を守るため,被災者が“使いたい”と思えるマンホールトイレを整備することを目的に,「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」を策定した。
 
ガイドラインでは,①災害時のトイレの確保の考え方,②マンホールトイレの必要数の算定方法,③快適なトイレ環境に向けて配慮することが望ましい事項,④事前準備と訓練,⑤マンホールトイレの整備・運用における7箇条の5つのポイントがまとめられている。
 

3-2 マンホールトイレ整備に対する財政支援

国土交通省では,「下水道総合地震対策事業」によって,地域防災計画に位置付けられた防災拠点または避難地に整備するマンホールトイレシステム(マンホールを含む下部構造物)を,防災・安全交付金事業等の基幹事業として補助率1/2で支援している。マンホールトイレの上部構造物等も効果促進事業として支援している。
 
また,平成28年度まではマンホールトイレ整備に交付金を活用できる防災拠点または避難地は,敷地面積1ha以上という要件であったが,平成29年度からは,敷地面積0.3ha以上であれば,交付金を活用できるよう要件を緩和したところである。これを機に,多くの地方公共団体でもマンホールトイレ整備を検討していただきたい。
 

3-3 マンホールトイレ整備促進の機運の醸成

マンホールトイレの整備促進や災害時に円滑に運用されるためには,国民にマンホールトイレの存在を認知してもらうとともに,自分にできることは何か考えてもらうことが重要である。また,行政内部の防災部局や環境部局,教育委員会等にマンホールトイレの有用性が認識され,協力体制が整うことで,マンホールトイレの整備も促進されると考えられる。
 
そうした観点から,国土交通省では3点の普及啓発コンテンツを作成した。これらは,国土交通省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000411.html)でも公開している。
 
①リーフレット
マンホールトイレの必要性や有用性,全国の整備状況等を簡潔にまとめたリーフレット。
 
②動画「災害時のトイレ,どうする?」(図−2)「災害発生直後の家庭のトイレ問題」,「避難所におけるトイレ問題」,「トイレをより快適に使うための取組み」という3部構成の動画。各部はさらに,ドラマ篇と解説篇に分かれている。地域の防災訓練や学校での防災教育,行政内部での防災会議の際等に活用いただきたい。
 

図−2 動画「災害時のトイレ,どうする?」

動画の公開先QRコード(youtubeへ)




 
③漫画「災害時のトイレ,どうする?」(図−3)

図−3 漫画「災害時のトイレ,どうする?」




 
動画の内容を手軽に把握できるように,漫画化したもの。コラムとして,災害時のトイレ問題に関する調査事例やマンホールトイレの活用事例等も収録。
 
 

おわりに

何もしなければ,災害の記憶は風化してしまう。特に,普段不自由なく使えるトイレについてはなおのことである。だからこそ,災害という非日常と日常をつないで,国民に災害時のトイレ問題を意識してもらうことが重要である。そのことは,ひいては下水道の必要性・重要性の理解促進等にもつながると考えている。
 
今後も,災害時トイレ対策について検討・実施していただくとともに,国土交通省が作成したコンテンツも積極的に活用いただきながら,災害時トイレに関する普及啓発をお願いしたい。
 
 

国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部 下水道企画課 峯 健介

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2017年11月号


 
 

 

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