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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 公募設置管理制度(Park-PFI)推進支援の取組み等について

 

はじめに

都市公園に民間の優良な投資を誘導し,公園利用者の利便性の向上を図るとともに,行政側の財政負担を軽減しつつ,都市公園の質の向上を図ることが期待されるとして,2017 年に「公募設置管理制度」(以下「Park-PFI」)は創設された。その後,全国で飲食店や売店等の便益施設が,Park-PFI制度によりできつつある。しかしながら,その普及は大都市中心であり,必ずしも地方都市でも取組みが進んでいるとはいいがたい。
 
一般社団法人日本公園緑地協会1)(以下「当協会」)では,この制度の普及推進に寄与すべく,公民連携のためのプラットフォーム「Park-PFI推進支援ネットワーク(Park-PFI PromotionSupport Network 略称:PPnet ピーピーネット)」を設置・運営するとともに,Park-PFI制度の手引書の作成・発行やシンポジウム等の開催,関連する調査研究など取組みを行っている。
 
本稿では,当協会のこれらの取組みについて紹介するとともに,Park-PFI の現況,課題等について言及したい。
 
 
 

1. Park-PFI推進支援ネットワーク(PPnet)の取組み

Webサイト「Park-PFI推進支援ネットワーク(PPnet)」2)(以下「PPnet」)は,Park-PFIに係る公民相互の情報を一元的に収集・発信することにより,初期段階における制度の周知・普及と事業の実現化に寄与することを目的としたプラットフォーム(図−1)で,当協会が,2018年2月1日に開設,運営している。PPnetへの参加にあたっては,情報の保護および反社会的勢力等の排除のため登録制とし,国の制度推進を目的としているため参加費用を無料としている。参加団体は,地方公共団体およびPark-PFI 制度に賛同する公益法人や民間事業者である。2020年5月末現在の登録者数は地方公共団体が646団体,民間事業者は429社の合計1,075団体・社である。民間事業者の業種は銀行,不動産,建設,造園,コンサルタント,製造販売,飲食等である。
 
PPnetは,下記の項目で構成している。
 
Ⅰ. サウンディング情報,公募情報(整備・管理運営)
Ⅱ. 地方公共団体情報・事業発案前の情報収集,民間事業者情報・参画希望情報
Ⅲ. プロポーザル情報(調査・検討)
Ⅳ. 実施事例(Park-PFI,PPP事業)
Ⅴ. トピックス
Ⅵ. 講習会,セミナー開催情報
Ⅶ. 関連情報
 
これまで,Park-PFIなどPPP事業のサウンディング情報約160件,公募情報約100件を結果も含め提供した。また,地方公共団体の事業発案前の情報収集を目的とした利用が7件,民間事業者の参画希望情報は11件であった。実施事例(Park-PFI,PPP事業)として,Park-PFI第一号である北九州市勝山公園など23件を提供した。
 
そのほか,Park-PFI等に関する講習会,セミナー,シンポジウムの開催情報や,一般社団法人ランドスケープコンサルタンツ協会・ランドスケープ経営研究会(以下「LBA」)とリンクし,LBAとの共催シンポジウム,フォーラム等の開催情報,また,トピックスとして国土交通省の官民連携支援事業など関連情報も提供している。
 
PPnetの特徴的な機能としては,地方公共団体が民間事業者の担当者に直接連絡できるフォーム機能が挙げられる。活用方法としては,サウンディングや公募の際に登録されている民間事業者の中から目的にあった民間事業者を抽出し,直接連絡し参加を促すことができる。これまで数件の活用事例があった。
 

図−1 PPnetトップページ(https://park-pfi.com/




 

2. 特別企画シンポジウム「新たな公民連携のあり方を考える」の開催

当協会では,一般社団法人日本造園建設業協会の各総支部と共同で,特別企画シンポジウムとしてPark-PFI の概要,事例などを紹介し議論する「新たな公民連携のあり方を考える」を企画し,2018年度,中部(名古屋市),中国(広島市),四国(松山市),九州・沖縄(福岡市)の4会場,2019年度は,北陸(富山市),東北(仙台市),北海道(札幌市),関東・甲信(東京都),近畿(京都市)の5会場と,全国の合計9会場で開催した。
 
各会場では,はじめに国土交通省から公民連携を進めていくための都市公園法改正の背景や,Park-PFIの主旨・概要等の基調講演をいただき,次に事例発表として地方公共団体,プランナー,民間事業者,大学研究者など,それぞれの立場での取組みをお話しいただいた。その後,基調講演・事例発表者によるパネルディスカッションを行い,公園での事業活動や公民連携のあり方について議論いただいた(図−2,3)。全国で約800 名の参加があり,全体では約6割が民間事業者,3割が地方公共団体であったが,参加者数や参加意識からは地域的な差も感じられた(図−4)。また,参加者からは,Park-PFI制度の理解が深まったこと,公民連携事業の最新動向を知り得たこと,公民両方向からの事業紹介があったことなど,高い評価も得られた一方,はじめてPark-PFI事業の概要に触れることができた,実際に取り組めるかどうか今後の課題である,などの意見があり,地方都市を含め今後さらなる制度普及活動の必要性を感じた。
 
