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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 解体・障害物撤去工

 

1. 概要

1.1 背景

わが国においては,主に高度経済成長期に整備された社会資本が今後急速に老朽化することが懸念されており,今後20年間で建設50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなる見込みである。
 
現在は特に建築物の更新,リニューアルの流れが顕著になってきており,それに伴う既設建築物の解体事例が増加している。都心の高層ホテルや東京オリンピックに向けた国立競技場の解体などはその象徴的事例であるが,今後は土木構造物も含め解体工事はますます増えていくことが予想される。平成26年6月には建設業法の改正により「解体工事業」が新たに許可業種として独立するなど法整備も徐々に進んできている。
 

1.2 実施内容

本ワーキンググループ(WG)では主としてコンクリート構造物の解体に関する個別技術や工法を体系的に調査し,それら技術の環境面に対する優位性を示すこととした。
 
対象技術は,解体技術,地中障害物・既設杭撤去技術および,解体作業時の環境対策として役割の大きい防音パネル等の周辺技術とし,個別の技術・工法を分類分けしたうえで,それぞれの技術・工法の概要,環境面に対する有利点,開発会社名を示した。
 
さらに,実際の解体工事において近年重要視される化学的な環境面に対する措置,すなわち解体時に発生する有害物質の処理についての整理も試みた。
 
技術・工法に関する情報は,参考資料1),2)やインターネット上のNETIS新技術情報提供システム,開発会社のホームページやパンフレットなどの公開資料から得た。それぞれの技術・工法の概要や環境有利点等の記載は上述の方法によって得た公開情報を“転記”することを基本としてWGの主観を排除した。この方法をとることにより開発会社に対する引用確認は必要ないものとした。
 
なお,近年ゼネコン各社が開発している高層ビルの解体工法などは,個別解体技術や施工技術を組み合わせシステム化した高度な技術であるが,このようなシステム化した技術についてはここでは対象外とした。
 

表−1.1 建設後50年以上経過する社会資本の割合




 

2. 解体技術

2.1 解体技術の概要

わが国における戦後の解体技術・工法の変遷を図−2.1に示す。1980年前後に新技術として圧砕が登場し,現在では圧砕が解体工法のメインとなっているが,施工条件や環境面からのニーズによりさまざまな技術・工法が継続的に開発,適用されていることが理解できる。
 
解体技術・工法について,まず参考資料1)に示された「壊す力」による分類に従い,「①機械の衝撃力,圧砕力」,「②材料の膨張圧」,「③水等の噴射圧」に分類し,分類作業を行った。しかしこの①〜③の分類は,”壊す技術”に主眼が置かれているため,解体技術のなかでも役割の大きい切断や切削に関する技術や「壊す力」が①〜③に当てはめづらい技術・工法が選択から漏れることがわかった。よって「壊す力」とはカテゴリーがやや異なるものの,①〜③とは別に「④切断・切削など」を分類として新たに設けた。
 
①〜④の大分類の下に「壊す原理」の小分類を設け,それぞれに該当する技術・工法を当てはめて体系化した。
 
調査によって作成した体系図を図−2.2,図−2.3に,各技術・工法の詳細を各節に表形式にて示す。NETIS登録のあるものは登録番号を併記した。
 

2.2 機械の衝撃力,圧砕力によるもの

2.2.1 概要
機械の衝撃力,圧砕力による解体工法は,文字通り機械の直接的な打撃や圧力あるいはくさびの貫入などによって解体対象に引張力を生じさせて破壊させる工法であり,解体技術としては最も適用事例が多く汎用性が高い工法である。
 
ここではこのような汎用的な機械工法のうち,リサイクルを促進したり従来機械に工夫を加えて環境面での影響を低減させた事例をNETIS新技術情報提供システムほかから選択した。
 

図−2.1 鉄筋コンクリート構造物の解体工法の変遷(参考資料2)より)



図−2.2 「壊す力」による分類(1/2)



図−2.3 「壊す力」による分類(2/2)




 

2.2.2 油圧等による圧縮力
油圧圧砕,ジャッキによる工法では,バックホウに取り付けたアタッチメント等により材料を破砕し再利用する技術を挙げた。
 
そのうち,橋梁(大規模構造物)解体工法は大型商業ビル・大型プラントなどの多種多様な解体工事での実績を土木分野にも広げ,開口幅3m,破壊力670tのニブラー形式(油圧圧砕機)アタッチメントを大型バックホウに装着し,橋梁の上部工のみならず橋脚や橋台,フーチングなどにも適用する工法である。従来工法であるブレーカ工法より振動,騒音などの環境負荷を低減させている。
 
 
 

