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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 横浜市におけるマンホールトイレ活用の取組み ~災害用ハマッコトイレの整備~

 

  • 横浜市庁舎の災害用ハマッコトイレ
    写真-1 横浜市庁舎の災害用ハマッコトイレ


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    はじめに

    近年,日本では地震や局地的大雨,台風などの災害が毎年発生しており,その被害は甚大なものになっています。
    「自助」「共助」への意識が高まるなか,官公庁は自然災害への対策を行い,「公助」により注力しているところです。
    地方公共団体は平成23年に発生した東北地方太平洋沖地震を契機に,今後起こり得る最大クラスの地震・津波による被害を想定の上,防災計画の抜本的な見直しを行ってきました。
     
    横浜市でも,想定される被害を軽減するための減災目標を設定し,目標達成に必要な対策を実施していくための「地震防災戦略」の策定をはじめ,自助・共助・公助の連携を念頭に置き,さまざまな災害に対する対策を講じてきています。
     
    「防災」を考えるにあたって,「災害時でも使えるトイレの確保」は重要な対策のひとつです。
    災害が発生し,各家庭や避難所の水洗トイレが機能しなくなり排泄物の処理が滞ると,感染症や害虫発生のリスクが高くなります。
    また,トイレが不衛生ということで使用をためらわれることによって健康被害につながる可能性もあります。
     
    この重大な課題への対策のひとつとして,横浜市では平成21年度から住民が自宅に住めなくなった場合などに避難生活を送る地域防災拠点(主に市内の小中学校)や応急復旧活動拠点である各区役所,災害拠点病院に下水直結式仮設トイレの整備を進めています。
    整備にあたっては,環境創造局管路保全課や資源循環局街の美化推進課,各区の土木事務所といった複数の部署で分担をしながら横浜市全体で進めています。

     
     

    1. 災害用ハマッコトイレとは

    横浜市では地域防災拠点などに設置する下水直結式仮設トイレは,「災害用ハマッコトイレ」(以下,ハマッコトイレ)という通称で市民に広く認知されています。
    この通称は住民の方々に親しみを持ってもらうため,市民公募によって決定したものです。
     
    ハマッコトイレは,仮設トイレ用の下水道管に汚水を受け入れる立ち上がり管を5基設置しており,使用時には立ち上がり管上部に便座および上屋を設置します。
    下水道管の下流は公共下水道に接続していますが,管の間に貯留弁を設けることによって,管内にあらかじめ一定量の水を溜める
    構造になっています。
    管内に汚物を流入させ,一定人数が使用後に貯留弁を開放し汚物を公共下水道に流す仕様になります。
    主にプールの水を水源としているため,地震時に断水した場合でも水洗トイレとして使用できます。
    プールが無い拠点には,貯水槽の設置をハマッコトイレの整備に併せて行っています。
     
    ハマッコトイレの使用については,
     ①立ち上がり管の蓋をはずし,仮設トイレを設置する。
     ②注水用マンホールから下水道管に水を貯める。
     ③トイレが使用可能になる(必ず下水道管に水を貯めてから使用)
     ④約500人使用したら貯留弁をあけ,排水する(1日に1~2回程度)
     ⑤下水道管が空になったら貯留弁を閉める。
     ⑥②に戻る。
    という順序になります(図-1)。

  • 横浜市庁舎の災害用ハマッコトイレ
    図-1 災害用ハマッコトイレ案内看板(整備完了拠点に設置)


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    2. ハマッコトイレの整備

    平成21年度からハマッコトイレの整備をスタートし,令和2年度末時点で市内全483拠点のうち,332拠点の整備が完了(図-2)しており,令和5年度までの全拠点整備完了を目標に事業を進めています。
    液状化被害想定区域を優先に整備を進め,近年は年間の整備拠点数を増やしスピードアップを図ってきました(図-3)。
     
    ハマッコトイレの整備にあたっては,事前に学校管理者や地域防災拠点運営委員長と協議を行い,設置位置の選定を行っています。
    設置位置の選定に際しては,避難所からトイレまでの距離が近いところを検討します。
    一方で,避難所からトイレまでが近いと他人の目が気になるということで,あえて避難所から距離を離したところに設置を要望される拠点もあります。
    このように,拠点ごとにさまざまな考えがあるため,学校管理者や地域防災拠点運営委員長と慎重に設置位置を決定していく必要があります。

  • 横浜市庁舎の災害用ハマッコトイレ
    図-2 横浜市内のハマッコトイレ整備完了拠点
    (令和2年度末時点,332拠点)


  • 横浜市庁舎の災害用ハマッコトイレ
    図-3 ハマッコトイレの整備拠点数の推移


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    3. 使用方法の周知

    ハマッコトイレの整備が完了した地域防災拠点では,横浜市職員が防災訓練の際に指導員として参加し,トイレの設営方法や送水作業などの指導や補助を行っています。
    訓練では,実際にハマッコトイレを使用することを想定して,①ます蓋を開けるところから,①トイレの上屋および便座の設置,①プール等の水源から下水道管へ水を送るためのポンプとホースの準備と送水作業,①管に貯まった水を流すための貯留弁の操作を一連の流れで行います(写真-2~5)。

  • ハマッコトイレ使用方法の周知
    写真-2 ①ます蓋を開ける
  • ハマッコトイレ使用方法の周知
    写真-3 ②トイレの上屋および便座の設置

  • ハマッコトイレ使用方法の周知
    写真-4 ③水を送るためのポンプとホースの準備
  • ハマッコトイレ使用方法の周知
    写真-5 ④水を流すための貯留弁の操作

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    4.ハマッコトイレの維持管理

    整備後のハマッコトイレは,定期的に横浜市管工事共同組合(以下,組合)を通して点検業務を行い,維持管理を徹底するとともに,組合と災害協定を締結し,緊急時には地域防災拠点の排水設備の点検を行ってもらうこととしています。
    また,地域の方々のみで行う防災訓練でハマッコトイレの異常が見られた場合は,市職員が直接現地に伺い,状況の確認を行います。

     
     

    おわりに

    災害時のライフラインの確保は重要な「公助」のひとつです。
    その中でも,トイレの確保は,健康状態に直接影響を及ぼし得る重点課題であると考えています。
     
    今後も,横浜市内の全拠点整備完了を目標に,整備に取り組んで参ります。

     
     

     
     
     

    横浜市環境創造局下水道管路部管路保全課
    小泉 祐二

     
     
    【出典】


    積算資料公表価格版2021年12月号
    積算資料公表価格版

     
     

     

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