今後も引き続き,地方公共団体や民間事業者等の方々にPark-PFIの知識や技術的内容,先行実施事例に重点を置きながら情報提供等を行い,普及啓発を推進したいと考えている。
 

図−2 特別シンポジウム「新たな公民連携のあり方を考える」in東北,in北海道の概要


 

図−3 特別シンポジウム「新たな公民連携のあり方を考える」in京都の開催会場のようす


 

図−4 特別企画シンポジウム「新たな公民連携のあり方を考える」参加者の構成




 

3. 「公園公民連携事業研究会」と第1次および第2次提言

図−5 「公園公民連携事業研究会」の提言


当協会では,2018 年度から2 カ年の予定で,都市公園における公民連携事業に関心のある民間事業者をメンバーとした「公園公民連携事業研究会」3)(座長:涌井史郎 東京都市大学特別教授)(以下「公民研究会」)を設置し,民間事業者の視点に立ち,公民連携事業に先進的に取り組む地方公共団体との意見交換や先行事例調査などを行うとともに,公民連携事業の円滑化に向けた方法などについて議論し調査研究を進めた。その成果は,2019年3月には「第1次提言」として,さらに,2020年3月には「第2次提言」として取りまとめ,国土交通省へ提出するとともに公表した(図−5)。
 
「第1次提言」4)では,公民連携事業の初期段階における事項(基本方針の決定,官民対話,公民の役割分担等)に関し取りまとめられ,「第2次提言」5)では,公募段階,選定段階等における事項について取りまとめられた。Park-PFIの手続きは,大きく事業発案・事業化検討,事業者選定,事業者認定,事業実施という流れになるが,それぞれの提言をこの流れのなかで整理すると(図−6)のように整理でき,事業発案・事業化検討の段階,および事業者選定段階における提言が主な論点だったことがわかる。これは,まだPark-PFI が緒についたところであり,全国的にみても事業実施までに進んでいる事例が少ない状況ではあるが,今回の研究会に参加した民間事業者が実際にPark-PFI 事業に参加するなど,現実的に課題・問題として実感されてきた事柄が提言に反映しているといえる。
 
従って,今後もこれらについては,実施事業の増加なども踏まえ継続的に調査研究を続け,そのあり方を探り提言などを行うことが重要であると考えている。このため,2020年度以降は,新たな民間事業者の参加も得て会員制による「公園緑地公民連携研究会」(会長:涌井史郎 東京都市大学特別教授)を改めて設置し,Park-PFIおよびその他の公民連携の手法,問題点なども含む調査研究を進め,さらなる提言を行う予定であり,当協会も連携協力し,より効果的な制度運用に向け取組みを進める予定である。


図−6 公募設置管理制度(Park-PFI)の手続きの流れと「公園公民連携事業研究会」の提言内容




 

4. Park-PFI事業の現況と課題・問題点

4-1 Park-PFI事業の現況

先に述べた公民研究会の調査では,2019年末現在で,Park-PFI事業が公募された案件は全国で44件把握され,そのうちの5件について事業者が決定し事業が行われ開業されている。これによれば,勝山公園(北九州市),天神中央公園(福岡市),木伏緑地(盛岡市),別府公園(別府市)の4公園は,飲食・物販などの便益施設,横浜動物の森公園(横浜市)は遊戯施設などとなっている。他の公募案件の中には,既に事業者が決まり,2020年春に開業予定であったものも多く把握されているが,このたびの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応の影響を受け,開業延期などに追い込まれている公園もあるものと思われる。実態把握などは今後の課題である。
 

4-2 大都市都市公園機能実態共同調査における把握

当協会では,平成3(1991)年から東京都と全国の政令指定都市が参加して,それぞれが抱える共通の課題について調査することを目的に「大都市都市公園機能実態共同調査」を行い,その成果の共有,国への制度改善・新規施策への提言などを行ってきている。2019年度の調査においても「都市公園の公民連携事業における民間事業者の現状と今後のあり方」に関する調査研究として,現在,事業を実施している民間事業者が,公園における事業展開についてどのように評価しているのか,採算性,メリットやデメリット,可能性や問題点,課題や要望など,今後も他の都市公園事業への参画意向があるかなど,ヒアリングやアンケートにより調査している。その結果では,サウンディング参加経験企業からは,①公共団体から目指すべき公園のビジョンが示されてない,②資本力のある大手に限られてしまい地元企業が参画しづらい,③企画提案した知的財産の保護がされていない場合がある,などの意見があげられ,また,事業実施中の民間企業からは,①公園管理者(国・公共団体)と民間事業者とのリスク分担の明確化がなされていない,②行政(国・公共団体)との調整の煩雑さ,行政(国・公共団体)の縦割り体制や担当者の異動による方針の転換,許認可の手間など,が課題としてあげられた。これらの意見のなかには,先の公民研究会の提言に重なる部分も多いといえる。
 

