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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料 > 令和4年度 港湾請負工事積算基準の改定について

国土交通省港湾局では,国による港湾・海岸土木請負工事等の発注に当たり,その予定価格の基礎となる積算価格を適切に算出するために「港湾請負工事積算基準」(以下,「積算基準」という)を制定している。
この積算基準は,毎年,施工実態等を調査・分析し,社会情勢の変化,工事規模の大型化・多様化,さらには技術革新等の施工環境の変化に迅速かつ適切に対応するために所要の改定を行っている。

 
 

1. はじめに

港湾工事は,施工場所の大部分が海上や海中であるため,陸上土木工事に比べて気象・海象条件等の影響を受けやすく,また,施工規模の大型化や建設地の沖合展開,早期供用への対応等により,施工環境はより厳しいものとなってきている。
加えて,昨今では,休日確保をはじめとした「働き方改革」や,適正利潤の支払いによる「担い手の育成・確保」,ICT・DXを活用した「生産性の向上」への対応が急務となっており,実態に即した積算基準の改定が求められている。
 
この積算基準の編成は,工事内容の細分化方法を「港湾工事共通仕様書」の港湾工事工種体系と整合をとっており,工事内容が受発注者双方にとってわかりやすいものになるよう,契約内容や事務処理手続きの明確化に努めている。

 
 

2. 施工実態調査の概要

積算基準改定の基礎データとなる実態調査の概要は,以下のとおりである。

(1) 施工実態調査

施工実態調査は港湾工事等の施工実態を調査・分析するもので,積算基準が施工実態を適切に反映しているかを検討するための最も重要な調査の一つであり,モニタリング調査と詳細調査に分類される。
 
従来は国土交通省発注工事を対象に調査を実施してきたが,サンプル数をより多く確保するため,平成16年度からは各都道府県等港湾管理者にも調査に協力していただいている。

 

① モニタリング調査
モニタリング調査は,次に述べる詳細調査の工種以外の全工種を対象に実施するものである。
 
施工実態と積算基準との乖離傾向を概略的に把握し,詳細調査の必要性を判断する目的のものであり,継続的に実施する調査である。

 

② 詳細調査
モニタリング調査の結果等により,施工実態と積算基準とに乖離が認められると判断される場合に,該当工種について詳細に調査を実施するものである。
 
積算基準の改定は,この調査結果を分析し,現行積算基準との比較検討を経て,とりまとめられている。

(2) 未制定歩掛の調査

積算基準に歩掛が設定されていない工種のうち,汎用性が高く歩掛設定の需要が高い工種について,必要に応じ実態を調査し,積算基準の構築を目指し検討するものである。

(3) 作業船稼働実態調査

港湾工事等で使用する各種作業船の機械経費を算定するための基準として「船舶および機械器具等の損料算定基準」を定めているが,その基礎となる民間各社が保有する作業船の稼働実態を調査するものである。
 
なお,「船舶および機械器具等の損料算定基準」は,実態調査の結果を踏まえ2年に一度改定している(令和4年度は改定の年)。

(4) その他の調査

港湾の積算基準に関係する調査のうち,浚渫工事や海岸工事など,国土交通省関係部局と農林水産省で共通する項目については二省共同で調査を行っており,調査結果を踏まえて積算基準を改定している。
 
この他,公共事業労務費調査,間接工事費等諸経費動向調査を毎年実施しており,公共工事設計労務単価や共通仮設費率,現場管理費率がより実態に即したものとなるよう努めている。

 
 

3. 令和4年度積算基準の主な改定

(1) 施工実態調査に基づく改定

施工実態調査によって得られたデータを分析し,現行の積算基準との乖離が認められた以下の工種を改定する。
 
① 港湾工事における潜水士船および本体工(ケーソン仮置・据付)に使用する起重機船の大型化を確認したため,船舶の規格を改定
② 港湾工事に使用する潜水士船および安全監視船を自力回航対象船舶に追加
③ 港湾工事の現場で通常必要な費用として,新たに気象海象情報料を共通仮設費率の対象項目に追加

(1) その他の改定

① 積算の総則
一部の積算においては,個々の現場条件を勘案せずに,積算基準に定められた歩掛をそのまま適用しているケースが見受けられる。
この結果,積算と実態に差異が生じ,受注者の責によらない必要不可避な経費を受注者が負担している場合がある。
 
以上を踏まえ,積算基準における歩掛を適用することが適切でない場合においては実態に見合った積算を行うよう,積算基準の総則に基本姿勢を明記した。

 

② 消波工(異形ブロック製作工)の市場単価
消波工(異形ブロック製作工)の歩掛に含まれる型枠工およびコンクリート打設工については,積算作業の合理化等を目的として試行単価を適用して工事実態を検証してきたが,今般,試行単価の妥当性を確認できたため,市場単価に移行する。

 
 

4. おわりに

本積算基準の活用により,受発注者の共通認識が深まり,適切な予定価格の算出と適正な利潤の確保が図られ,ひいては,港湾工事等の品質確保や港湾業界の担い手確保の実現を期待する。
 
今後も,関係各位から寄せられるご意見等を踏まえ,より実態に即した積算基準となるよう努力していく所存である。

令和 4 年度の主な改定内容

令和 4 年度の主な改定内容

令和 4 年度の主な改定内容

令和 4 年度の主な改定内容

令和 4 年度の主な改定内容



 

国土交通省 港湾局 技術企画課

 
 
【出典】


積算資料2022年5月号
積算資料2022年05月号

最終更新日:2022-11-21

 

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