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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料 > 2023年の建設産業を振り返って ─ 持続可能で魅力ある新4K産業へ ─

2023年は春の大型連休明けの5月8日に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが第5類に移行し、4年ぶりに行動制限なしの平常を取り戻した1年となった。
社会経済活動もコロナ禍前のように活発化しており、外国人旅行客の本格的な受け入れも再開した。
 
一方、ロシアによるウクライナ侵攻が収束する気配は依然として見通しが立たない。
国際的なサプライチェーン(供給網)が分断。
新たにイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突を背景とする中東情勢の不安定化も原油価格への影響が懸念される。
日本もこうした国際情勢の影響が相まって昨年から歴史的な原燃料や建設資材の高騰が続いており、今も調達が困難な状況となっている。
一時1ドル150円超という歴史的な円安も進むなど、日本経済の先行きには多くの暗い影を落とす。
 
今年も各地で大規模自然災害が相次いでおり、建設業が「地域の守り手」として果たす役割と責任はますます高まっている。
2024年度から建設業にも適用される時間外労働の罰則付き条件規制の開始までいよいよ残り約4カ月。
将来にわたる担い手確保に向け継続的な賃上げによる一般産業並みの給与水準を実現することが不可欠だ。
まずは安定した経営環境を構築するため、地域の隅々にまで行き渡る安定的かつ持続的な公共事業予算の確保が必要。
受発注者協働で建設産業の働き方改革や処遇改善などを推進し、若者が入職したくなるような魅力あふれる新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)産業への変革を進めていく必要がある。
 
 

建設産業政策で新たな方向性担い手3法として一体改正視野

技能者の処遇改善や歴史的な資材高騰といった山積する課題を抜本的に解決しようと、国土交通省(以下、 国交省)が議論してきた建設産業政策の新たな方向性が固まった。
従来の賃金体系や民間工事の商慣習、就労環境に切り込み、持続可能な建設業の構築を目指す。
国交省は建設業法や公共工事入札契約適正化法(入契法)の改正を検討。
自民党が議論している公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)とともに、2024年通常国会では14、19年に続く「担い手3法」としての一体改正も視野に入れる。
 
国交省の中央建設業審議会(中建審)と社会資本整備審議会(社整審)産業分科会建設部会が合同設置する基本問題小委員会は5月から議論を行い、9月まで計5回の審議を重ねた。
業界を取り巻くさまざまな課題に対応し、法令改正も含め建設産業政策の新たな方向性を示した提言「中間取りまとめ」を9月19日に策定した。

【中建審と社整審産業分科会建設部会による基本問題小委員会(9/8 東京霞が関国交省にて)】
【中建審と社整審産業分科会建設部会による基本問題小委員会(9/8 東京霞が関国交省にて)】

 
10月3日に都内で開かれた中建審総会に報告された後、国交省が中間取りまとめの内容に基づき法改正を含む本格的な制度設計や運用の見直しに乗り出した。
 
提言の柱は①請負契約の透明化による適切なリスク分担②適切な労務費などの確保や賃金行き渡りの担保③魅力ある就労環境を実現する働き方改革と生産性向上の三つ。
それぞれ建設業法といった関連法令や約款などの見直しにより対応すべき事項と、法令などの実務的なルールとなる運用の策定や解釈で対応すべき事項に分け整理した。
 
請負契約の透明化による適切なリスク分担では、急激な価格変動に対しどうリスク管理を行っていくかが契約上不透明な場合、受発注者間に認識の齟齬が発生しやすいケースを想定。
総価一式に代表される従来の取引慣習で発注者からの要望を一方的に受け入れやすい民間工事を念頭に、受発注者間で生じる情報の非対称性(格差)解消や、物価変動に対する契約上での対応の明確化、工期中に請負代金や工期に影響を及ぼす事象が生じた際に受発注者間の誠実な協議を制度的に担保するよう提言した。
 
労務費などの確保や賃金行き渡りの担保では、適切な労務費が下請契約などで明確化されるルールを導入しつつ不当な安値での受注を禁止し、技能者の処遇改善を後押しするよう求めた。
適切な労務費の水準は受注者による廉売行為を制限するための基準として、新たに中建審が工種ごとに単位施工量当たりの「標準労務費」を勧告するとした。
最終的には国交省が6月に公表した建設キャリアアップシステム(以下、CCUS)のレベル別年収目安に基づく確実な分配を目指す。