4-3 全国中核市等における公園緑地の課題に関する調査における把握

当協会では,一定の人口規模を持つ地方公共団体を「中核市等」と位置づけ,公園緑地に関する問題や課題の把握に努めている。具体的には,全国の中核市(58団体),施行時特例市(27団体),県庁所在市(3 団体。政令市除く),東京23区(23団体),一定の人口規模(12万人以上)の地方公共団体(106団体)の合計217団体(2015年国勢調査)で,これらの都市を対象に,2019 年度,公民連携(PPP,PFI,Park-PFI)についてその取組み状況を調査した。その結果,約6割の中核市などで公民連携の取組み事例がなく,PFIが5都市,Park-PFIは9都市で取組みが実施されていた(サウンディング,公募段階を含む)。また,3割の都市で今後前向きに検討したい意向があった。PFIやPark-PFIなど先行事例が今後全国的に増えるものと思われるが,先行事例を参考にしつつこれらへの取組み拡大が期待される。
 

4-4 その他の公園緑地の公民連携に関する課題把握

平田・橘の調査研究では,近年の都市公園が新規整備から既に開園し利用されている都市公園の民活導入による活性化,利活用促進の動向を「公園リノベーション」と位置づけ,都市公園リノベーションの優良事例を抽出し,公園管理者(行政)担当者の意識調査などを行い事業プロセスの全体構図を明らかにしている。ここでの優良事例はPark-PFIではないがPark-PFIに先行する公民連携事業であり,結論として多様な主体との調整能力の必要性や実践教育など,公園緑地行政における担当者への民活導入等への専門的な教育の必要性を示唆している6)。
 
さらに,民活導入における民間公募要項作成上の重点を把握するため,これら公園管理者(行政)担当者にヒアリング調査などを行い,この結果から,「募集者(公園管理者(行政))側の募集意図や公園・募集施設の役割の説明」「募集者側から提供できるものの説明」「応募者(民間事業者)に期待される取り組みに関する説明」「共通的な規制事項の説明」の4項目を公募要項作成上重要なポイントと指摘している。これらの項目は都市公園法第5条の2の規定による「公募設置等指針」では記載すべき事項として明示的に設定されていないが,今後都市公園への民間事業導入を拡大するためには,前述の4項目に重点を置いた公募要項の作成を行う必要があるとともに,公募要項作成の解説書等の充実など,改善することが制度の効果的な運用につながっていくと指摘している7)。
 
 
 

おわりに

Park-PFIは行政側の意向だけでは進まず,民間事業者の興味を引き出し,ビジネスチャンスの意識のもと有効な提案と,円滑な事業実施・実現にかかっていると思われる。相互の十分なコミュニケーションにより安定的,継続的な運営が行えるかどうか,「公民連携」とはその十分なコミュニケーションが行えるかどうかであろう。Park-PFI にかかる民間事業者からの意見,調査研究などからは,まだまだ相互連携が十分な状態,状況ではないことが伺うことができる。
 
今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の対応による影響は,計り知れないものがあり,現在もその状況は続いている。Park-PFIだけではなく公園,公園施設自体の使用休止や公民連携事業の実施延期も報じられている。このような状況やコロナ後の社会,経済状況においてこそ,行政と民間事業者の意思疎通を十分に図り,市民・公園利用者にとって有益,有効な公民連携による公園の管理運営が実現することを期待したい。
 
 
補注:
1)一般社団法人日本公園緑地協会(https://www.posa.or.jp/)は,昭和11(1936)年の設立以来,公園緑地,緑化などに係る幅広い事業を行っている。主な事業としては,自主調査研究,情報発信と交流推進,講習会開催,表彰・コンクールの実施,公園緑地マニュアルなど関連図書の出版,公園管理情報マネジメントシステム(POSA(ポサ)システム)の提供,受託調査事業,公園管理運営士認定事業などである。令和2(2020)年4月現在,会員構成は正会員870(地方公共団体540,法人129,個人201)賛助会員83の合計953会員である。
 
2)「Park-PFI推進支援ネットワーク(PPnet)」:https://park-pfi.com/
 
3)「公園公民連携事業研究会」の参加企業は,積水ハウス株式会社,大和リース株式会社,タリーズコーヒージャパン株式会社,東急不動産ホールディングス株式会社,三井不動産株式会社,三菱地所株式会社,森ビル株式会社,一般財団法人公園財団(五十音順)の8社・団体。
 
4)「第1次提言」の詳細については次のとおり。https://www.posa.or.jp/topics/park-pfi_recommendation20190326/https://www.posa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/20190326POSAPressRelease.pdf
 
5)「第2次提言」の詳細については,次のとおり。https://www.posa.or.jp/topics/park-pfi_recommendation20200319/https://www.posa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/03/20200319POSAPressRelease.pdf
 
6)平田富士男・橘俊光(2019):大都市部市街地の都市公園リノベーション事業優良事例から見た事業プロセスの全体構図:ランドスケープ研究82(5),493-498
 
7)平田富士男・橘俊光(2020):大都市市街地の都市公園リノベーション事業優良事例に見る民間公募要項作成上の重点:ランドスケープ研究83(5),533-538
 
 
 

一般社団法人 日本公園緑地協会 常務理事  橘 俊光

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2020年8月号


 
 

 

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