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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 盛岡市における都市公園を活用した公民連携事業の取組み 〜Park-PFIの活用事例〜

 

はじめに

盛岡市は,岩手県の県庁所在地であり,北東北の交通結節点である人口約29万人の中核市です。当市の都市公園数は,2019年(平成31年)4月1日現在,475ヵ所となっています。当市では,その都市公園整備や活用を中心とした緑の基本計画を策定するとともに,有識者などで構成する緑の基本計画策定懇話会を2001 年(平成13 年)に設立しました。懇話会の役割として,緑の基本計画の進行管理と併せて,市民の憩いの場所を保ちながら,利用者の利便性の向上や利用率の増加につなげる新たな都市公園の活用方法を検討してきました。その取組みのひとつに,2014年(平成26年)から取り組んでいる公園活性化プラン制度があり,都市公園を活用したい市民が市に対して事業提案し,事業採択されれば市との協働事業とすることで,イベントやビジネスをしやすい環境を整えました。
 
公園活性化プラン制度では,さまざまな事業提案がありましたが,当時の都市公園法や都市公園条例では建ぺい率などの制限があり,都市公園内に常設店舗などを設置することのハードルが高く,事業化が困難な案件が多数ありました。しかし,2017年(平成29年)の都市公園法の改正で創設された公募設置管理制度(以下「Park-PFI」という。)により,都市公園活用の幅が広がり,民間のアイデアを実現できる可能性が広がりました。
 
本稿では,当市における都市公園を活用した公民連携事業について紹介します。
 
 
 

1. 公民連携事業の推進で留意していること

公民連携事業は民間と連携する公共事業です。
 
都市公園法の改正により,公募対象公園施設(民間収益施設)を設置しやすくなりましたが,単純に公募対象公園施設(民間収益施設)を設置するということでは,公共事業とは言えません。当市における都市公園を活用する公民連携事業の実施にあたっては,当市や盛岡広域圏の都市経営課題解決に資する事業とすることに留意しています。
 
したがって,公民連携事業におけるマーケットサウンディングにおいて,事業参画を検討する民間事業者に,当市または盛岡広域圏の都市経営課題解決に資する事業計画とすることが重要であると説明しています。
 
 
 

2. 都市公園を活用した公民連携事業の案件

2-1 木伏緑地

盛岡駅から徒歩5分の北上川沿いの緑地であり,2016年(平成28年)に公園活性化プラン制度を活用し,民間事業者から事業提案がありましたが,建ぺい率などをクリアできず事業化できませんでした。都市公園法の改正により,建ぺい率緩和で事業化が可能となり,当市における第1号となったPark-PFIの案件です。
 
木伏緑地は,盛岡駅前に近く,北上川沿いにあり,立地条件は素晴らしいのですが,これまでは年数回のイベントや,常時は市民が散歩などに利用する程度でありました。これは,公園利用者のための公衆トイレも整備されておらず,活用しにくい状況にあったことが要因の一つです。当市では,「2019年ラグビーワールカップ」の開催などに合わせて,観光客の増加が見込まれることから,公衆用トイレ(特定公園施設)の整備と飲食店など(公募対象公園施設)を整備し利用者の利便性を向上させるため,Park-PFIの制度を活用することとしました。
 
事業者の選定は2018年(平成30年)8月に行い,応募のあった3社のうち,エリア分析,明確なコンセプト,周辺への派生,事業の実現性に優れている事業者が選定されました。
 
事業採択したプランのポイントは,次のとおりです。
盛岡駅周辺エリアの分析から,飲食店の賃貸料が高いエリアであり,資本力の強い中央資本の出店が多い。
地元資本の出店希望者は多いが,資本力が弱く出店できる機会に恵まれないことから,地域循環経済にとってマイナスとなっている。
飲食店を建設し,地元資本への出店機会を提供する。
地域経済活性化につなげる。
本緑地にかかる施設修繕や水道光熱費などのランニングコストは,民間事業者の負担とする。
 
本事業は「北上川でアクティビティを楽しみ飲食を楽しむ木伏緑地界隈でしかできない日常生活」をコンセプトとして,2019年(平成31年)4月から工事に着手し2019年(令和元年)9月に供用開始予定で,現在,事業者による整備が進められております。
 
また,当市と国土交通省は北上川と中津川の水辺の利活用を目指し盛岡地区かわまちづくりを進めており,木伏緑地に隣接する北上川では,舟運事業として船着き場の整備を計画しています。北上川でアクティビティを目指す木伏緑地の再整備との相乗効果を期待しています。
 


【工事中の木伏緑地と開運橋】



2-2 盛岡城跡公園芝生広場

盛岡城跡公園は,盛岡の歴史を刻んできた特別な場所であり,安らぎと憩いの場所としても市民から愛されている都市公園です。その,盛岡城跡公園の石垣修復工事や植栽整理を文化庁の支援を受けて進めるとともに,都市公園事業として,史跡指定から外れている芝生広場の再整備も検討していますが,年々厳しさが増す都市公園整備費の中で芝生広場の整備時期は未定であるため,事業手法を当市第2号のPark-PFI案件として,昨年度に公募を行い,事業者決定したところです。
 