適切な労務費や賃金行き渡りを担保するための制度設計
適切な労務費や賃金行き渡りを担保するための制度設計

 
下請も含むすべての建設事業者には、法令で技能者の適切な処遇確保を求める努力義務も規定。
公共・民間建設工事の標準請負契約約款や標準下請契約約款には適切な賃金支払いへのコミットメント(表明保証)や賃金開示への合意に関する条項の追加を求めた。
 
魅力ある就労環境を実現する働き方改革と生産性向上では、喫緊の課題として2024年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制適用への対応を挙げた。
発注者だけでなく受注者にも著しく短い工期、いわゆる工期ダンピングの禁止規定を訴えた。
 
ICTを取り入れた建設現場の生産性向上策も推進。
その具体化に向けた現場管理指針を国が作成し、特定建設事業者には指針に沿った現場管理の努力義務規定も提案した。
CCUSのように本人認証や真正性が確認された情報を備えたシステムを活用し、施工体制の確認やその管理を徹底していく将来像もイメージする。
一定の遠隔施工管理を行う場合、監理技術者が二つの専任現場を兼任できるようにする現行制度の合理化も盛り込んだ。
 
国交省は今後、基本問題小委員会で出たさまざまな意見を踏まえ、実効性が高い制度設計や運用の見直しに努める。
その際、建設事業者だけでなく官民の発注者らも含め取引事業者全体のパートナーシップも考慮。
過度な影響が出ないことにも注意を払う。
 
基本問題小委員会が継続課題に挙げた①重層下請構造の実態を踏まえた建設業許可の合理化②繁閑に応じた労働力の需給調整や多能工の評価の在り方③建設業許可を要しない小規模工事の適切化の3点も適切に議論していく考え。
例えば下請次数を制限するような重層下請構造の改善や、建設工事でのCCUS活用を制度化するなど受発注者双方が問題意識を持っているものの、中間取りまとめの議論では切り込むことができなかった抜本的な課題の行方も注視される。
 
一方、自民党「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)が8月30日に東京都内で総会を開き、公共工事品確法の見直しを提案した。
中建審・社整審合同の基本問題小委員会が決定した中間取りまとめと連動し、具体的な法改正の内容を議論していく。
 
根本会長は業界が直面する喫緊の課題として、 2024年4月から建設業に適用される時間外労働の罰則付き上限規制を挙げた。
国交省が中間取りまとめを受け、官民の建設工事全般で適正な工期や予定価格の設定、標準労務費の作成などによって実現を目指す技能者の処遇改善や働き方改革、女性活躍、DX推進といった課題も列挙。
14、19年の法改正と同様、国交省が建設業法や入契法を改
正する場合、公共工事品確法も含む3法一体で改正した方がより大きな効果を見込めるとした。
 
議連は測量設計分野の担い手確保や新技術活用を後押しする観点から、担い手3法とともに閣法の測量法改正も提案した。
 
 

国土強靱化実施中期計画が法定化5か年加速化対策以上の事業規模期待

今年の通常国会で議員立法の改正国土強靱化基本計画が成立した。
2025年度を期限とする「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の後継計画も含む「国土強靱化実施中期計画」の策定を法定化。
新たに法的根拠を得ることで、強靱な国土づくりの歩みを安定して継続できるようになった。
5か年加速化対策と前身の3か年緊急対策は、国の公共事業関係費で大きなウエートを占める。
担い手となる建設産業の安定かつ戦略的な経営にも役立ちそうだ。
 
従前の基本法は国土強靱化政策の根幹となる「基本計画」しか法的根拠がなく、閣議決定の3か年緊急対策と5か年加速化対策については、その後の継続性に不安の声が上がっていた。
 
改正法の柱は実施中期計画の法定化と、政府の国土強靱化推進本部(本部長・岸田文雄首相)に置く「国土強靱化推進会議」の設置だ。
 
政府は改正法成立を受け、7月20日に東京都内で同推進会議の初会合を開いた。
初会合では国土強靱化基本計画の改定案を議論。
同月に委員らの意見を反映した形で閣議決定した。
当面は5か年加速化対策の4年目に当たる24年度分となる23年度補正予算でどれだけの額を確保できるかが重要課題になる。
その上で、次の焦点となるのは実施中期計画の策定だ。
 
