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一般社団法人セメント協会 普及部門
春日 一成

 

1.はじめに

セメント業界では,新たなセメント・コンクリート需要の創出を目的に,コンクリート舗装の普及について業界を挙げて取り組んでいる。
 
諸外国のコンクリート舗装の現状を高速道路でみると,フランス15%,イギリス20%,ドイツ25%,ベルギー40%,アメリカ37%(コンポジット舗装含む),韓国63%となっている。
 
一方,わが国の道路舗装は,昭和30年代初めまではコンクリート舗装が主流であったが,その後アスファルト舗装が急増し,現在のコンクリート舗装の割合は,道路全体でみると5%程度にとどまっている。
 
このような状況を鑑み,セメント業界では早くからコンクリート舗装の普及に向けた取り組みを開始,その成果として課題への対応技術が生まれ,現在,関係学協会や関連業界である全国生コンクリート工業組合連合会と連携した普及活動を行うとともに,国土交通省の各地方整備局,自治体等の発注者との意見交換会,説明会,セメントメーカー等との共催による施工見学会などを行なっている。
 
 

2.舗装をめぐる社会情勢の変化

わが国の道路舗装の主流が,コンクリート舗装からアスファルト舗装へと変わっていった背景は,高度経済成長に伴う交通量増加に対応して道路整備が急がれ,初期建設コストが安く,早期交通開放が可能なアスファルト舗装が多用されたことにある。
 
しかし近年は,厳しい財政状況が続く中,舗装を取り巻く環境は大きく変化し,高度経済成長期にかけて建設された道路をはじめとする社会資本の老朽化が進み,今後その維持管理の必要性がますます増大すると思われる中,耐久性の高い道路整備への重要性が認識され,舗装にも長寿命化やライフサイクルコストの縮減が求められるようになってきた。
 
このような流れから,国土交通省は2012年度に「耐久性に優れるコンクリート舗装を積極的に活用する」との方向性を示し,さらに2013年4月には,改定された国土交通省設計業務等共通仕様書に「道路舗装の設計段階で,コンクリート舗装とアスファルト舗装を比較検討する」ことを追記した。
 
こうした動きを反映し,その後地方自治体関係では特に山口県が2013年,地産地消という観点から「やまぐち産業戦略推進計画(中間案)」で「コンクリート舗装の使用範囲の拡大」の方針を公表,その活用に本腰を入れている。こうした自治体では関係技術者向けに独自のマニュアルを作成・公表するなど積極採用を後押しする動きが萌芽している。また,学協会の活動に目を向けると,日本道路協会は主に道路管理者を対象にコンクリート舗装の設計・施工・維持管理を網羅したガイドブックの作成に着手,土木学会やセメント協会では,コンクリート舗装の技術的課題解決への検討を行うなど,産官学で連携した活動が展開されている。そのため,各地でこれまでコンクリート舗装があまり採用されなかった明かり部での施工実績が徐々に増加しつつある。
 
 

3.コンクリート舗装の優れた特長

コンクリート舗装の特長は,
①耐久性が高く長寿命で維持管理の合理化や環境負荷の軽減が可能
②ライフサイクルコストが低廉
③路面の転がり抵抗が小さく大型車の燃費が改善
④夏季の路面温度がアスファルト舗装に比べ最大10℃程度低くヒートアイランド抑制効果がある
といった点が挙げられる(表− 1)。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
特に②については,全国各所の国道13路線19箇所において供用中のコンクリート舗装を調査した結果,初期コストはアスファルト舗装を上回るものの,ライフサイクルコストはアスファルト舗装に比べ供用後25年経過時において約2割低減すると報告されている(※1)(図− 1)。
 

図− 1 コンクリート舗装とアスファルト舗装のライフサイクルコスト比較例


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さらに適切な施工により50年近く打ち替えなしで供用が続けられているコンクリート舗装区間(写真−1)もあり,この場合のライフサイクルコストはアスファルト舗装の1/3程度で済むとされている。
 

写真− 1  供用後50年以上健在の普通コンクリート舗 装(国道20 号 八王子市)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こうしたコンクリート舗装の優れた耐久性は,長期における維持管理コストの低廉性が最大のセールスポイントである。
 
 

4.コンクリート舗装の課題への対応技術

コンクリート舗装は耐久性に優れるという大きな長所を有しているが,一方で建設コストが高い,養生期間が長い,あるいは騒音が大きい,すべり易い場合がある,などの指摘がある。このような課題の克服に向けて積極的に技術開発が行われた。それらの代表例を以下に示す。
 

(1)早期交通開放に関する技術

早期交通開放型コンクリート舗装
(1 DAY PAVE)(1 日間で交通開放)

 
従来用いられている一般に高価で可使時間が短いセメント系材料とは異なり,通常の材料を用いて舗装性能を保ちつつ1日で交通開放を可能とした技術であり,国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)へ「1 DAY PAVE」として登録された(2013 年8 月)。
 
現在までに全国各地で50箇所近くの試験施工実績を経て,2014年には岡山県の国道や山口県,兵庫県,奈良県の公共工事でも採用され(写真−2),その有効性が確認されたことから,さらに各地での採用が進むことが期待される。
 

