- 2025-02-10
- 積算資料
道路構造物の点検・補修に日夜取り組んでいるところだが、既に開通から50年以上経過した路線が全体の3割以上になるなど、進行する高齢化や過酷な使用等により、構造物に多数の損傷が発生し、その中には重大な損傷も発見されている状況にある。
このような状況下において、より効果的・効率的に維持管理するため、道路構造物を造り替える大規模更新と、集中的に損傷を補修する大規模修繕の検討が進められ、2014年度より大規模更新・大規模修繕事業を開始している。
さらに、2014年度から開始した法定点検において、新技術も活用しつつ、より詳細な点検を行ったことにより、新たに更新が必要な箇所が判明し、2024年度より追加された新たな更新事業箇所にも着手しているところである。
本稿では、追加事業を含む大規模更新事業7箇所(図- 1)のうち、東品川桟橋・鮫洲埋立部と日本橋区間地下化事業の概要と進捗状況、新たに追加された羽田トンネル付近の概要について、報告する。

【図- 1 大規模更新実施箇所】
1. 東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業
(1) 事業概要等
本事業の概要、施工ステップ等の詳細については、本誌2018年12月号掲載の寄稿文を参照いただきたい(注1)。
(2) 施工概要
更新に際しては、首都高速道路および周辺の一般道路への交通影響を考慮して、交通を確保するため、う回路を設置し交通を切り替えながら、本線を半断面ずつ造り替える計画として、2016年2月より工事着手している。
2017年9月に上り線のう回路への切り替えが完了し、2020年6月に下り線の交通を将来上り線となる更新線へ暫定的に切り替えた。
現在、将来下り線となる更新線の工事を進めている。
本施工では、上記した暫定供用中の将来上り線となる更新線と、東京モノレールに挟まれたスペースにおいて、安全に配慮しながら施工を進めている。
また、工事用車両のアクセス箇所が少なく、細長い施工ヤードでの施工となるため、資機材の搬入方法や施工方法に工夫をしながら施工を進めている。
2024年8月時点において、東品川区間では桁の架設が完了し、床版工等、橋面工を実施している。一方、鮫洲区間では橋面工が完了し、排水工を実施している(写真- 1、2)。
2. 竹橋・江戸橋JCT付近(日本橋区間地下化事業)
(1) 事業概要等
本事業の概要については、本誌2021年12月号掲載の寄稿文を参照いただきたい(注2)。
日本橋区間地下化事業は、本体施工に向けた準備工事である「出入口撤去工事」から着手し、工事を進めているところである。
2024年3月および4月には、シールドトンネル工事を含む3つの本体工事が工事契約を締結し、地下化ルート整備におけるトンネル工事などの現場着手に向けて、2023年6月には本体工事の工事説明会を開催した。
既設の都心環状線を供用させながら地下化工事を行うため、シールドと干渉する既設都心環状線の基礎撤去前に、必要となる仮受橋脚の施工等に着手している。
その後、2035年度の地下ルート開通、2040年度の完成(高架橋撤去)を目標に進める予定である。
(2) 出入口撤去工事の進捗状況
出入口撤去工事は、地下ルートを整備するに当たり、今後日本橋川内で工事が必要となることから、日本橋川の流れを現状より悪化させないようにするため、呉服橋出入口と江戸橋出入口を先行して撤去するものである。
出入口部を撤去し、日本橋川内の橋脚本数を減らすことで、日本橋川の水位を下げて、治水上の影響を低減し、今後の河川内の工事を可能とする(図- 2)。
撤去するのは、呉服橋と江戸橋の入路、出路とその本線分合流部に当たる橋梁の床版と桁、およびそれらを支える橋脚であり、本工事で全7本の橋脚を撤去する。
また、橋脚の撤去に伴い必要となる既設構造物の補強も実施する。
床版、桁および橋脚を含め、江戸橋・呉服橋出入口の撤去は2023年度末に完了したところである(写真- 3 ~ 6)。
これにより、地下化事業における高架橋撤去の約1割が完了したことになる。
3. 羽田トンネル付近
(1) 事業概要等
羽田トンネルは1964年8月に開通した首都高初の海底トンネルである。
供用開始から約60年が経過し、道路階およびダクト階において、構造目地からの漏水で海水が鉄筋コンクリート内部に浸入したことにより、鉄筋消失等の重大な損傷が増大している。
繰り返し補修・補強を実施しているが、漏水による緊急の交通規制が増加しており、トンネル躯体の抜本的な対策が急務となっている(図- 3)。
長期にわたる健全性を確保するため、中床版の取り替えやトンネル躯体のせん断補強、壁面補修、目地部構造部材の取り替え等の抜本的な対策を実施する。
あわせてトンネル内面を被覆して劣化因子を遮断するとともに、目地からの漏水による劣化が進行しないよう樋や排水溝を設置して適切な導水を行う(図- 4)。
工事に伴う長期間の通行止めを回避するため、現在運用停止中の羽田可動橋を含む羽田トンネルバイパス路の空間を活用したう回路を設置する。
工事後はう回路を本線運用し、上り方向を高架3車線化、トンネル内を下り専用とする運用に見直すことで、当該箇所が従来より抱える通常時の渋滞緩和を図る(図- 5)。
なお、大規模更新事業の工事現場状況等の紹介動画を定期的に配信しているので、そちらもご参照いただきたい(「首都高 リニューアル 動画」でWeb検索)(注3)。
引き続き、お客さまおよび沿道の方々へのご理解、ご協力を得ながら事業を進めてまいります。
(注)1. https://www.kensetsu-plaza.com/kiji/post/52131
2. https://www.kensetsu-plaza.com/kiji/post/52209
3. https://www.youtube.com/playlist?list=PLUtNIHSs5G9cALoSuVKE3yNIccr_wCYJu
【出典】
積算資料2024年11月号

最終更新日:2025-02-16
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