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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > ICT舗装工について

 

1.はじめに

i-Construction のトップランナー施策として,昨年4 月から「ICT 土工」の拡大を図っているところであるが,政府の第1 回「未来投資会議」において,土工以外への工種拡大について目標が示され,平成29 年度より「ICT 舗装工」への拡大を図ることとした。「ICT 舗装工」の概要としては,土工同様に3 次元起工測量,3 次元設計データ作成,ICT 施工,3 次元出来形管理及び3 次元データでの納品を行うというものであり(図−1),この流れを定めた10 の基準類を本年3 月末に発出したところである(図− 2)。
 



 



 
本稿では,ICT 舗装工の発注規模等の実施方針について紹介するとともに,ICT 舗装工の実施内容を具体的に規定する中心的な通知である「出来形管理要領」,及び「面管理」を定めた「出来形管理基準」について,その意義を含めて紹介する。
 
 

2. ICT 舗装工の概要と実施方針について

(1)舗装工へ拡大する意義

昨年9 月に政府の「未来投資会議(第1 回)」において,建設現場の生産性を2025 年度までに2 割向上させること,また,今後3 年以内に,橋梁・トンネル・ダムや維持管理等の工事にICTの活用を拡大させることを打ち出した。土工だけでなく,あらゆる工種で現場の生産性向上を図らなければ,この目標の達成は困難であろう。ICT の全面的活用について「土工」より始めたのは,直轄工事の人工に占める機械土工と舗装に携わる のべ人工の割合が大きいという理由からであったが(図− 3),土工だけでは不十分であり,舗装への展開は昨年度からの課題であった。このような背景から,今年度から「ICT 舗装工」として取り組みを進めることとした。
 



 

(2)対象作業

平成29 年度より「ICT 舗装工」として公告する「ICT 活用工事」は,①レーザースキャナーによる3 次元起工測量,② 3 次元設計データの作成,③路盤工におけるICT 建設機械による施工(3 次元MC グレーダもしくは3 次元MC ブルドーザ),④レーザースキャナーによる3 次元出来形管理(表層のみ必須)もしくはTS を用いた出来形管理,及び⑤ 3 次元データの納品を実施することを要件としている。舗装工事全体のうち,ICT 舗装工の対象となる作業は図− 4 のとおりである。
 



 
路盤工の施工のみをICT の対象とする一方で,3 次元出来形管理は表層のみを必須としているのは,一つはICT による路盤工の平滑な施工が,ユーザーに直に接する上層の平滑な施工に良い影響を与える可能性が期待できる。一方で,アスファルト舗装のICT はそれほど一般的な機材ではないことから,路盤工の3 次元MC グレーダもしくは3 次元MC ブルドーザのみを必須とした。
 
また,表層の面的な形状は,長期的な形状の変化をモニタリングする上での初期値として,道路管理者サイドにとって非常に有用であると期待できる。一方で,それよりも下層の形状については,上層の施工によって変化すると思われ,その面的な形状の履歴についてはそれほど有用ではないことから,表層の出来形管理に必要な計測(厚さを計測するため基層の3 次元出来形計測も実質的には必須)のみ,レーザースキャナーによる3 次元出来形管理を行うことを必須としたものである。
 
路盤以下の施工については,短い延長で区切って施工機械の後追いで順次出来形計測を行っていく特性から,レーザースキャナーにより広範囲を一度に計測する手法が必ずしも効率化につながらない可能性があるので,これまで情報化施工として普及がすすんでいるTS を用いた出来形管理の採用も可能とした。もちろん,レーザースキャナーによる3 次元出来形管理を行うことを妨げるものではない。
 
 

(3)発注方針

ICT 活用工事の工事公告は,インセンティブ措置の違いにより,①発注者指定型,②施工者希望Ⅰ型,あるいは③施工者希望?型の3 方式で実施する。
 
対象工事規模については各地整の事情によるが, ① は予定価格3 億円以上かつ施工面積10,000 m2 以上の工事を対象に,当初発注時点からICT 活用工事の要件を求め,ICT 活用にかかる費用は後述の積算基準により国が負担するとともに,工事成績評定での加点がなされるものである。
 
② は予定価格3 億円未満かつ施工面積10,000 m2 以上の工事を対象に,ICT 活用工事を実施する応札者には総合評価で加点するとともに,受注後に協議によりICT 活用にかかる費用は設計変更により国が負担し,工事成績評定での加点がなされるものである。
 
③ は予定価格3 億円未満かつ施工面積10,000 m2 未満の工事を対象に,受注者がICT 活用工事の実施を希望した場合は,協議によりICT 活用にかかる費用は設計変更により国が負担するとともに,工事成績評定での加点がなされるものである。地方整備局により異なるが,選定フローの例は図− 5 のとおりである。
 



 

