建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 土木工事標準歩掛の改定について

 

1.はじめに

土木工事標準歩掛(以下,「標準歩掛」という)は,土木工事に広く使用されている工法について,施工合理化調査等の実態調査に基づき土木施工に必要とされる標準的な機械,労務,材料等の所要量を工種毎に設定しています。
 
この標準歩掛は,「中央建設業審議会(中建審)」の建議を踏まえて,昭和58 年3 月に整備・公表し,その後,改定や制定を重ねて,現在に至っており,土木工事費の積算の基礎資料として,国,県,市町村の発注官庁をはじめ,民間でも標準的な指標として広く活用されています。
 
 

2.平成30年度標準歩掛の改定概要

標準歩掛は,各種施工制約の増加などの社会環境の変化,あるいは使用機械の機能向上,新技術・新工法の開発など,施工形態の変化に的確に対応した適正なものとする必要があります。
 
さらに,平成26年6月の品確法の改正により,「担い手の中長期的な育成・確保のための適正な利潤が確保できるよう,施工実態等を的確に反映した積算を行うこと」が発注者の責務として明記されましたので,より一層,施工状況のモニタリングが重要となってきています。
 
このような中,平成28年度に施工合理化調査等を実施した112工種について,平成29年度に施工実態を分析した結果,9工種の制定・改定を行うこととしました。
 
その9工種の制定・改定概要について,以下のとおり紹介します。
 
 

(1)新規制定工種(2工種)

①張りコンクリート工
張りコンクリート工は,縦排水溝・小段排水溝周りに法面排水による洗掘防止等や防草コンクリートとして路肩や分離帯に防草や防火,表面排水等を目的として行うもので,平均5㎝以上10㎝以下の厚さでコンクリートを打設する工法です。
 
基面整正,型枠工,コンクリート打設(縦排水溝・小段排水溝と防草コンクリートを区分),養生工についてそれぞれ100㎡当りの歩掛を新たに制定しました。よって,通常のコンクリート工とは設計表示単位(㎥)が異なるため積算時において注意が必要となります(写真−1,2)。
 
 


  • 写真−1 防草コンクリート
    (バックホウ)打設状況

  • 写真−2 防草コンクリート
    (人力)打設状況



 
②ガス切断工
ガス切断工は,鉄を主材料とした鋼材(H鋼杭,鋼矢板,鋼管杭)を酸素ガスとアセチレンガスを用いたガス切断機で切断する工法です。
 
現場で鋼管杭(Φ400〜Φ600),H鋼杭(H300〜H400),鋼矢板(Ⅱ型,Ⅲ型,Ⅳ型,Ⅴ型,VL型,Ⅱw型, Ⅲw型,Ⅳw型,10H型,25H型)をガス切断する場合に適用する歩掛を新たに制定しました(写真−3,4)。
 


  • 写真−3 ガス切断状況

  • 写真−4 鋼材現場ガス切断状況



 

(2)既存歩掛の改定を行った工種(7工種)

①現場吹付法枠工
現場吹付法枠工は,長大な法面,整形困難な凹凸斜面,節理や亀裂のある岩盤,整形後早期に保護する必要がある法面等において用いられる法面保護工法です。
 
法面清掃工における職種編成人員の見直しや諸雑費においてライフライン(仮設ロープの予備)材料費の計上など,現場実態を反映した歩掛の改定を行いました(写真−5)。
 

写真−5 法面清掃状況




 
②雪寒仮囲い工
雪寒仮囲い工は,積雪寒冷地の冬季における土木構造物の施工において,雪寒仮囲いを設置し構造物を養生する工法です。
 
雪寒仮囲い設置・撤去において,Pタイプ,W・PWタイプの労務歩掛やPタイプの使用機械(ラフテレーンクレーン→バックホウ・クレーン機能付き)の見直しなど現場実態を反映した歩掛の改定を行いました(写真−6)。
 

写真−6 雪寒仮囲い設置状況(W・PWタイプ)




