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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 令和2年度 土木工事積算基準等の改定について

 

1. はじめに

国土交通省では,働き手の減少を上回る生産性の向上と担い手確保に向けた働き方改革を進めるため,建設現場の生産性向上を図るi-Constructionの推進等に取り組んでいます。
 
この度,昨年6月に改正された公共工事の品質確保の促進に関する法律に則り,円滑な施工体制の確保や働き方改革,i-Constructionの更なる推進に取り組める環境の充実等を図る観点から,最新の実態を踏まえ,土木工事の積算基準等の改定を行いました。
 
 
 

2. 円滑な施工体制の確保

(1)現道上の工事における一般交通の影響を受ける工種区分の設定

現道上の工事で一般交通の影響を受ける工事や,運搬費・安全費などの費用が割高となる市街地での工事について,共通仮設費や現場管理費の施工地域補正を改定しました。これにより,「手間のかかる工事」においても,より適切に経費を計上することが可能となります(表−1)。
 

表−1 現道上の工事等※における間接経費の補正係数



(2)時間的制約を受ける積算方法の見直し

従前から,現場条件により継続的に時間的制約を受け,1日の標準作業時間を確保することができない場合の積算として,労務費の補正を行う基準がありましたが,この度,施工箇所が山間部にあるなどにより,移動に時間を要し,標準作業時間を確保することができない場合についても,この基準を適用することとしました。これにより,砂防工事などにおいても,より適切に経費を計上することが可能となります(表−2)
 

表−2 時間的制約を受ける積算



(3)大規模災害における復興係数・復興歩掛

東日本大震災,熊本地震,平成30年7月豪雨による被災地における復旧・復興事業の円滑化を目的に,これまで導入してきた復興係数・復興歩掛を継続しました。
 
 
 

3. 働き方改革に取り組める環境整備

(1)週休2日の補正係数

国土交通省直轄土木工事では,週休2日に取り組む際の必要経費として,現場閉所の状況に応じて,労務費,機械経費(賃料),共通仮設費,現場管理費の補正を行っています。令和2年度については,一部の補正係数を引き上げました(表−3)。
 
なお,これまで受注者希望方式では,最終変更時に補正を行っていましたが,令和2年度からは,発注者指定方式と同様に,当初から4週8休を前提とした予定価格を設定します。これは,週休2日に取り組む企業に対して,発注者から早い段階で相応の支払いを行うことにより,受注者(元請)から下請企業に対しても,所要の代金を支払っていただくことを期待するものです。時折,週休2日の補正係数が少ないとの意見が聞かれますが,この補正係数は,現場で実際に支払われている代金の実態を調査した上で設定しています。実態が伴わなければ補正係数は上がりません。発注者のみならず,元請や上位下請による適切な支払いにより,建設業の週休2日を実現したいと考えています。
 

表−3 週休2日の補正係数



(2)新たな労務単価の割増

これまで,積算基準においては,時間外割増や深夜割増に係るルールは規定されていましたが,今回,新たに休日割増に係るルールを整備しました。
 
もちろん,建設業の働き方改革を推進する観点からは,休日の勤務を積極的に推奨するものではありませんが,やむを得ない事情により休日の勤務を余儀なくされる場合には,休日割増を適用することとなります。
 
 
 

4. i-Construction の更なる拡大

(1)ICT施工における積算基準の改定

国土交通省では平成28年度から建設現場の生産性革命「i-Construction」に取り組んでおり,土工を皮切りにICT施工の積算基準を整備してきました。
 
ICT施工に係る経費については,直接工事費(ICT建設機械(賃料)など),共通仮設費(3次元出来形管理等に要する経費など),現場管理費(技術者の給与手当など)に各々計上していましたが,今般,ICT施工を行う場合に,共通仮設費と現場管理費に関する補正係数を導入することとしました。
 
また,ICT建設機械が一定程度普及してきたことから,これまで全国一律で設定していた賃料は,地域ごとの市場価格を採用することとしました(図−1)。
 

図−1 ICT施工における積算基準の拡充



(2)小規模施工の対応

ICT施工は小規模な現場では施工効率が悪く,利潤が上がらないとの意見を聞くことがあります。このため,国土交通省では,平成30年度には1万㎥未満の区分を,平成31年度には5千㎥未満の区分を設定しました。そして今般さらに,5千㎥未満の現場実態を調査しましたが,施工規模による施工効率の差は認められませんでした。一方で,現場条件により,標準のICT施工機械(クローラ型山積0.8㎥)が施工現場に搬入・配置できない場合などは,標準積算によらず見積りを活用することとします。
 
 
 

5. 改正品確法を踏まえた積算基準の改定

(1)工期と連動した間接工事費の設定

令和元年6月に公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)が改正され,適正な工期を設定することや,施工条件が変化した場合に請負代金や工期を変更することが発注者の責務として法律に位置付けられました。このため,一時中止の有無にかかわらず,受注者の責めに帰さない事由により工期を延長した場合(天候要因等の場合)に適切に経費を計上するための積算基準を整備しました。

(2)労災保険料の適切な計上

改正品確法においては,法定の労災保険料や,その他の法定外の労災保険料を予定価格へ反映することが位置付けられました。これを踏まえ,原則すべての工事において,法定外の労災保険への加入を求めるとともに,所要の経費を計上するために現場管理費率を改定しました(図−2)。
 

図−2 現場管理費率の改定(河川・道路構造物工事の例)



(3)墜落制止用器具(フルハーネス型)の原則化に伴う対応

安全衛生法関係法令が改正(平成31年2月施行)され,墜落制止用器具は「フルハーネス型」を使用することが原則となりました(図−3)。
 
従来の安全帯の使用は,令和4年1月1日まで使用できることとなっていますが,フルハーネス型の器具の使用に順次移行できるよう,実績に応じて必要経費を計上することとしました。
 

図−3 フルハーネス型のイメージ




 

6. おわりに

働き方改革や生産性向上,また,中長期的な担い手の確保など,現在,建設業が直面している課題は,どれも決して容易なものではありません。こうした課題に対して,今般,積算基準の観点からアプローチをしました。まずは,今回の改定が直轄工事において適切に運用されることを期待していますが,同時に,積算基準以外の観点からも建設業が直面する課題にアプローチをすることも重要であると考えています。今回の積算基準の改定を契機に,今後の建設業をあるべき方向に導くための議論が受発注者を問わず行われることがあれば,望外の喜びです。
 
 
 

国土交通省 大臣官房 技術調査課 事業評価・保全企画官  辛嶋 亨(からしま とおる)

 
 
 
【出典】


積算資料2020年5月号



 
 
 

 

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