ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料 > 西九州自動車道(佐々IC~佐世保大塔IC間)4車線化事業─信頼性の高い高速道路ネットワークの構築─

1.はじめに

西九州自動車道(以下、「高速道路」)は、福岡県福岡市を起点として、佐賀県唐津市、長崎県佐世保市などを経由して佐賀県武雄市に至る自動車専用道路です(図-1)。
 
西日本高速道路株式会社(以下、「NEXCO西日本」)佐世保工事事務所では、佐々インターチェンジ(以下、「IC」)~佐世保大塔IC間の約16.8kmの暫定2車線区間の4車線化の事業を担当しています(図-2)。
 

【図- 1 西九州自動車道 概況図】
【図- 1 西九州自動車道 概況図】
【図- 2 事業位置図】
【図- 2 事業位置図】

 
当該区間の1日当たりの断面交通量は、約2~3万台と非常に多く、交通容量の不足による渋滞や対面通行による重大事故の発生などが課題となっています(写真-1、2)。
 

【写真- 1 渋滞発生状況】
【写真- 1 渋滞発生状況】
【写真- 2 事故発生状況】
【写真- 2 事故発生状況】

 
このような背景の中、現在、国土交通省が維持・管理を行っている佐々IC~佐世保中央IC間(約9.0km)と、NEXCO西日本が有料道路として維持・管理を行っている佐世保中央IC~佐世保大塔IC間(約7.8km)の暫定2車線区間の4車線化が平成30年3月に事業化されました。
 
 

2.路線概要

佐々IC~佐世保中央IC間は、山間部に位置し、延長約2.7kmの弓張トンネルや、橋梁8橋(約1.8km)があり、土工区間の約4.5kmは、そのほとんどが切土となっています。
 
佐世保中央IC~佐世保みなとIC間の約2.9kmは、佐世保市街の中心部を通過し、高速道路の下に長崎県道11号が並行する連続高架橋となっています(写真-3)。
 
また、佐世保みなとIC~佐世保大塔IC間の約4.9kmは、佐世保市の住居地域および工業地帯を通過しており、延長約0.9kmの天神山トンネル、橋梁3橋(約0.8km)があり、土工区間の約3.2kmは、全てが盛土となっており、すでに4車線分が概成しています。
 

【写真- 3 佐世保中央IC ~佐世保みなとIC 間の路線状況】
【写真- 3 佐世保中央IC ~佐世保みなとIC 間の路線状況】

 
 

3.事業進捗状況

佐々IC~佐世保中央IC間は、土工・トンネル・橋梁下部工工事が最盛期を迎えており、工事着手率も100%となっています。
また、橋梁上部工工事についても発注済みです。
舗装・道路施設工事についても、順次発注手続きを進めています。
 
当該区間に位置する弓張トンネルは、令和2年12月から西側坑口より掘削を開始し、令和4年12月末現在の掘進長は、約2、400mと約9割の地点まで進んでいます。
 
掘削開始当初は、発破掘削により施工していましたが、東側坑口部には民家が密集している箇所があるため、現在は機械掘削へ変更し掘進しています(写真-4)。
 
佐世保中央IC~佐世保みなとIC間の連続高架橋区間の工事にあたっては、新たな橋梁を施工する区間と供用中の橋梁を両側に拡幅する区間があります(図-3)。
 

【写真- 4 弓張トンネル施工状況】
【写真- 4 弓張トンネル施工状況】
【図- 3 連続高架橋状況】
【図- 3 連続高架橋状況】

 
新たに橋梁を施工する区間については、橋梁の上部工および下部工工事共に発注済みとなっており、現在、海上部の下部工施工のための仮桟橋の設置を行っています。
 
一方、供用中の橋梁を両側に拡幅する区間については、高速道路およびその高架下に位置する長崎県道11号の通行止めが必要になります。
1日当たり断面交通量は、高速道路が約2万台、県道が約3万台あり、地域の皆さまの生活道路となっており、通行規制の影響が極力小さくなるよう、通行止め等を伴う工事は全て夜間に実施しています。
工事は、令和3年9月から着手し、令和8年度までの約5年間にわたって随時通行止め等を実施する予定です。
通行止めの実施にあたっては、さまざまな広報により周知を図りながら実施しています(図-4)。
 
なお、令和4年12月末現在の工事進捗は、拡幅が必要な橋梁44径間のうち14径間の桁架設が完了しています(写真-5、6)。
 

【図- 4 夜間通行止め広報ポスター】
【図- 4 夜間通行止め広報ポスター】
【写真- 5 佐世保高架橋 拡幅状況】
【写真- 5 佐世保高架橋 拡幅状況】
【写真- 6 佐世保高架橋 桁施工状況】
【写真- 6 佐世保高架橋 桁施工状況】

 
佐世保みなとIC~佐世保大塔IC間の天神山トンネルは、令和3年12月から東側坑口より掘削を開始しており、令和4年12月末現在の掘進長は、約630mと約7割の地点まで進んでいます。
なお、当該トンネルは両坑口部の土被りも薄く、その上に民家や公共施設が密集していることから、これらに影響を及ぼさないよう、機械掘削により慎重に施工を実施しているところです(写真-7)。
 
また、3橋ある橋梁のうち、1橋はしゅん功し、1橋は桁架設および床版施工が完了しており、残り1橋についても現在、桁架設を実施しているところです(写真-8)。
 

【写真- 7 天神山トンネル周辺状況】
【写真- 7 天神山トンネル周辺状況】
【写真- 8 沖新高架橋施工状況】
【写真- 8 沖新高架橋施工状況】

 
 

4.整備効果

暫定2車線の4車線化による機能強化は、交通容量の確保による速度低下の解消や中央分離帯が設置されることによる重大事故の防止のほか、災害時の早期の交通機能確保が可能となります。
暫定2車線では上下線ともに長時間通行止めになる可能性がありますが、4車線以上の区間では、被災箇所の復旧工事を行いながら同時に反対車線を対面通行運用するなど、車線を有効に活用することで、災害時の早期の交通確保などが可能となります(図-5、写真-9)。
 

【図- 5 災害時の4 車線化区間における対面通行(例) 模式図】
【図- 5 災害時の4 車線化区間における対面通行(例) 模式図】
【写真- 9 災害時の4 車線区間の対面通行による運用状況】
【写真- 9 災害時の4 車線区間の対面通行による運用状況】

 
 

5.おわりに

事業の実施にあたりましては、地域の皆さま、高速道路や県道を利用されている皆さま、関係機関の皆さまからのご理解とご協力を賜り、この場をお借りして感謝申し上げます。
 
引き続き、安全を最優先に一日でも早い完成を目指し事業に取り組んでまいります。
皆さまのより一層のご支援ご協力のほどよろしくお願い致します。
 
 
 

西日本高速道路株式会社九州支社佐世保工事事務所

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2023年4月号



最終更新日:2024-03-25

 

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