事業公募を行うに当たっては,中心市街地において岩手医科大学附属病院の移転やデパートの閉店などが相次ぎ,賑わいの減少や経済的な負の要因を抱えていたことから,それらを打開するような効果を期待して公募を行いました。
 
芝生広場は史跡に指定できるほどの価値のあるエリアでもあることから,再整備するにあたっては,通常の都市公園とは異なるこの公園の特色に配慮した,文化的価値の高いものが望まれておりました。
 
今回選定された事業者は,世界的な服飾デザイナーの皆川明氏であり,建築物も自然環境に溶け込むような建築に定評のある建築家の藤森照信氏が担当することから,史跡との親和性も保たれ相乗効果が期待できます。また,これまでのような日常使いのほか,観光客も多く訪れる場所になると考えられます。
 
事業者の選定は2019年(平成31年)3月に行い,1社が応募し選定されました。共用開始は2020年(令和2年)度を予定しています。
 
事業採択したプランのポイントは,次のとおりです。
史跡としての価値・魅力の向上につながる。
公園としての価値向上につながる計画であり,観光客の増加が見込める。
人生100年ライフを想定した60歳から100歳までの先輩スタッフを採用する。
ハンディキャップスタッフを採用する。
地場産業との連携により,地場産業を成長させる(輸出産業へ転換)。
特定公園施設整備の費用は事業者の全額負担とする。
当市の財政負担は,既存公衆用トイレ撤去費と埋蔵文化財調査とする。
公衆用トイレおよび芝生広場にかかる施設修繕および水道光熱費は,事業者負担とする。
 

2-3 中央公園

中央公園のあるエリアは,新興住宅地で岩手県内の住宅地で数少ない地価上昇エリアです。その住宅地内に中央公園はあり,岩手県立美術館や子ども科学館などの多数の教養施設があります。
 
宅地化が一気に進展し待機児童が多いエリアであることから,2020年(令和2年)までに待機児童解消を掲げる施策の一つとして,中央公園内に保育施設を設けることが政策決定されました。しかし,中央公園整備事業は,昭和50年代に計画され事業を推進してきましたが,未だに1/3が未着手で,縮小する都市公園整備費の中で,保育施設建設に合わせて整備を推進することが難しい状況にありました。
 
都市公園の整備費が確保できないことから,当市第3号のPark-PFI案件とし,未整備エリアの公園整備計画も提案していただきながら,一部都市公園施設の整備を民間投資でお願いし,収益施設の設置と共に保育施設の整備をしていただくことで公募しました。
 
事業者の選定は2019年(令和元年)5月に行い,応募のあった3社のうち,公園の活用,保育施設と収益施設,公園との整合性,明確なコンセプト,事業の実現性に優れている事業者が選定されました。
 
保育施設については2020年(令和2年)4月に供用開始を目指し整備を進めますが,収益施設や都市公園施設については,並行して整備し,第一フェーズ,第二フェーズに分けて整備する予定です。
 
事業採択したプランのポイントは,次のとおりです。
保育施設建設により,待機児童解消の事業とする。
多数の教養施設がある特徴を踏まえ,不登校児童対策を行う。
体験学習やフリースクールに賛同する企業を先生として本事業に参画してもらう。
民間投資で整備した特定公園施設にかかるランニングコストは,事業者負担で行う。
段階的な投資を行うことを検討する。
 
 
 

3. 公民連携事業を進める上での課題

3-1 異業種間連携

都市公園における公民連携事業を進める中で,多くの企業や団体から事業参入の意欲を示していただきました。しかし,市の施策を理解しつつ,異業種の情報がない中で企業間連携するハードルが高いことがわかりました。
 
今までは,地元の金融機関が連携を促すことで,複数のグループが応募してくれましたが,金融機関が担う仕事とはかけ離れており,金融機関からは負担が大きいとの指摘があり,民間連携を促進するプロジェクトマネージャー的存在が必要との意見が寄せられています。
 

3-2 事業者選定委員の負担

多くの企業に興味を持っていただくことは,積極的な民間投資を誘導するという視点においては喜ばしいことですが,事業者選定委員からは,外部からの視線にさらされ,本業に支障が生じる恐れがあるとの意見が寄せられており,事業者選定委員の負担軽減対策として,公募方法や審査方法の見直しなどが必要と考えています。
 
 
 

おわりに

Park-PFIとは,公民連携事業の手法のひとつですが,Park-PFIという制度を活用すれば,民間企業と連携できると安易に考えて事業を起こしてはいけないと考えています。
 
公民連携事業とは,魔法の杖ではなく市場性があることが前提となるので,市場性を判断して事業化できる民間プレーヤーと連携することが重要で,事業構築は民間に任せる勇気が必要となります。同時に理念なきところに民間資金は集まらないため,行政は理念をつくることに注力し,規制緩和に取り組むことが求められていると感じています。
 
市場性と理念が整うのであれば,Park-PFIは民間の事業スピードに足並みを揃えることのできる優れた制度ですので,是非,パブリックマインドを持つ民間プレーヤーと連携し,面白い都市公園が沢山できることを期待しています。
 
 
 

盛岡市 都市整備部 公園みどり課 計画係 主査  長澤 幸多

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2019年8月号



 
 

 

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