- 2021-09-21
- 積算資料
本調査も,第14回を迎えることができました。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により,東京オリンピック・パラリンピックの延期をはじめ,あらゆる経済界に経営の悪化,見直しという大きな課題を投げかけ,景気の低迷を来しております。
また,集中豪雨などの異常気象も発生しております。
建設需要に目を向けますと,インフラの整備や維持管理,災害復旧工事など公共工事に関しましては,大きな落ち込みはみられないものの,民間企業の設備投資等においては,経営悪化の影響から工事発注の減少がみられるように思えます。
しかし,どのような環境の変化があっても,安全で効率的な仮設機材の安定供給はこれからも維持し,建設業界および国全体の発展に寄与していかなければなりません。
本調査も第14回を迎え,隔年実施ということを考えると通算28年間の推移をみる貴重な資料となっております。
前回第13回調査(平成30年度)結果の過去最大保有量6,308億9,300万円と比較すると4.2%増の6,571億600万円となっており,保有金額は,増加の一途をたどっております。
賃貸収入におきましても,第13回調査結果で2,040億5,400万円であった金額が今回調査で,2,379億7,100万円となり,16.6%も増加したことが分かります。
また,保有量調査と並行して,「働き方改革」に関する調査を協会員の方々に対して実施しましたので,役立てていただければ幸いです。
この調査結果は本協会会員のみならず,多方面の関心も高くなっており,これからも継続して調査を実施してまいりたいと考えております。
第1部 軽仮設材の保有量に関する実態調査
第1章 調査概要
第1節 調査の目的
平成5年度に国土交通省の指導を受け,その後独自に隔年ごとに「軽仮設材の保有量に関する実態調査」を実施しており,今回で第14回の調査となる。
各協会員の軽仮設材の保有量を調査することで,現状認識や今後の営業戦略等の基礎資料となることを目的とする。
第2節 調査の概要
(1)調査内容
協会加盟の会員企業に対して,下記の内容について調査を実施した。
1.企業概要等
● 企業名等
● 資本金
● 売上高(直近の決算日(基準日),内軽仮設賃貸売上高,内兼業部門売上高)
● 記入者名等
● 事務所数(支店・営業所,機材センターまたは工場,生産製造工場)
● 従業員数(支店・営業所,機材センターまたは工場,生産製造工場)
2.軽仮設材保有量
● 枠組み足場類(枠組足場,くさび式足場,手摺先行部材等,長尺足場板,吊り足場,移動室内足場,脚立)
● 低層住宅用足場(一側足場)
● 型枠類(鋼製型枠)
● 支保工類(パイプサポート,システム支保工,四角支柱,支保梁,大型支保工)
● パイプ類(丸パイプ,角パイプ,クランプ類)
● 養生材等(仮囲い,メッシュシート,安全ネット,防音パネル,防音シート,仮設ハウス,備品,敷鉄板,保安機材)
● 上記に属さない機材(台車,レンタル用パレット,その他)
3.メーカーに対する要望
4.本調査アンケートに対するご意見,ご感想
(2)調査方法
調査票(アンケート)を郵送する書面調査。
(3)調査時期
● 調査票発送:令和2年6月1日
● 調査票回収:令和2年8月17日
● 集計・分析:令和2年8月20日~9月20日
(4)調査対象企業数
調査票発送企業:89社
第2章 令和2年度の調査結果
第1節 総括
(一社)軽仮設リース業協会では2年ごとに保有量調査を実施しているため,ここで過去の調査結果と比較を行う。
継続調査の観点から,軽仮設材の貴重な資料となることを目標とし,今後も過去に実施した調査との比較は続けていく。
なお,個別の調査結果は次節以降に記す。
過去に実施した調査結果と今回の調査結果を総括集計したものを表-1に示した。また,総括集計した結果,次のとおりとなった。
①会員数89社が調査票発送企業数であり,前回の平成30年度調査と比較すると,調査先の件数として変動はない。
②賃貸収入は前回の平成30年度調査と比較すると16.6%の増加となった。
③仮設材保有高は,過去最大であった平成30年度調査結果の6,308億9,300万円に対して,令和2年度調査結果は6,571億600万円であった。
比較すると4.2%の増加という結果になった。
④全社の社員数は,今回の令和2年度調査結果において16,180人となり,過去最大であった平成30年度調査結果の14,034人に対し15.3%増となった。
表-1内の軽仮設材保有量,賃貸収入,建設投資の総計(名目値)および新築住宅着工数の推移を図-1に示した。
これをみると,建設投資は,平成7年度79兆169億円から平成22年度41兆9,282億円までは右肩下がりの推移となっているものの,平成30年度(見込み)までは63兆3,800億円と平成24年度以降は連続で上昇し続けている。令和2年度についてはコロナ禍の影響もあり63兆1,600億円と若干減の見通しとなっている。
軽仮設材保有高は,平成12年度5,092億2,800万円を最大に平成18年度4,391億5,500万円まで下降していたものの,令和2年度では6,571億600万円となった。
年間賃貸収入は,令和2年度は2,379億7,100万円となり平成30年度と比較して16.6%増となった。
一方,新築住宅着工数は7.3%減の見通しとなっている。
現在,オリンピック需要がひと段落して,建築,土木工事における軽仮設材の出番は,その機会のピークを越えている。また,コロナ禍の影響もあり今後の先行きは不透明である。
協会会員各社において,今回の調査結果が今後の営業活動等の参考になればと考えている。


