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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料 > 建設業法や公共工事品確法の改正~「第3次担い手3法」の全容~

<「第3次担い手3法」の目的>

今年の通常国会で政府提出の閣法として建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)、議員立法として公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)と入契法、測量法が改正された。
建設工事の担い手確保とダンピング対策の強化をうたった2014年の「担い手3法」、働き方改革に向け適正工期の確保を打ち出した2019年の「新・担い手3法」に続き、3回目の一括改正となるため「第3次担い手3法」と呼ばれる。
 
背景にあるのは他産業より賃金が低く、就労時間も長い建設業の現状への危機感だ。
この25年間で就労者は3割減少。
資材価格の高騰による労務費の圧迫、時間外労働の罰則付き上限規制の適用も追い打ちをかけ、担い手の確保がより困難な状況に陥っている。
 
災害時に地域の守り手となる建設業がその役割を果たし続けるためにも、担い手の確保は待ったなしだ。
今回の一括改正では労働者の処遇改善や働き方改革を後押しすることで就労環境の改善を図り、新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)の業界を実現。
ICT活用などによる生産性向上、地域建設業の維持に向けた方策を組み合わせ、持続可能な建設業を目指す。
 
改正業法・入契法は民間工事を含めた建設業全体の最低ルールの底上げを意図する。
著しく低い労務費の見積り・契約の禁止といった規制的手法を駆使する。
それに対し、改正品確法などは公共工事で先導的な取り組みを推進し、民間工事などのけん引役となることを期待する。
受発注者の責務規定を拡充するなど誘導的手法を用い、それぞれの立場でより望ましい行動を指し示す。

【図表- 1 第3次担い手3 法の全体像】(出所:国土交通省)
【図表- 1 第3次担い手3 法の全体像】(出所:国土交通省)

 
 

<改正建設業法・入契法のポイント>

改正業法で最大のポイントは、適正な労務費の確保と行き渡りに向けた法規制の導入だ。
国が新たに「労務費に関する基準(標準労務費)」を示し、それを大きく下回る「著しく低い労務費」による見積り提出・見積り変更依頼を禁止する。
違反した発注者には国などが「勧告・公表」可能とし、建設業者は「指導・監督」の対象となる。
これまで注文者に対象を限っていた「不当に低い請負代金の禁止」と「著しく短い工期の禁止」を受注者にも導入し、価格と工期のダンピング規制も強化する。
 
資材高騰を念頭に取引上の価格転嫁を目的とした協議を円滑化し、労務費へのしわ寄せを防止する仕組みも新たに設ける。
契約前のルールとして資材の価格高騰や入手困難の「恐れ(リスク)情報」を受注者が注文者に提供する義務を課し、契約後のルールとして受注者による契約変更の申し出に注文者が「誠実に協議に応じる」ことを努力義務とする。
公共工事ではより徹底した対応を求め、入契法で発注者に誠実協議を義務化する。
 
生産性向上につながる措置は▽現場技術者の専任義務の合理化▽ICTを活用した現場管理の効率化――の二つを打ち出す。
ICTを活用した遠隔での現場確認などを条件に、現場専任技術者や営業所専任技術者の兼任を可能とする新制度を創設する。
 
各規定は公布から▽3カ月以内▽6カ月以内▽1年半以内――の3段階で施行。
労務費の見積り規制や受注者による価格・工期のダンピング規制は2025年12月までに施行する。

【図表- 2 改正建設業法・公共工事入札契約適正化法の概要】(出所:国土交通省)
【図表- 2 改正建設業法・公共工事入札契約適正化法の概要】(出所:国土交通省)

 
 

<改正品確法などのポイント>

改正品確法では、担い手の休日・賃金の確保と地域の業界の維持に向けた措置を講じる。
処遇改善の観点で、個々の能力に応じた処遇確保や多様な人材の雇用管理の改善などの踏み込んだ対応を受注者に求める。
受注者が改善を図るべき労働条件の一例として「休日」を追加し、働き方改革も推進。
特に市町村に対しスライド条項の適切な運用を強く促す。
総合的に価値の高い資機材や工法の採用と予定価格への反映を発注者に求め、生産性向上につながる新技術の現場実装を加速する。
小規模自治体を念頭に発注体制の強化への支援も充実。
改正品確法に連動した入契法の改正で、適正化指針に則した措置の実施で「要請」止まりだった国の働き掛けを強め、個別の発注者に「勧告・助言・援助」できる権限を国に付与する。

【図表- 3 改正公共工事品確法などのポイント】
【図表- 3 改正公共工事品確法などのポイント】

 
 
 

日刊建設工業新聞社 編集局 
沼沢 善一郎

 
 
【出典】


 積算資料2024年8月号
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最終更新日:2024-11-05

 

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