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1.策定・公開の目的

上下水道施設の老朽化や管理に精通した熟練職員の減少などが急速に進む中、将来にわたり上下水道サービスを提供し続けるためには、デジタル技術を活用し、メンテナンスを高度化・効率化させる上下水道DXの推進が重要です。
しかしながら、地方公共団体によっては、メンテナンス業務に活用できるデジタル技術の情報を十分に有しておらず、それらの技術が活用されていない場合が考えられます。
 
令和6年7月に岸田総理(当時)による愛知県豊田市での視察の際には、「メンテナンスの効率化を抜本的に向上させることが可能となる上下水道DX技術のカタログを令和6年度中に策定し、今後5年程度で標準装備を進めていきたいと考えています。」との発言がありました。
 
また、第9回デジタル行財政改革会議(令和7年2月20日)では、石破総理から「人工衛星データやドローンなどを用いた漏水検知、地中の管路内部の点検等のDX技術について、今後5年程度で全国で実装するという目標を大幅に前倒しし、できる自治体から速やかに実装を進め、3年程度で全国で標準実装できるよう取り組んでください。」との発言もありました。
 
こうしたことを踏まえ、地方公共団体による上下水道施設のメンテナンスの高度化・効率化に向けたデジタル技術の導入を後押しするために、「上下水道DX技術カタログ」を策定し、令和7年3月28日に公開しました。
 
 

2.掲載技術

本カタログでは、上下水道施設のメンテナンスの高度化・効率化に資するデジタル技術のうち、国内で実用化され導入実績のある「点検調査」、「劣化予測」、「施設情報の管理・活用」などに活用できる119の技術を掲載しております(図- 1)。
 
なお、実証中や試験的に導入された技術は掲載対象としておりません。
 
カタログの作成に当たっては、上下水道の関連協会・団体経由で会員企業などから技術情報を募集するとともに、国土交通省のHP上でも公募を行いました。

【図-1 DXカタログの掲載対象範囲】
【図-1 DXカタログの掲載対象範囲】

 
 

3.本カタログの特徴

本カタログは、技術概要から適用条件・範囲、導入実績、導入された地方公共団体からのコメント、さらにはコストを掲載するなど、地方公共団体のご意見も踏まえて使い勝手がよくなるよう工夫しております。
また、令和7年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえ、下水道管路の全国特別重点調査にも活用できる調査技術(ドローンによる管路内調査技術、地中レーダによる空洞調査技術、打音調査による管路の健全度評価技術等)なども掲載しております。
 
カタログの媒体としては、119の技術情報を冊子(PDF)にまとめたものと、導入目的や対象施設、要素技術の3つの条件から効率的に見たいカタログを引き出すことが可能な検索システムを構築しており、国土交通省のHPで公開しております(最後に掲載した二次元コードから当該HPを見ることができます)。
検索システムを用いた検索方法については、単一または複数の条件でも検索が可能です。
例えば、図- 2のように、対象施設で下水道の“管路施設”、目的で“点検調査”、要素技術で“ドローン”を指定し検索すると、該当する5件のDX技術について確認できます。

【図-2 カタログ検索システムの使用例】
【図-2 カタログ検索システムの使用例】

 
 

4.本カタログの活用に向けて(今後の予定)

地方公共団体の皆さまにさまざまなDX技術の情報を確認していただくとともに、上下水道施設のメンテナンスにご活用いただけるよう、カタログの内容や掲載技術に関する説明会の実施や、より効果的にカタログ情報へアクセスする方法などを検討する予定です。
 
加えて、DXに係る技術開発は日進月歩ですので、定期的にカタログの掲載内容の更新や新しい技術の追加を行い、タイムリーで使い勝手の良いカタログになるよう改訂していく予定です。
 
地方公共団体の皆さまにおかれましては、DX技術の速やかな実装に向けて、本カタログを積極的にご活用いただき、導入の検討をお願いいたします。
 
 

5.おわりに

カタログの作成には、上下水道の関連協会・団体、民間企業、地方公共団体など多くの方々にご協力いただきました。
この場をお借りして感謝申し上げます。

上下水道DX技術カタログHP

 
 
 

国土交通省 大臣官房参事官(上下水道技術)付(上下水道審議官グループ)
山森 隼人

 
 
【出典】


 積算資料2025年7月号
積算資料2025年7月号

最終更新日:2025-09-29

 

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