- 2016-07-27
- 積算資料
1.はじめに
毎年,1月2日から3日に開催される東京箱根間往復大学駅伝競走(以下「箱根駅伝」)は,新年の風物詩となっています。
この箱根駅伝の開催に際して,駅伝コースとなる国道を管理する横浜国道事務所では,毎年,主催者である関東学生陸上競技連盟(以下「関東学連」)からの協力依頼を受け,走者が走りやすい道路路面や,応援・見学者の皆様の安全の確保のため,東京都大田区(六郷橋)から神奈川県足柄下郡箱根町まで(途中,神奈川県および横浜市管理区間を除く)の一般国道1号および15号で徒歩によるパトロールを行い,車道路面や歩道の段差などの不安全箇所の確認を行い,不具合を発見した場合は箱根駅伝の開催前に必要に応じて補修工事を行っています。
今回は,平成27年末に実施した徒歩パトロールおよび一般社団法人神奈川県建設業協会における取り組みについて報告いたします。
2.箱根駅伝の概要
東京箱根間往復大学駅伝競走は,東京都千代田区大手町をスタートし神奈川県足柄下郡箱根町元箱根をゴールとする往路5区間と,同コースをほぼ戻る復路5区間で構成され,2日間で10区間,合計217.1kmの距離を10名の選手でたすきを繋いでいきます。
大正9年に始まったこの駅伝競走は「箱根駅伝」の愛称で親しまれ,平成28年1月の大会で92回を数える歴史ある大会となっています(図- 1参照)。
この大会は,関東学連に所属する大学などにより,前年度大会において10位以内に入った10校と,熾し烈れつな予選会を勝ち抜いた10校,そして関東学生連合チームを加えた合計21チームで競います。第92回大会は昨年に引き続き青山学院大学が総合優勝に輝きました。
3.徒歩パトロールのきっかけ
横浜国道事務所は,神奈川県内を走る一般国道1号,15号,246号,357号および409号の5路線,合計260.9km(一部東京都内を含む)を管理しています。
箱根駅伝のコース区間では,以前から関東地方整備局内の巡回要領により1日1回パトロールカー搭乗による目視点検をはじめ,車道路面やその他道路施設の維持管理,駅伝コースでは路面などの傷んだ箇所の補修を開催前に行ってきました。平成22年度からは巡回要領の変更に伴い2日に1回のパトロールとなり,また,年々沿道での応援者が増加し,歩道における安全確認の必要性が高くなったため,コース区間の現場管理を担当する神奈川出張所と小田原出張所,および事務所の管理担当職員が徒歩パトロールを実施することとしました。
その後は,平成26年度まで毎年,徒歩パトロールを実施しており,参加する職員も事務所内全所属から参加する体制となり,より充実したものとなってきています。
4.平成27 年度事前徒歩パトロールの実施概要
(1)横浜国道事務所の取り組み
平成27年度は,表- 1のとおり11月下旬から12月初旬にかけて実施しました。
実施方法は前年度までと同様に,事務所内全所属職員と担当出張所職員において,箱根駅伝コースのうち当事務所が管理する42.5kmを1区間約5〜7kmの合計7区間に分けて徒歩パトロールを行っています(図- 2および表- 1参照)。
平成27年度初めての試みとして,道路管理者だけではなく箱根駅伝主催者側の目でも点検していただくことが,より安全で適切な駅伝開催に有効であるとの判断から,関東学連に徒歩パトロールの共同参加を呼び掛けたところ,快く参加を引き受けていただきました。これにより7区間のうちの1区間について道路管理者である横浜国道事務所と,駅伝主催者である関東学連との共同パトロールが実施されることになりました。
当日は関東学連から学連幹事の学生4名が参加され,当事務所職員6名とともに国道1号の大磯駅入口交差点から二宮駅入口までの5.8kmを上下線に分かれ徒歩パトロールを実施しました(写真- 1,2 参照)。
徒歩パトロール開始前には関東学連の参加者の方々に,横浜国道事務所の事業概要や徒歩パトロール実施要領の説明を行い,あわせて箱根駅伝コースの内,神奈川県管理区間の歩道清掃や路面補修,除雪対策などを実施している一般社団法人神奈川県建設業協会から,その実施状況の説明も行ってもらいました。
徒歩パトロール中には,関東学連の方々から車道路面を中心として「わだち,ひび割れがある」,「枯れ葉がたくさん落ちている」などの指摘があり,同行した職員から,12月に補修や路面清掃を行う話をしました。
また,指摘箇所の記録を実際に体験してもらうとともに,道路の管理上,日本国道元標が設置してあり国道1号・15号起点の「日本橋から」また「日本橋まで」の距離がわかるように1kmごとにキロポストを設置していることなども話しながら
歩きました。
パトロール終了後には,関東学連から参加された方々に感想・意見を伺ったところ,皆さんから「大変貴重な体験ができたこと,コースをよい状態に保つ苦労も分かった」との感想を得て,今回の試みは大変有意義なものであったことから,今
後とも継続したいと考えています。
(2) 一般社団法人神奈川県建設業協会の取り組み
神奈川県建設業協会では,箱根駅伝コースのうち,神奈川県が管理する県道30号線,国道134号と箱根町内の国道1号(旧道)の清掃,路面補修や除雪などを行っています(写真- 3,4参照)。
平成27年度は,12月16日に神奈川県藤沢土木事務所管内の13.1kmを6地区に分けて,藤沢土木協同組合(藤沢地区,茅ヶ崎・寒川地区,鎌倉地区の地元建設業者)の組合員の方々99名で歩道の清掃を行いました(写真- 5,6参照)。
この活動は平成24年度から始まり年々参加者も増えてきており,地域の皆様に喜んでいただけるよう組合員も一丸となって頑張っています。また,箱根地区でも事前に道路脇の除草や路面の補修などを行うとともに,箱根駅伝開催の両日は各会社で待機し大会成功に向け万全の体制を確保しています。
5.おわりに
今回の事前徒歩パトロールでは,関東学連所属の幹事の方々の参加により貴重なご意見をいただきました。また,地元建設業協会の方々により横浜国道事務所管内以外でも箱根駅伝開催に向けた歩車道の整備などを行っていただいていることが分かりました。
今回,発見された箇所の補修も12月中に完了し(写真- 7参照),無事に箱根駅伝を終えることができました。
今後も,年始の国民的恒例行事となった箱根駅伝を,より安全で安心して開催できるように各道路管理者,神奈川県建設業協会の方々ならびに関東学連と連携を図り,大会運営の協力体制を継続していきたいと考えています。
【出典】
積算資料2016年04月号
最終更新日:2016-09-27
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