(本文で使用した参考文献等)
● 令和元年度建設投資見通し(国土交通省)
● 建築着工統計調査(国土交通省)
第2節 機材の保有状況
(1)全体概要
会員企業各社について,軽仮設保有地域別に仮設材保有量を調査した。その調査結果として,地域別に仮設材保有量を集計したものを表-2,図-2に示した。集計は,軽仮設材の保有地域別の区分で行った。
仮設材保有量では前回調査結果と比べ,北海道,中部,関西,中国,四国で仮設材保有量は減少したが,全国計では増加した。


(2)支部別軽仮設材保有量
仮設材保有量のうち機材ごとに保有量を集計した結果を表-3に示した。
軽仮設材保有量は,全国総合計で6,571億600万円であった。
その構成は,枠組足場類3,811億9,200万円,型枠類18億4,000万円,支保工類925億8,500万円,パイプ類612億1,300万円,養生材等841億500万円,その他361億7,200万となった。
地域別にみると前回調査結果と同様に,関東,関西,九州・沖縄のシェアが高い傾向が続いている(表-4参照)。
次に品目別にみてもシェアの高い関東,関西,九州・沖縄の合計では,枠組足場類63.2%,型枠類94.2%,支保工類は61.7%,パイプ類58.2%,養生材等61.1%と仮設材保有量が集中している結果となっている。
また,軽仮設材保有地域別の品目別仮設材保有割合をみると総計で,枠組足場類58.0%,型枠類0.3%,支保工類14.1%,パイプ類9.3%,養生材等12.8%となった。前回調査結果と比較すると,保有割合は支保工類で減少し,その他で増加している(表-5参照)。



(3)枠組足場類の保有状況
回答企業の枠組足場類の保有量を表-6に示した。
枠組足場類の保有量は,総合計で3,811億9,200万円であった。
その構成は枠組足場1,811億9,900万円(47.5%),くさび式足場952億7,000万円(25.0%),手摺先行部材等327億3,100万円(8.6%),長尺足場板363億1,400万円(9.5%),吊り足場196億9,900万円(5.2%),移動室内足場131億900万円(3.4%),脚立28億7,000万円(0.8%)となった。
前回調査結果と比較すると,枠組足場・くさび式足場で保有量が増加となった。
軽仮設材保有地域別の保有割合は,枠組足場類合計で関東が32.7%と一番高くなった(表- 7)。
なお,くさび式足場と低層住宅用足場(一側足場)は別枠※を設けて集計している(※(10)低層住宅用足場(一側足場)の保有状況を参照)。


(4)鋼製型枠の保有状況
回答企業の鋼製型枠の保有量を表-8に示した。
鋼製型枠の保有量は,全国計で18億4,000万円となった。前回調査結果と比較すると全国計で保有量は8億9,400万円減少となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,シェアの高い順から,関東71.4%,九州・沖縄22.7%となった。

