建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 仮設機材の経年管理について

 

はじめに

本会では,仮設構造物等に係る労働災害の防止とその工事施工の円滑化を通し,国民の安心で安全な生活の向上に寄与することを目的として,建設現場で使用される仮設機材(型枠支保工,足場,作業台,安全ネット,親綱支柱など)に対して厚生労働省規格および本会の定める仮設機材認定基準に適合しているかを確認する「認定制度」により,仮設機材の安全性を確保しています。また,仮設機材は,建設現場で何年も繰り返し使用されることから,経年仮設機材の安全性を確保するため,「経年仮設機材管理基準適用工場規程」に基づき,仮設機材を保有している機材センターにおいて機材の選別,整備,修理,廃棄などのメンテナンスが適正に行われているかを確認する「経年仮設機材管理基準適用工場制度」も実施しています。
 
 
 

1. 仮設機材に関する死亡災害の現状

建設業において働いている人々の労働現場での死亡災害は,毎年,減少傾向にはありますが,平成29年において323人が死亡し,そのうちの71人(全死亡災害の約22%程度)が仮設機材に関する死亡災害となっています(表−1,仮設工業会調べ)。一方で,仮設機材の経年管理上の要因による死亡災害や負傷災害(図−1〜4)も発生しています。
 

表−1 最近9年間の足場等の種類別死亡災害発生状況


 

  • 図−1 アルミニウム合金製脚立の踏桟が破壊し,作業員が墜落

  • 図−3 シートのはとめ部分が切れて,作業員が墜落

  • 図−2 足場板が折れて,作業員が墜落

  • 図−4 はしごが折れて,作業員が墜落



 

2. 仮設機材のメンテナンスとは

仮設機材のメンテナンスは,主に仮設機材を保有するリース・レンタル会社の機材センターで管理・実施されており,現場から戻って来た仮設機材は,選別(コンクリート等の付着,へこみ,変形,損傷などが無いかを一つ一つ確認)し,整備(コンクリート等の付着の除去,ねじ部の油差し,ロック機能などの可動部分の確認など)を行います。また,必要なものは修理を行い,修理が出来ないものは廃棄するなどの管理を行っています。
 
 
 

3. 経年管理はどのように行うか

各機材センターでどのように管理を行うかについては,厚生労働省から「経年仮設機材の管理指針」が示されています。この内容に新たな製品などを加え,写真などを多用して分かり易くまとめた『経年仮設機材の管理に関する技術基準と解説』(経年仮設機材の点検,検査および性能試験等)を本会で発行しており,このテキストを使用して講習会を行っています(写真−1,4)。また,『仮設機材センターの総合管理に関するガイドライン(第3版)』(機材センターでの組織管理,整理整頓,機材管理手法,入出庫・棚卸管理,機械設備管理,安全衛生管理,教育訓練手法等)や『整備作業責任者講習テキスト』(整備作業のポイント等)を発行し,これらのテキストに基づく講習会も実施しています(写真−2,3)。これらの講習を受け,必要な知識を有した「仮設機材管理者」や「整備作業責任者」を中心に機材センターにおいて適正な経年管理が行われています。
 
 


  • 写真−1 [新版]経年仮設
    機材の管理に関する技術基準
    と解説(仮設機材管理者講習
    会テキスト)

  • 写真−2 (第3版)仮設機材
    センターの総合管理に関する
    ガイドライン(機材センター
    総合管理講習会テキスト)

  • 写真−3 整備作業責任者講習
    テキスト(整備作業責任者講習
    会テキスト)


  • 床付き布わくの各部の異常の確認(選別作業)

  • 床付き布わくのつかみ金具の外れ止めの修理(修理作業)

  • 床付き布わくのつかみ金具の変形の有無の確認
    (選別作業)

  • 床付き布わくの廃棄品(廃棄)



床付き布わくのコンクリート等を除去するケレン(整備作業)


写真−4 足場の部材の一部である床付き布わく(作業床)の選別,整備,修理,廃棄例


 

4. 経年仮設機材管理基準適用工場制度

本会では,上記の『経年仮設機材の管理に関する技術基準と解説』などに基づいて適正に仮設機材を管理している機材センターを,「適用工場」として認定しています。
 
なお,「適用工場」のうち,「指定工場」とは,本会の正会員であるリース・レンタル会社または修理会社が適正に管理している機材センターであり,「登録工場」とは,本会の賛助会員である建設会社が適正に管理している機材センターです。
 
現在,全国各地の建設会社やリース・レンタル会社の機材センターが「適用工場」として認定されており(図−5),令和2年9月30日現在,582機材センターがあり,図−6で示すように,その数は年々増加しております。最近の傾向としては,自社で足場などの設置作業などを行う会社の機材センターの認定が多くなっています。
 

図−5 適用工場の分布状況


 

図−6 適用工場推移




 

5. 今後の課題

近年,仮設機材も軽量化を目指してアルミ製品が多く使用されるようになってきています。製品によっては,鋼材に比べアルミ製品が高価なこともあり,部品交換が行われていることから,『[新版]経年仮設機材の管理に関する技術基準と解説』において,アルミ製品の部品の交換が可能な範囲を明確化し,修理技術の取得など社内教育の徹底を求めたところです。さらに,機材センターでの作業中の事故も発生していることから,『イラストによる機材センターの安全対策事例集』(写真−5)を作成するなど,さまざまな資料を作成し,注意喚起することにより,引き続き,機材センターでの安全作業の徹底が図られるようにしていきたいと考えています。
 

写真−5 イラストによる機材
センターの安全対策事例集




 
 
 

一般社団法人 仮設工業会 技術部長  武石 和彦

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2020年12月号



 

 

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