2.2.3 機械による直接的な衝撃力
ブレーカ,はつりによる工法では,油圧ブレーカを密封型にしたりゴム等の緩衝材を介在させるなどして振動,騒音を低減させる工法を主に示した。
 
電動遠隔解体機「DXRシリーズ」は,無線・有線によるリモートコントローラーを用いた電動解体機械である。また,防音・防振型電動コンクリートブレーカーEH23は,電気を動力とすることでエンジンを動力とするコンクリートブレーカーよりも騒音を低減したものである。
 
 
 

2.2.4 セリ矢等による貫入力
セリ矢貫入による工法は,解体対象に削孔した孔にくさび(セリ矢)を挿入して解体する工法で,特に岩盤を割裂する際に低騒音,低振動,粉塵抑制といったニーズに沿って用いられる。
 
 
 

2.2.5 機械の衝撃力,圧砕力による解体技術の詳細
別表参照。
 
 

2.3 材料の膨張圧等によるもの

2.3.1 概要
主として振動,騒音対策として,材料の膨張圧等による解体工法が近年開発されている。非火薬の破砕剤等を用いたものとして静的破砕剤の水和反応による方法,破砕剤から発生する水蒸気圧により破砕する方法,電気エネルギーにより発生する膨張圧によって破砕する方法を「壊す原理」の小分類として挙げた。
 
なお,ここでは火薬類も膨張圧等による解体工法と位置づけた。
 
 
 

2.3.2 静的破砕剤等の水和反応
あらかじめ穿孔した孔の中に生石灰系の膨張剤を充填し,時間経過により発生する膨張圧(通常300kg/㎠以上)を利用してコンクリートや岩石を破砕する工法である。市販の膨張剤は酸化カルシウムを主成分とする無機化合物で,水と練混ぜると水和反応により膨張圧が発生し,2〜24時間後に岩石等を破砕する5)。
 
 
 

2.3.3 発熱等による蒸気圧
セメントの膨張圧による破砕より破砕効果を向上させた方法である。非火薬の破砕剤を用いて岩石,コンクリート塊等を破砕剤の熱分解(多段式非火薬破砕剤NRC においてはテルミット反応)時に発生する水蒸気圧により瞬時にかつ騒音,振動を抑え破砕する工法である。破砕可能な岩盤,岩石,コンクリートの引張強度は200kg/㎠程度である1)。
 
 
 

2.3.4 電気による膨張等
電気エネルギーによる膨張を用いた破砕工法で,セメント膨張圧による破砕より破砕効果が高くかつ火薬類に該当しない低公害型破砕工法である。
 
工法の原理は,非火薬の薬液に電気エネルギーを与えて衝撃力あるいは高圧ガスの膨張圧力を発生させ,岩盤やコンクリートを破砕するものである。PAB工法は水などの液体に高出力放電して,生成するプラズマから発生する衝撃波によって構造物を破砕するもので,水と電気エネルギーのみを用いる工法である。
 
 
 

2.3.5 火薬類(衝撃破壊),火焔
火薬類は,環境面や法規制,安全性については他工法より劣るが,破砕力,コストについては大きく優れるため周辺環境が許せば使用するケースは多い。
 
ここでは,一般火薬(爆薬)に比して環境負荷が小さい代表的な工法を示した。テルミットランス,火炎ジェットについては参考資料3)の記載を要約した。
 
 
 

2.3.6 材料の膨張圧等による解体技術の詳細
別表参照。
 

2.4 水等の噴射圧によるもの

2.4.1 概要
水等の噴射圧による解体工法には,水,空気そのものを高圧で対象物に照射する方法と,高圧で照射する水や空気に研磨剤や研削材・研掃材を混合して対象物に照射する方法がある。
 
この工法の原理は,ポンプやコンプレッサーで加圧された水や空気を,小口径のノズルから高速の噴流として対象物に照射することで,その噴流の衝突圧と衝突力及びくさび作用によって対象物を破壊するものである。研磨剤や研削材,研掃材を併用する場合は,噴流の衝突圧力にそれらの衝突圧力が加わることになる。
 
噴射圧の設定により,切断,斫り,削孔,研掃,表面処理,洗浄処理の使い分けができる。
 
 
 

2.4.2 水圧を利用した工法
水圧を利用した主な工法では,ウォータジェット工法,研磨剤を混入照射するアブレーシブウォータージェット工法があげられる。
 
ウォータジェット工法では,①対象物に与える変形,ひずみ,残留応力は少なく,マイクロクラックもほとんど発生しないため,構造物への影響が少ない,②適切な圧力,流量を設定することにより,鉄筋を痛めずにコンクリートの変状部分だけを除去する選択的なコンクリート除去処理が可能である,③圧力の調整によって,対象物の塗膜や付着物だけを除去することが可能である,④対象物とノズルが接触しないため,機械の遠隔操作化が容易で,自由な曲線・曲面の作業が可能である,⑤機械や固体伝播音が小さい,という特徴がある6)。
 