(4)ICT 活用工事(舗装工)積算要領

ICT 活用工事のうち,③路盤工におけるICT建設機械による施工については,「ICT 機器のリース料(従来建機からの増分)」,「ICT 建機の初期導入経費(初期導入指導等の出張料等)」の工事毎に必要となる機械経費を積み上げるとともに,「補助労務の省力化」,「効率化に伴う日当たり施工量の増」といったICT 施工の施工実態を反映した労務費とした(図− 6)。
 



 
平成28 年度のICT 土工の場合,この考え方に基づく通常の施工パッケージに対する補正式として積算要領を整備していたが,舗装工とともに,ICT 専用の施工パッケージ積算基準を整備し,平成29 年度からは当該パッケージを選択するだけで積算できるようにした。
 
また,①レーザースキャナーによる3 次元起工測量,② 3 次元設計データの作成にかかる経費については,発注者が正確な3 次元現況測量結果と,それに基づく3 次元設計データが提供できるまでの間は,協議により設計変更するものとした。
 
 

3. ICT 舗装工における出来形管理及び検査について

(1)出来形管理の概要

ICT 舗装工においても,3 次元の点群データで合否判定をできるようにするために,「面管理」の考え方を導入した。レーザースキャナーにより3 次元座標が高密度に得られることを前提とし,各計測点と3 次元データの標高較差について規格値を定めるものである(図− 7)。
 



 
ICT 土工同様,抽出管理から全数管理に考え方が変わるのに合わせて,規格値自体については従前の厚さの規格値− 7 mm よりは緩和されている。詳細は図− 8 のとおりである。
 



 

(2)出来形管理の手順

ICT 舗装工における面管理の手順については,詳細は新たに策定した「地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(舗装工事編)(案)」に規定したが,先述のとおり,中間層においてレーザースキャナーを必須としていないため,TS を用いた出来形管理との併用が想定されることから,以下に,路盤から表層まで立ち上げる代表的な工事を想定して順を追って整理した。
 
① 起工測量
前工事で施工済の路床面について,不陸整正の施工量を算出するために起工測量をレーザースキャナー等で実施する。前工事から時間がたっている等により,路床面が設計より部分的に下がっている場合に備え,従来は管理測点毎に横断プロファイラーやレベルで不陸の事前測量を実施し,上層の「平均設計高さ」の照査を実施していた。もちろん,レーザースキャナー等により同様の処理をすることも可能であるが,レーザースキャナーでは面的に計測結果が得られることから,数量算出要領上は,ICT 土工の数量算出方法に準じて体積を算出し,これを面積で除することで平均高さを算出することが認められた。これにより,前工事の不陸(特に管理断面間)が施工数量に正確に反映できる。
 
② 3 次元設計データ作成
ICT 土工同様に設計図書(平面図,縦断図,横断図)と線形計算書に示される情報から幾何形状の要素を読み取って作成する。出来形横断面形状の作成は,面管理を実施する範囲で,全ての管理断面及び断面変化点(拡幅などの開始・終了断面)について,下層路盤や表層といった出来形管理項目が設定されている各層のデータを作成する(図− 9)。前工事がICT 土工であれば,3 次元設計データの要素データがすでに納品されているはずなので,発注者から貸与を受けることにより,作業の一部を省力化することが期待される。
 



 
次に,入力した要素データを基に計測対象面の面的な3 次元設計データ(TIN)を作成する。TIN は3 角の平面の集合体であるため,曲線部では管理断面の間を細かい断面に分割して3 次元設計データ化する必要がある。このため,線形の曲線区間においては必要に応じて横断形状を作成した後 にTIN を設定する(例えば,間隔5 m 毎の横断形状を作成した後にTIN を設定する)。特にインターチェンジのランプのような急カーブ箇所の3 次元設計データの作成に当たっては,当該データが出来形の良否に直結することから,この点に留意する必要がある。
 
最後に起工測量の結果と3 次元設計データを重ね合わせることで,下層路盤の数量や,表層の目標高さ(隣接工区の擦り付け等の関係から事実上拘束される標高)に対する各層の設計厚さの不足等がわかる(図− 10)。この段階で監督職員との協議を行い,その結果を3 次元設計データの作成に反映させる。
 



 
なお,後述の出来形管理においては管理対象の層の施工前後をレーザースキャナーで計測し,その標高差から「厚さ」を算出して出来形を評価することが基本であるが,3 次元設計データの設計面に対する標高較差に代えることができる。このとき,直下の層の現況,もしくは仕上がり状況により,3 次元設計データの設計面に対してそのまま施工をすると,設計厚さを満たさないことが懸念されることから,高さのオフセットにより目標高さを設定し,その高さとの標高較差で管理する(図− 11)。
 



 
目標高さ(図− 11 ③)は,直下層の目標高さ(同②)に直下層の出来形を踏まえて,設計厚さ以上の高さ(設計厚さに直下層の標高較差平均値を加えた高さ)を加えて定めた計測対象面の高さである。
 