写真− 2  1 DAY PAVE の施工(山口県宇部市)汎用 材料で早期交通開放を実現


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

(2) 騒音低減に関する技術

ポーラスコンクリート舗装
 

ポーラスコンクリート舗装は,15〜25%の連続空隙をコンクリート版内に形成し,水や空気の透過性を付加したコンクリート舗装である。水を透すことで,舗装路面の水溜り防止や舗装版内への雨水の一時貯留による洪水対策などに有効である。また空気を透すことで,自動車走行時のエアポンピング音を抑制することができる。
 
このような排水性や低騒音性機能を付加したポーラスコンクリート舗装の研究が進み,2007年に普及促進のための技術資料として「車道用ポーラスコンクリート舗装設計施工技術資料」を刊行した。こうした一連の取り組みの成果の一端として,2013 年に阪神高速2号淀川左岸線でポーラスコンクリート舗装が本格採用(写真− 3)され,今後の車道用ポーラスコンクリート舗装の普及に一層の弾みがつくことが期待される。
 

写真− 3  阪神高速2号淀川左岸線のポーラスコンク リート舗装(大阪市)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

(3)補修工法に関する技術

ダイヤモンドグラインディング工法(DG)
 
コンクリート舗装は,長期の供用によりすべりや騒音の課題があることが指摘されることがある。このためアメリカで実績のあるダイヤモンドグラインディング工法に着目し,路面性能の回復を試みる調査を実施した。ダイヤモンドグラインディング工法とは,円筒状のシャフトにダイヤモンドブレード(刃)を複数枚装備したカッティングヘッドが,下から上向きに掻き上げるように回転し路面を所定の深さに削っていく工法で,2010年に東京都北区の区道で供用後40年以上経過したコンクリート舗装へ試験施工を行ったところ,騒音が施工前に比べかなり改善されるなど,路面性能が大幅に回復できることが判明し,コンクリート舗装の機能的寿命の向上技術として期待される(写真− 4〜7,図− 2)。
 

写真− 4 東京都北区での試験施工 ダイヤモンドグラインディングマシン

写真− 5 ダイヤモンド ブレード

 

写真− 6 カッティング ヘッド


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

写真− 7 施工前後の路面状況

 

図−2 施工前後の騒音レベル


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

5.コンクリート舗装の施工

コンクリート舗装の施工は,適切な施工計画を立て,所要の出来形および性能を確保するように行う。標準的なコンクリート舗装の種類として,普通コンクリート舗装,連続鉄筋コンクリート舗装,転圧コンクリート舗装が挙げられるが,適用する工法や使用する材料に関しては,交通条件,環境条件,施工条件,経済性,環境保全等を十分に勘案して選択する必要があることが示されている(※2)(写真−8〜10)。
 

写真− 8  普通コンクリート舗装(国道8号 石川県小 松市)最も一般的なコンクリート舗装


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

写真− 9  連続鉄筋コンクリート舗装(国道22号 名 古屋市)目地がなく快適な走行性と高耐久 性を両立


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

写真− 10  転圧コンクリート舗装(国道408 号 茨城 県つくば市)超硬練りコンクリートをアス ファルトフィニッシャと振動ローラで転圧


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
コンクリート舗装の施工工法は,大きく分けてセットフォーム工法,スリップフォーム工法,転圧工法に分けられる(図− 3)。
 
 
 
 

図− 3 コンクリート舗装の施工工法 (上記3 枚出典 社団法人日本道路協会講習会資料)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
セットフォーム工法は,型枠を設置して施工する一般的な工法で機械施工と人力施工があり,工事規模や適用箇所などにより使い分けられる。
 
スリップフォーム工法は,型枠を使用せず締固め・成形を行いながら連続的にコンクリート舗装を打設する工法で,1日の施工面積が大きく,平坦性の向上が長所として挙げられ欧米諸国では一般的に用いられている。一方,使用するコンクリートが異なること,自立性の高いコンクリートが必要なことが留意点として挙げられる。
 
転圧工法は,高締固め型のアスファルトフィニッシャを用いて超硬練りのコンクリートを締固めて舗設する。使用するコンクリートの単位水量が少なく,コンクリート面が乾燥しやすいため,敷きならし後,速やかに転圧する必要がある。
 
いずれの工法も,荷下ろし,敷きならし,締固め,養生など多くの工程による連続作業となるため,コンクリートの製造,運搬を含めた効率のよい施工計画を立てることが重要とされる。
 
 

6.おわりに

セメント業界は,従来から他産業で発生する廃棄物・副産物を,原料・エネルギー等の代替として積極的に活用してきている。最近では,下水汚泥や一般ごみ焼却灰など,地域の生活系廃棄物の利用も拡大しており,循環型社会の形成に寄与するとともに,廃棄物最終処分場不足の緩和にも貢献している。
 
また,セメントは外国に頼らなくても製造できるわが国では数少ない資材であり,今後とも安定的な供給が可能である。一方,ストレートアスファルトは石油の副産物であり,今後の安定供給には不安な面も感じられる。
 
コンクリート舗装の利用拡大は,わが国の道路整備やその利用において,環境・経済の両面で大きく貢献するとともに,セメント業界による循環型社会形成への貢献をさらに拡大するものであり,今後とも関係各位のご支援・ご協力を賜りコンクリート舗装技術のさらなる向上と普及に努めていく所存である。
 


 
参考文献(※1)
社団法人セメント協会舗装技術専門委員会;R-24既存コンクリート舗装のライフサイクルコスト調査結果,2009年1月
 
参考文献(※2)
社団法人日本道路協会;コンクリート舗装に関する技術資料,2009年8月
 
 
 
【出典】


土木施工単価2015春号

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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