ウォータージェット工法で使用されるノズルの形状やノズルの運動方式には多岐にわたり,使用目的により適切なノズルを選択する必要がある。
 
また,作業装置は①機械方式,②人力方式(ハンドガン方式など),③半機械方式に分別される。
 
施工は,一般的にウォータジェット工,処理面清掃工,濁水・廃材処理工の3段階で構成される。17ページの表に掲載した工法では,吸引バキュームを併用して,粉塵と濁水を回収しながら施工できる工法・機械も開発されている。
 
 
 

2.4.3 空気圧を利用した工法
空気圧を利用した工法では,いずれも研磨剤や研削材・研掃材を加圧された空気と伴に対象物に照射し,その噴流の衝突圧と衝突力及びくさび作用によって対象物を破壊するものである。
 
研磨剤,研削材,研掃材の種類は砂,鋼球,酸化アルミニウムや人造石をスポンジで包み込んだもの,ドライアイス粒など多岐にわたる。また,少量の水を併用し,ほこりを抑制する工法もある。
 
研磨剤,研削材,研掃材は,対象物に照射したのち,回収して研掃クズを分離分別し再利用する工法が多いが,ドライアイスブラストについては研掃剤が気化するため研掃クズのみ回収すればよい。
 
施工機械を見ると,ノズル周辺装置で密閉空間を作り,照射後の研磨剤,研削材,研掃材と研掃クズを回収し分別する機械が多い。
 
 
 

2.4.4 水等の噴射圧による解体技術の詳細
別表参照。
 

2.5 切断・切削など

2.5.1 概要
既述のとおり,「壊す力」による分類に当てはめにくい技術・工法を「切断・切削など」として,ワイヤーソーによる切断,鋸引き,コアドリル等による切断,路面切断機,電磁誘導加熱を小分類として挙げた。
 
 
 

2.5.2 ワイヤーソーによる切断
切断解体使用する部材に,ダイヤモンドビーズを取り付けたワイヤーを大回しで巻き付け,エンドレスで高速回転させてコンクリートや鉄筋を切断する工法である。本工法の特徴は,ワイヤーソーをかけることができればどのような大きさのものでも切断可能な点にある。建物の切断や,連続地中壁の切断による開口作成,橋脚の切断,水中構造物の切断など多数の実施例がある。
 
 
 

2.5.3 鋸引き,コアドリル等による切断
ダイヤモンドブレードやダイヤモンドビットを使用して,コンクリートや鉄筋を研削する工法である。解体工事では,雑音や振動低減が求められる場合の縁切りや部材解体,各種穴あけ等の手段として使用される。
 
 
 

2.5.4 路面切削機
アスファルト舗装の平坦性が極端に悪くなった場合,その部分を削り取り,路面の形状とすべり抵抗性を回復させる工法である。この他,舗装路面に溝を切ったり,凹型に切削する特殊な工法もある。
 
 
 

2.5.5 電磁誘導加熱
表層付近に大電流の高周波コイルを設置,内部の金属が誘導電流(渦電流)により,発熱することにより,表層部分のコンクリートや舗装,塗装などを取り壊しやすくする工法である。
 
 
 

2.5.6 切断・切削などの解体技術の詳細
別表参照。
 
 
 

3. 地中障害物・既設杭撤去技術

3.1 撤去技術の概要


構造物の更新・リニューアルにおいては,構造物の解体とともに地中の障害物や既設の基礎杭を撤去する必要性がある。撤去の対象物としては,地中にあるコンクリート構造物,鋼材,木材,鋼矢板,各種の杭(松杭,既製コンクリート杭,鋼管杭,場所打ち杭,H鋼杭)などである。撤去工法としては,従来からロックオーガーやオールケーシング工法(ベノト杭工法)を利用した技術などが用いられてきたが,地中障害物や既存杭の撤去(杭の引抜き等)に特化した工法も開発されている。
 

3.2 工法の整理

地中障害物撤去工法と既設杭撤去工法について,掘削方法によって①オーガーケーシング工法(オーガーとケーシングを同時に用いて掘削する工法),②ケーシング工法(オーガーは使用せずにケーシングで掘削する工法),③オーガー工法(ケーシングは使用せずにオーガーで掘削する工法),④深礎掘削工法(深礎杭の掘削方法を用いる工法),⑤その他に大別した。そして,地中障害物や既設杭を取り除く方法によって,破砕,引抜き,杭撤去専用などに小分類して整理し,それぞれに該当する工法・技術を当てはめて体系化した。技術・工法に関する情報は,インターネット上のNETIS新技術情報提供システム,開発会社のホームページやパンフレットなどの公開資料から得た。
 