改正法で定めたスキームによると、実施中期計画には計画期間や実施する施策の内容、重要業績評価指標(KPI)を記載。
このうち5か年加速化対策から継続する施策を重点的に推進する取り組みとして抽出し、事業規模を明示する。
 
10月下旬時点で後継計画の期間や規模などの検討開始時期は決まっていない。
法改正を主導した佐藤信秋参院議員は、議論の場として自民党の国土強靱化推進本部(本部長・二階俊博衆院議員)を「年内にも開き議論を始めたい」と展望する。
 
5か年加速化対策の規模は官民合わせた事業費ベースで約15兆円、国費だけで7兆円台半ばになる。
3年目(23年度)までで事業費ベース9.9兆円、国費5.0兆円の予算を確保した。
事業規模を5年間で割った単年平均を上回るペースで順調に進展している。
 
内閣官房国土強靱化推進室によると、各地で大きな被害をもたらす災害が頻発する中、3か年緊急対策や5か年加速化対策によって防災・減災効果を発現した事例が続々と出ている。
来年度以降、5か年加速化対策の期間が残り2年となる中、事業費も単純に2年間で分け合うだけで、強靱な国土づくりを万全に進められるのか疑問が残る。
 
そもそも国土強靱化基本計画では「『国家百年の大計』の国造りとして、千年の時をも見据えながら行っていくことが必要」という理念を掲げる。
国土強靱化の取り組みに終わりはない。
そのためにも5か年加速化対策では24年度分の予算(23年度補正予算)について過去3年間の平均を上回る最大規模で確保し、最終年度となる25年度に前倒しして実施中期計画に移行する案を求める声も多い。
 
国土強靱化実施中期計画で5か年加速化対策のフレームを継続した場合、物価や資機材価格の高騰などの諸要因が影響し、実質的に事業に使用できる予算は減ってしまう。
こうした社会的要因や大規模災害が多発していることを考慮すれば、規模の拡大は不可欠といえるだろう。
内閣官房国土強靱化推進室によると、これまで5か年加速化対策の予算は単年度平均で国の公共事業関係費の約2割を占めている。
建設業界からは事業の予見性を高めるためにも、施策ごとの事業費やスケジュールなど具体的な数字の明示を求める要望が相次ぎ出ている。
強靱化対策や災害対応で「地域の守り手」として活躍する建設業を持続させる観点でも、国土強靱化政策が果たす役割は大きい。

国土強靭化5か年加速化対策の進捗状況(2022年11月時点)
国土強靭化5か年加速化対策の進捗状況(2022年11月時点)

 
 

迫る時間外労働上限規制日建連、全建が適正工期原則提示

時間外労働の罰則付き上限規制適用開始まで残り約4カ月。
建設業界は4週8休の取得を柱とする働き方改革を進めてきた。
平日の残業に加え、通常日曜日を除く法定外休日出勤もカウントされる時間外労働の削減には、休日を増やすことが最も有効という考えからだ。
 
現場で働く人たちの休日確保には、発注者の理解の上で適正工期の設定が欠かせない。
上限規制の適用まで半年余となった今夏以降、建設業界ではより踏み込んだ対策が相次いだ。
 
日本建設業連合会(日建連)は7月、民間建築工事の発注者に4週8閉所、週40時間稼働の工期を原則提示していく「適正工期確保宣言」を決定した。
全体的に適正工期の設定が進んでいない民間建築工事で全面展開し、国や地方自治体が発注する工事や民間発注の土木工事(建築工事の付随工事除く)には適用しない。
会員企業は同宣言に基づき当初請負契約の見積書を提出する際、4週8閉所や週40時間稼働の工期設定を原則に見積りする。
併せて工程などの説明書類も添付し発注者の理解を得るための説明を徹底。
下請となる協力会社から適切な工期設定の見積りが提出されれば尊重する。
宮本洋一会長は「会員企業が元請の立場で足並みをそろえるのは画期的だ」と強調し、施工者側が考える適正工期を確保しつつ競争していくことの意義を訴える。
 
