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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料公表価格版 > 特集 環境と共生する技術 > (一社)全国建設発生土リサイクル協会の第3期までの事業活動と第4期事業計画について

はじめに

一般社団法人全国建設発生土リサイクル協会(Japan Soil Recycling Association 略称:JASRA、以下本稿では、「JASRA」といいます)は、2021年4 月に国土交通省、一般財団法人先端建設技術センター及び関係者のご支援をいただき、建設発生土リサイクルに関する初めての全国組織として設立された団体です。
2023 年4 月で設立2 年を迎えました。
昨年本誌8 月号に掲載した記事では2022 年5 月末時点の正会員数39 社、賛助会員数は21 社でしたが、2023 年5 月末時点では正会員数52 社、賛助会員数28 社、特別会員は(一財)日本建設情報総合センター、(株)建設資源広域利用センターの2 社となっており、この1 年間で正会員13 社、賛助会員7 社が新たにJASRAのメンバーに加わっていただきました。
正会員は、建設発生土土質改良プラント事業を実施している企業が中心ですが、建設業者等建設発生土に関係する企業、これから建設発生土リサイクル事業を開始する企業等にも加入いただいております。
本稿の場をお借りして、JASRA設立後これまでの事業活動成果、今後の事業予定等を紹介せていただきます。
 
 

1. 第3 期(2022.7.1 ~ 2023.6.30)までの事業活動

1-1 JASRA VISION2050
(1) ビジョンの位置づけ

「JASRA VISION2050」は、2050 年までの超長期のスパンに立ち、2050 年における建設発生土リサイクルのあるべき姿を提示するとともに、 2050 年までに「質」を重視した魅力ある建設発生土リサイクル業としての確立を目指すことを JASRAの明確な目標と定め、そのための方策を可能な限り具体的に示したものです。
2022 年9 月末に策定・公表しました。
https://jasra.or.jp/ pdf/JASRAVISON2050.pdf
 

(2) ビジョンの計画期間と構成

「JASRA VISION2050」の計画期間、構成等は次のとおりです。

  • 計画期間は2021 年から2050 年までの30 年間。
  • 目標を達成するための取組みについて、5 年ごとにその達成状況、社会情勢の変化を踏まえて見直すこととするため、5 か年計画を作成することとし、2021 年から2025 年までは JASRA2025 とする。
  • ビジョンの対象、すなわち目標達成のための取組みの主体は、JASRAおよびJASRA正会員、賛助会員ですが、建設発生土に関わる全ての関係者、とりわけ国土交通省および建設工事発注者のご理解・ご協力が不可欠です。
  • このため、JASRAとして、関係者の皆さまには、あらゆる機会を捉えた説明、情報提供などを通じて、ご理解・ご協力を賜るよう継続的に活動していくことにしています。

 

(3) 具体的な内容

「JASRA VISION2050」の具体的内容は表- 1のとおりです。
JASRAの事業活動は基本的に表- 1 に示す3 の目標達成ためのA1 からA20 までの取組みを実現するための活動となります。

表-1 JASRA VISION2050 目標と目標達成に向けた取組
表-1 JASRA VISION2050 目標と目標達成に向けた取組

 

1-2 主な事業活動成果
(1) 建設発生土土質改良プラント第三者認証制度

建設発生土土質改良プラントで製造される改良 土の利用を拡大するためには、所与の品質に適合する改良土製造システムを有することを第三者組織が認証するしくみ(工場認証)が必須であるとの認識のもと、JASRA顧問である京都大学勝見武教授を委員長とする委員会を(一財)先端建設技術センターと共同で2021 年9 月に設置し、3 回の委員会を経て、第三者認証制度案というべき「建設発生土土質改良プラント第三者認証制度主要事項に関するとりまとめ結果」を2022 年2 月に公表しました。
https://jasra.or.jp/download/index.html
 
これを受けて、(一財)先端建設技術センターは、2023 年5 月より「建設発生土の土質改良プラント認証事業」を開始しています。
https://www.actec.or.jp/doshitsu-plant/)。

 

(2) 「登録土質改良基幹技能者」制度

建設発生土の土質性状は地域によって様々であり、建設発生土を有効利用するためには、土質に関する専門知識をもった技能者が必要との認識のもと、建設業法に基づく「登録基幹技能者」制度構築を目指し、2023 年6 月末に「登録土質改良基幹技能者講習」実施機関として国土交通省に申請しました。
(図- 1)2023 年末までに講習実施機関として認定された場合は、2024 年6 月までには第 1 回講習を実施予定です。

図-1 登録土質改良基幹技能者の範囲
図-1 登録土質改良基幹技能者の範囲

 

(3) 建設発生土に関する講習会等

①土サミット
JASRA設立の契機となった、建設発生土、建設汚泥、汚染土壌など「土」に関わる関係者の情報交換の場である「土サミット」について、2021年以降はJASRAが事務局を担当し第2 回は2021年10 月7 日に大阪、第3 回は2022 年10 月21 日に東京で開催しました。
第3 回土サミットは、「土の未来」について大学生からのスピーチ後、会場参加者と意見交換する「学生ワークショプ」を初めて開催し、大変好評をいただきました。