標高較差での管理が有利な点は,直下層の出来形を必ずしもレーザースキャナーで計測する必要はないことである。下層が目標高さに対する標高較差で管理され,その標高較差の平均値が算出できれば,管理対象の層の目標高さが設定できる。具体的にはTS を用いた出来形管理により,下層の厚さが管理されていればよい。そのために「TSを用いた出来形管理要領(舗装工事編)」においても,「厚さ」の管理を3 次元設計データの設計面に対する標高較差で管理することを許容した。TS とTLS を併用して基層の出来形管理を標高較差で行う場合の事例は図− 12 のとおりである。
 



 
③ 3 次元出来形管理
1)計測精度確認について
ICT 舗装工に利用する機器は,予め所定の確認方法により精度を検証し,精度が確認された使用範囲で使用しなければならない。そこで,現地もしくは事前に以下の方法で真値との差を確認することとした。
 
まず,鉛直精度については次のとおりである。点群密度が100 点以上得られ,かつTLSで計測を行う最大距離付近1 箇所に1 m2 以下の検査面を設置する。計測用の標準反射板などは設置せず,検査に供する舗装面等が露出した状態で計測する。これは,特に黒色のアスファルト舗装の場合,反射率が低く精度に悪い影響があると考えられることから,できるだけ実際の出来形計測を模した状況での事前確認とする必要があるためである。
 
なお,測定精度の確認は,基準値となる検査面の高さ(真値)とTLS を用いて計測した結果から得られる高さを比較し,測定精度以内であることを確認する。TLS の計測値については,検査面をとらえた点の高さを平均したものを評価に供する。真値については,検査面の中心をレベルで計測し高さを求める方法や,検査面の4 隅をTS またはレベルで計測し,4 隅の高さの平均値や内挿補完等により高さを求める(図− 13)。
 



 
所要の鉛直精度については計測対象物により異なり,路床面:± 20 mm,上層・下層路盤面:± 10 mm,基層・表層面:± 4 mm である。レーザースキャナーの計測精度としては厳しいと思われるかもしれないが,あくまで100 点以上の平均であるので,複数の機材で達成できることを確認している。
 
一方水平精度については,土工と同程度(±20 mm)しか要求しないので,ICT 土工同様の精度確認手法が適用される。鉛直・水平精度の確認結果を「精度確認結果報告書」にまとめ,監督職員に提出することとなっている。
 
 
2)出来形評価
出来形計測については,精度確認時の使用条件の範囲で10 cm メッシュより細かい点群として計測点が取得される必要がある。ここから,ICT 土工同様に出来形評価に供するデータ(出来形評価用データ)として1 点/ 1 m2以上の評価点(グリッドデータ)を生成させるが,計測精度を満たす必要性から,グリッドの中央あるいは格子点に設置する評価点(x,y)の標高値は,評価点を中心とする1 m2 以内の実計測点の平均値,あるいは設計面との差の最頻値に限定されている(図− 14)。
 



 
出来形評価を厚さとして行う場合は,施工前後の出来形計測結果それぞれをグリッドデータ化し,同じ評価点(x,y)同士の標高差により,各評価点ごとに厚さを算出する(図− 15)。
 



 
一方,出来形評価を目標高さとの標高較差として行う場合は,施工後の出来形計測結果と目標高さの3 次元設計データそれぞれをグリッドデータ化し,同じ評価点(x,y)同士の標高差そのものを評価する。
 
 
3)出来形管理資料の作成
「出来形管理資料」として,ICT 土工同様に1 枚で机上検査に供することができる「出来形合否判定総括表」をICT 舗装工にも適用することとした。管理項目である設計との差の平均値,最大値及び最小値,並びに評価面積,計測点数,棄却点数を取りまとめた表に加えて,工事成績評定に供する資料として,設計との差の規格値に対する割合をポイントごとに示した分布図を付すこととしている(図− 16)。
 



 
なお,TS を用いた出来形管理を併用する場合は,TS で管理した項目については,以前からの出来形管理図表(様式31)での提出となる。
 
 
4)実地検査
実地検査は表層に対して実施する。出来形管理用TS やGNSS ローバの誘導機能を使用して検査官が指定した箇所の出来形計測を行い,3次元設計データの設計面,もしくは表層の標高値と実測値との標高差が規格値内であるかを検査する。出来形管理用TS やGNSS ローバには任意断面計測機能があるので,それらを利用して設計との差を端末上で確認する。
 
 

4. おわりに

ICT 舗装工に関する基準類を一通りそろえたところであるが,先に実施が進んだICT 土工の基準類も,早くも「カイゼン」を実施し,このたび合わせて公表したところである。現場での課題を抽出し,必要な「カイゼン」を速やかに実施するというPDCA サイクルをICT 舗装工においても迅速に進めていく所存であるので,そのためにも多くの現場で実践していただければ幸いである。
 
 

国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課 課長補佐 近藤 弘嗣

 
 
 
【出典】


積算資料2017年06月号



 

 

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