 
③鋼管ソイルセメント杭工
鋼管ソイルセメント杭工法は,原地盤中に掘削攪拌ヘッド先端より所定配合のセメントミルクを注入し,攪拌混合して造成した固化体(ソイルセメント柱)内に突起(リブ)付鋼管を沈設し,両者を一体化させる杭工法です。
 
現行歩掛の適用範囲である「同時沈設方式」(ソイルセメント柱を造成しながら同時に鋼管を沈設する方法)のほかに,「後沈設方式」(所定のソイルセメント柱を造成した後,鋼管を建込み沈設する方法)の施工実績が多く見られたことによる適
用範囲の拡大,機種の選定時における継杭の有無による使用機械の能力,継杭溶接時間の見直しについて,現場実態を反映した歩掛の改定を行いました(写真−7,8)。
 


  • 写真−7 杭建込み状況

  • 写真−8 攪拌ヘッド



 
④大口径ボーリングマシン工
大口径ボーリングマシン工法とは,大口径ボーリングマシンを使用して地盤を掘削し,鋼管杭又はH形鋼を建込み,中詰コンクリートの打設,外詰モルタルの注入等の一連作業で杭を形成する工法です。
 
近年の現場や施工条件の変化により,適用範囲としての施工目的(基礎杭)の拡大や設計杭径及び削孔径の変動,杭材の頭出しの施工が見られたため適用範囲の見直し,また頭出しに伴い使用機械(ラフテレーンクレーン)の大型化等,現場実態を反映した歩掛の改定を行いました(写真−9,10)。
 


  • 写真−9 削孔状況

  • 写真−10 やぐら設置状況



 
⑤プレキャストセグメント主桁組立工
プレキャストセグメント主桁組立工は,工場又は現場近くで製作したプレキャストセグメント(主桁を基数分割されたもの)を接着剤で圧着した後にPCケーブル緊張を行いグラウト材を注入し主桁を製作する工法です。
 
PCコンポ桁等の施工実績が多く見られたことによる適用範囲の拡大,歩掛の区分に桁種別を追加し,中空桁とその他(T桁,少数桁,PCコンポ桁)に区分し桁高による日当り施工歩掛へ改定を行いました(写真−11,12)。
 


  • 写真−11 PCコンポ桁主桁組立状況

  • 写真−12 PC中空床版桁主桁組立状況



 
⑥路面清掃工
路面清掃工は,真空式及びブラシ式路面清掃車による道路清掃作業です。
 
近年の現場環境の変化による,塵埃量の増加に伴う路面清掃車の清掃速度に変動が見られたことから,現場実態を反映した歩掛の改定を行いました(写真−13)。
 

写真−13 路面清掃状況




 
⑦バイブロハンマ工
バイブロハンマ工は,土留めや締切を目的として鋼矢板やH形鋼を施工(打込み,引抜き)する工法の一つです。打込みには,対象地盤の固さ(最大値)により単独打込み,ウォータジェット併用施工といった施工方法があります。
 
新規材料のハット型(45H,50H)の出現による適用範囲の拡大など,現場実態を反映した歩掛の改定を行いました(写真−14)。
 

写真−14 打込み状況




 

3.おわりに

公共事業を円滑に執行するためには,現場の施工実態や資機材の需給動向など,時事変化する事象を的確に把握し,工事の品質及び安全の確保,環境の保全等に十分な配慮がなされているかにも着目した上で,標準歩掛を整備していくことが必要です。
 
引き続き,品確法の改正の主旨も踏まえ,必要な標準歩掛の制定・改定を行い,適正な予定価格が積算できるように努めて参ります。
 
なお,標準歩掛は,実際の施工における工法や施工機械を規定するものではなく,あくまでも標準的な施工を想定した予定価格を算出するためのツールです。このことを正しく理解し適切な運用をお願いします。
 
 
 

国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課 施工調査係 山本 啓介

 
 
【出典】


積算資料2018年5月号



 

 

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