事業の収益性を重視する民間発注者にとって、投資効果を早期に享受できる短工期の提案は、請負価格と同様に、受注者の選定を左右する大きな要素だ。
そのため、過度な短工期化を助長する
「工期ダンピング」の問題も指摘される。
 
今回の宣言は著しく短い工期に対する受注者側の危機意識の表れともいえる。
日建連の調査によると、会員企業の2022年度上限規制達成状況は原則(月45時間、年360時間)で約4割、特別条項(例外的に月100時間未満、複数月平均80時間、年720時間)でも約8割にとどまる。
法令順守は道半ばの状況だ。
 
日建連の蓮輪賢治副会長建築本部長は「民間建築の手持ち工事量が多い中、業界を挙げて『真に適切な工期を提案する』という具体的なアクションを喫緊に起こさないといけない」と指摘する。
9月には宣言に関する日建連共通の発注者向けパンフレットを作成した。
会員企業にはスピード感を持ちつつ、発注者に対して丁寧な説明と分かりやすい提案に努めるよう呼び掛ける。

【日建連「適正工期確保宣言」】
【日建連「適正工期確保宣言」】

 
全国建設業協会(全建)は「適正工期見積り運動」を9月に始めた。
工期の見積りや提案を求められた官民発注の全工事を対象に、国の中央建設業審議会(中建審)が20年7月に作成・実施勧告した「工期に関する基準」に基づく工期の提示を進める。
奥村太加典会長は「上限規制を順守する重要な取り組みになる」と位置付け、適正工期の確保を訴える。
 
全建は上限規制に対応するための働き方改革として、21年度から「目指せ週休2日+360(ツープラスサンロクマル)運動」を展開中。
週休2日実現と時間外労働を36協定の原則上限に当たる年360時間以下とすることを目指し、さまざまな対策に取り組んでいる。
適正工期見積り運動もツープラスサンロクマル運動の一環になる。
 
全建によると、適切な工期設定で週休2日などの対策が国や都道府県の発注工事で着実に進んでいる一方、市町村や民間事業者の発注工事では思うように広がっていない状況がある。
適正工期見積り運動はこうした現状に危機感を募らす会員企業からの要望を踏まえ、中建審基準に基づく適切な工期を改めて徹底させる狙いがある。
 
一方、工期に関する基準について実効性を問う声もある。
中建審基準には上限規制順守のために達成すべき数値目標は盛り込まれておらず、実際の契約手続きの中でどれだけ実効性を担保できるかは不透明だ。
10月3日の中建審総会では記載内容をより実効性を持たせた形で見直すべきとの意見があった。
時間外労働の罰則付き上限規制の適用が迫る中、適正工期の確保に課題が多いとの現状認識が大勢を占める。
現行基準が理念的な規定にとどまっているとの一部委員の指摘に対し、事務局の国交省が基準改定を前向きに検討する考えを示した。
 
日建連と全建による適正工期の確保に向けた新たな取り組みは、建設現場で工期のしわ寄せを受けやすい設備工事業も含め、業界全体の働き方改革を後押しするものと期待される。
将来にわたる担い手の確保を最大の目的とする建設業の働き方改革は、上限規制の適用が始まる24年度で終わりではない。
さまざまな施策をどう継続し成果に結び付けていくのか。
産業全体の本気度が試されている。
 
 

技能者処遇改善へCCUS新局面国交省がレベル別年収試算を公表

CCUS能力評価躍進の年に――。
2023年度をこう位置付ける国交省は、専門工事業団体と連携し技能者の現場経験や保有資格に基づく能力評価(レベル判定)制度の申請や活用を促している。
評価基準データとなる就業履歴の登録・蓄積が進むよう、業界と一体になってさまざまな取り組みを加速している。
 
23年度末で能力評価の際に技能者の就業日数やマネジメント経験を「経歴証明書」で評価する経過措置が終了する。
24年度以降は原則としてCCUSに蓄積された就業履歴でなければ能力評価に反映されなくなる。
技能者・事業者登録も積み上がる中、あらゆる現場で就業履歴を蓄積できる環境整備が急務になる。
 
国交省はCCUS運営主体の建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)との連携を強化し能力評価基準が策定されていない分野で専門工事業団体による基準作成を支援。
評価申請数の増加に向け、能力評価実施体制の整備や周知活動も後押ししている。
24年度には技能者登録と同時に能力評価に応じたカード発行を可能とするワンストップ申請の供用開始も予定している。
 