調査によって作成した体系図を図−3.1に,各工法・技術の詳細を以降に表形式にて示す。なお,バイブロハンマや油圧ジャッキ等の汎用的な機器を用いて杭等を直接引抜く工法や,プレボーリング等で縁切りした杭等にワイヤーを固定しクレーンで引抜く工法等は詳細説明の表では取り上げていない。
 

図−3.1 地中障害物撤去工法の分類


 
 

3.2.1 地中障害物・既設杭撤去技術の詳細
別表参照。
 
 
 

4. 周辺技術

4.1 周辺技術の整理

「周辺技術」とは,解体作業で発生する騒音源や振動源の周囲を防音パネル等で囲い騒音や振動等を低減させる技術と定義し,従来工法等に工夫を加えて騒音や振動を低減させた工法や装置そのものについては対象から除外した。また,周辺技術はその低減対象によって騒音・振動・粉じん・飛散の4つに分類した。
 
騒音対策は,騒音源の機器をカバー等で覆う技術と,パネル等で音源の広がりを抑える技術に大別される。解体作業における騒音源は,主にブレーカ等の壊す力を生じさせる機械と発動発電機等が挙げられるが,機械そのものが低騒音仕様となっているものについては,本章では除外した。また,ここでは解体作業に対する周辺技術を整理するため,道路交通騒音対策を目的とした技術については除外した。
 
調査によって作成した体系図を図−4.1に,各工法・技術の詳細を次節以降表形式にて示す。
 

図−4.1 周辺技術の分類




 

4.1.1 騒音対策詳細
別表参照。
 
 
 

4.1.2 その他詳細
別表参照。
 
 
 

5. 撤去工の化学的観点での整理

5.1 解体等に伴う有害物質の処理

近年は建築物等の解体が増加しているが,建築物等には多種多様な有害物質等が使用されている可能性があるため,解体・改修工事等においてはこれらの有害物質等を適切に処理することが重要である。
 
ここでは,建築物等に有害物質等が使用されている場合の確認方法・処理方法等について紹介しているパンフレット「建築物の解体等に伴う有害物質等の適切な取扱い(建設副産物リサイクル広報推進会議)」(参考資料7))で対象としている有害物質(表−5.1)について,記載内容を要約,整理した。
 
より詳細な処理方法や措置については引用元を参照されたい。
 

表−5.1 対象有害物質



なお,有害物質の処理には,法(建設リサイクル法,労働安全衛生法(石綿障害予防規則),大気汚染防止法,フロン類法等)規制が多くあるため,実施にあたっては法的な要求事項を十分確認する必要がある。
 

5.2 有害物質の整理

別表参照。
 
 
[参考資料]
1) 特集壊す 土木と壊す 再生・更新時代の鍵を握る「壊す」技術(塚田幸広);土木技術69巻10号 2014.10
 
2) 特集-2「解体」の最新技術 新時代の「解体工事業」の確立に向けた取り組みと展望(湯浅昇 日本大学生産工学部);積算資料SUPPORT 2014.10
 
3) 特集*コンクリート構造物の解体/3 コンクリート構造物の解体工法の概説(澤田一郎);コンクリート工学Vol.29.No.7,1991.7
 
4) NETIS新技術情報提供システム
http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/NewIndex.asp
 
5) 静的破砕剤工法Non-ExplosiveDemolitionAgent(山崎建設(株)生産技術室)
http://www.yamazaki.co.jp/data/school/pdf/DemolitionAgent.pdf
 
6) ウォータジェット工法 計画・施工の手引き 2009.3日本ウォータジェット施工協会
 
7) 建築物の解体等に伴う有害物質等の適切な取扱い 2014.7(建設副産物リサイクル広報推進会議)
 
8) 目で見るアスベスト建材(第2版)H20.3(国土交通省)
 
 

2.2.5 機械の衝撃力,圧砕力による解体技術の詳細



2.3.6 材料の膨張圧等による解体技術の詳細



2.4.4 水等の噴射圧による解体技術の詳細



2.5.6 切断・切削などの解体技術の詳細



3.2.1 地中障害物・既設杭撤去技術の詳細



4.1.1 騒音対策詳細



4.1.2 その他詳細



5.2 有害物質の整理




 

土木学会建設技術研究委員会 建設技術体系化小委員会 解体・障害物撤去工ワーキンググループ

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2019年11月号



 

 

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