 
②建設発生土リサイクル講習会
2022年4月26日に第1回JASRA建設発生土リサイクル講習会を東京で開催しました。
この講習会は、2021 年7 月に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害を受けた、国における盛土等規制法制定等の取組みを踏まえて、建設発生土有効利用事例等を紹介する目的で開催したものです。
当日は会場参加、WEB 参加を含め200 名を超える参加者がありました。
第2 回目は、自然由来重金属等含有土の扱い、災害復旧事業での土質改良土利用等をテーマに2022 年12 月1 日に開催しました。
また、国土交通省に依頼し盛土規制法、資源有効利用促進法省令改正に関する説明会を2023年1 月23 日、5 月19 日の2 回オンラインで開催しました。
特に5 月19 日の説明会は、施行日である 5 月26 日の1 週間前ということもあり100 名超の参加があり、多数の問い合わせをいただきました。

 

(4) その他の活動

①行政・建設業者への情報発信
建設発生土土質改良土の利用拡大のためには、土質改良土の最大の利用先である公共工事の発注者及び元請者への情報提供が最も重要です。
そのため、土質改良プラント立地・稼働情報、 NETIS(新技術情報システム)に登録されている建設発生土発生抑制・土質改良技術情報などを JASRAホームページで公開しています。
 
② JASRA会員向けサービス

  • 技術研修会
    JASRA会員向けサービスの一環として、品質・技術部会主催で「技術研修会」をこれまでに7 回開催しています。
    技術研修会の開催内容はJASRAニュースに掲載しています。(表- 2)

    表-2 技術研修会開催実績
    表-2 技術研修会開催実績
  • JASRAニュース
    会員向けの情報共有ツールの一環として、
    「JASRAニュース」を4 半期に1 回程度電子版として発行することにしており、2023 年5月末時点でVol.6 まで発行しています。
    建設発生土に関する最新情報、技術研修会内容の他、会員会社紹介コーナーがあります。
    どなたでもホームページで閲覧できますので是非ご覧ください。
    (https://jasra.or.jp/download/index.html)
  • 国土交通省「ストックヤード登録制度」登録手引き
    資源有効利用促進法省令改正第二弾の「ストックヤード運営事業者登録制度」が2023年5 月26 日に施行になりました。
    会員の登録を支援するため登録手引き等を作成し、「会員専用ページ」に掲載しています。

 
 

2. 第4 期(2023.7.1 から2024.6.30)の事業計画

第4 期の事業計画は表- 3 のとおりです。
このうち主要な事業について説明します。

表-2 JASRA第4期(2023.7.1から2024.6.30)事業計画
表-3 JASRA第4期(2023.7.1から2024.6.30)事業計画

 

2-1 土質改良プラント第三者認証取得支援講習会

(一財)先端建設技術センターの「建設発生土の土質改良認証」を取得した会員を講師として、会員向けの認証取得講習会を開催し、第三者認証取得を支援することにしています。

 

2-2 盛土規制法許可施設・ストックヤード登録施設DB

「JASRA VISION2050」に「A1:土質改良プラント、ストックヤード、受入地」情報共有システム整備」として位置付けているデータベース構築に着手します。
先ず、2023 年度は「国土交通省ストックヤード登録制度」により各地方整備局が公表する登録ストックヤード情報をJASRAとして収集しデータベースに登録します。
盛土規制法による届出・許可情報についても2023 年度末時点での都道府県等公表情報を収集しJASRAのデータベースに登録していきます。
これらデータベースの更新は各年度4 半期に1 回程度を予定します。

 

2-3 土サミット2023FUKUOKA

第4 回目となる2023 年の土サミットは福岡市のホテルニューオータニ博多で2023 年10 月26 日に開催します。
テーマは「文明と土」です。
国土交通省、福岡県、静岡県の建設発生土担当者からの講演、オンライン現場見学会、九州のローカルな土の扱いに関するパネルディスカッション、そして九州地区の大学の協力を得て今年も学生ワークショップを開催します。
また、事前に開催する「こども土サミット」で制作した「土偶ちゃん」コンテストの表彰式も行います。
10 月27 日には現地見学会も予定しています。
6 月1 日より参加申込可能です。
26 日の参加費は一般6、000 円、公共機関及び大学等教員・学生は無料となっています。
(https://tsuchi-summit.com/)
 

2-4 研究助成

第4 期事業として、「JASRA VISION2050」に「A18: 若手研究者の育成」として位置づけている若手研究者(学生を含む)を対象とした研究助成制度を開始します。
第1 回目の研究助成テーマは「建設発生土リサイクルによるCO2 削減効果の算定(仮)」を予定しています。
その概要は表- 4 のとおりです。

表-3 研究助成の概要
表-4 研究助成の概要

 
 

おわりに

JASRA設立後2 年を経過した2023 年5 月26 日、盛土規制法、資源有効利用促進法省令改正が施行となりました。
資源有効利用促進法省令改正に伴う「ストックヤード運営事業者登録制度」の登録受付は各地方整備局建政部にて5 月26 日からスタートしています。
盛土規制法の事務は、都道府県、政令市及び中核市を合わせて全国129 の「都道府県等」が担います。
盛土規制法の規制は、都道府県等が実施する基礎調査に基づく「区域指定」後となりますので、実質的には2024 年以降、都道府県等によっては2025 年以降になるともいわれています。
 
JASRAとしては、会員の「ストックヤード登録」を支援するとともに、都道府県等の盛土規制法への対応状況について情報収集し会員へ提供していきます。
建設発生土に関する新たな法令に対して誠実に対応し、JASRA VISION2050 で掲げた「質を重視した魅力ある建設発生土リサイクル業確立」を目指して、一歩一歩、着実に取り組んでいく所存ですので、皆さまのご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 
 
 

一般社団法人 全国建設発生土リサイクル協会 専務理事

髙野 昇

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2023年8月号

公表価格版8月号

最終更新日:2023-07-28

 

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