どんな現場環境でも技能者が就業履歴を蓄積できる環境整備も進む。
市販の安価なカードリーダーも利用できるよう既存の就業履歴登録アプリ「建レコ」を改良。
8月末にソニーが販売を始め、その価格は既に流通している他メーカーの商品に比べ約3分の1~10分の1に抑えられた。
今後は米アップルのスマートフォン「iPhone」で就業履歴が蓄積できる仕組みも構築。
当初は24年度に導入を予定していたが前倒し実施も視野に入れる。
 
CCUSの動向で23年に最大の焦点になったのが、国交省が6月に能力評価に基づく技能者のレベル別年収試算結果を公表したことだ。
将来の入職者を含む若い世代の技能者に対し、スキルの向上や経験年数の積み重ねによって見込まれる収入増加の目安を、最も分かりやすい形で提示。
CCUSで自らの処遇を相対的に捉え直し、しっかりとしたキャリアパスを描けるようにした。
まずは業界全体で適正な賃金支払いに向け目指すべき具体的なイメージを共有し、賃上げや適正価格での受発注を促していく。
 
レベル別年収の試算結果を公表したのは公共工事設計労務単価と能力評価の職種が合致する32職種。
22年10月の公共事業労務費調査で把握した技能者の賃金実態を踏まえ、相当する4段階のレベル(レベル1=初級、同2=中堅、同3=職長、同4=高度なマネジメント能力を有する技能者)に振り分け算定した。
 
レベルが同じでも年収分布にはばらつきが見られる実態に配慮。
そのためレベル別にも年収分布の上の方から15%程度を上位、50%程度を中位、 85%程度を下位と区分し、幅を持たせる形で設定した。
いずれも週休2日を確保した労働日数(年234日)で算定。
能力評価を行っていない技能者も経験年数と保有資格を基に組み込んだ。
 
32職種の平均で各レベルの中位に当たる年収は、レベル1が374万円、同2が569万円、同3が628万円、同4が707万円。
最も高い同4の上位は877万円。
このうち職種別では橋梁とトンネル、プレキャスト(PCa)の3職種が各1,046万円で最高だった。
同1~4の各中位に当たる年収は628万円となる。
 
10月2日にはCCUS登録技能者の能力評価手続きに「解体」職種が追加され、対象職種が全体で41に増えた。
国交省によると、CCUS登録技能者全体の75%程度が能力評価を受けられるようになった。
ただ能力評価全体のレベル判定件数は8万2、163件で、CCUS登録技能者全体の1割にも満たないのが実情だ。
 
国交省は引き続き振興基金と連携し、CCUSのメリットを実感できる取り組みに注力していく。
今後は元請が下請に支払った適正水準の労務費を、次数の多い下請も含めすべての技能者へ着実に行き渡らせる仕組みづくりが課題となる。
 

レベル別年収の全体平均と主な職種別の試算結果(国交省資料から)

全国(全分野)(年収)

全国(全分野)(年収)

 
分野別でのレベル別年収の試算例

分野別でのレベル別年収の試算例

試算条件

  • CCUSレベル別年収は、2022年度公共事業労務費調査の結果をもとに、CCUSの能力評価分野・レベル別に分析して作成
  • 労務費調査においてレベル評価されていない標本点も経験年数と資格を基にレベルを推定(レベル1相当:5年未満、レベル2相当:5年以上10年未満、レベル3相当:10年以上又は一級技能士、レベル4相当:登録基幹技能者)
  • 労務費調査の各レベルの標本において、「上位」の値は上位15%程度、「中位」の値は平均、「下位」の値は下位15%程度の全国の年収相当として作成(必ずしも「上位」が都市部、「下位」が地方の年収相当を表すものではない)
  • 「分野別でのレベル別年収の試算例」では、最新の国勢調査における技能者数が多い10分野を記載

【分野別でのCCUSレベル別年収の全体平均と主な職種別の試算結果】
 
 
 

株式会社 日刊建設工業新聞社 編集局編集部 
片山 洋志

 
 

【出典】


積算資料2023年12月号

最終更新日:2024-03-25

 

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