(5)支保工類の保有状況
回答企業の支保工類の保有量を表-9に示した。
支保工類の保有量は,全国計で925億8,500万円となった。その構成は,パイプサポート175億3,200万円(18.9%),システム支保工619億9,400万円(67.0%),四角支柱18億2,100万円(2.0%),支保梁69億6,500万円(7.5%),大型支保工42億7,200万円(4.6%)となった。
前回調査結果と比較すると,大型支保工で減少した結果,支保工類合計でも減少となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,支保工類合計で,シェアの高い順から,関東37.4%,関西14.6%となった(表-10参考)。


(6)パイプ類の保有状況
回答企業のパイプ類の保有量を表-11に示した。
パイプ類の保有量は,総計で612億1,300万円となった。その構成は,丸パイプ322億3,200万円(52.7%),角パイプ71億5,600万円(11.7%),クランプ218億2,500万円(35.7%)となった。
前回調査結果と比較すると,総計で保有量は増加した。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合をみると,パイプ類合計で,シェアの高い順から,関東30.0%,九州・沖縄16.9%となった(表-12)。


(7)養生材等の保有状況
回答企業の養生材等の保有量を表-13に示した。
養生材等の保有量は,全国計で841億500万円となった。その構成は,仮囲い89億8,100万円
(10.7%),メッシュシート74億9,700万円(8.9%),安全ネット82億1,600万円(9.8%),防音パネル78億2,400万円(9.3%),防音シート33億2,600万円(4.0%),仮設ハウス190億2,100万円(22.6%),備品145億8,900万円(17.3%),敷鉄板127億5,700万円(15.2%),保安機材18億9,400万円(2.3%)となった。
前回調査結果と比較すると,保有量は仮囲い,メッシュシート,防音パネル,保安機材が減少し,全体としては微減となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合をみると,養生材等合計で,シェアの高い順から,関東34.2%,九州・沖縄15.5%となった(表-14)。


(8)上記に属さない機材のうち「その他」の保有状況
回答企業の「その他 上記に属さない機材」の保有量を表-15 に示した。
上記に属さない機材の保有量は,「台車」「レンタル用パレット」を別計上とし,全国計で361億7,200万円となった。
前回調査結果と比較すると,保有量は北海道,関西で減少したものの全体としては増加している。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,シェアの高い順から,関東38.6%,九州・沖縄18.0%となった。

(9)上記に属さない機材のうち「台車」「レンタル用パレット」の保有状況
回答企業の「台車」「レンタル用パレット」の保有量を表-16に示した。
上記に属さない機材の保有量は,全国計で「台車」62億5,700万円,「レンタル用パレット」101億4,400万円となった。
前回調査結果と比較すると,保有量はどちらも増加している。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,シェアの高い順から,「台車」で関東53.7%,関西19.4%,「レンタル用パレット」で関東48.1%となった。

(10)低層住宅用足場(一側足場)の保有状況
回答企業の低層住宅用足場(一側足場)の保有量を表-17に示した。
前回調査結果と比較すると,保有量は関西,九州・沖縄で減少した。全体としても減少している。
低層住宅用足場(一側足場)の保有量は,全国計で126億9,500万円となった。
次に,軽仮設材保有地域別の保有割合は,シェアの高い順から,関東36.2%,九州・沖縄20.5%となった。

第3節 メーカーに対する要望
メーカーに対して,製品開発についての要望等,意見に関するコメントの一覧を表-18に示した。

第2部 機材センターにおける働き方改革への取り組みに関する実態調査
第1章 調査概要
第1節 調査の目的
仮設業界の現状調査の一環として,軽仮設業界における機材センターの働き方改革への取組みに関する実態調査を行い,参考情報を得る事を目的とする。
第2節 調査の概要
(1)調査内容
協会加盟の会員企業に対して,下記の内容について調査を実施した。
1.週休2日制の導入について
2.時間外勤務の削減について
3.作業要員の確保状況について
4.有給休暇の取得状況について
(2)調査方法
調査票(アンケート)を郵送する書面調査。
(3)調査時期および調査対象企業数
第1部 軽仮設材の保有量に関する実態調査と同様。
第2章 調査結果
第1節 機材センターにおける働き方改革への取り組みに関する実態調査
(1)調査票の回収状況
令和2年5月現在の会員企業89社に調査票を発送し,73社について回収した(表-19,図-3)。
回収率は82.0%となった。


(2)週休2日制の導入状況について
設問① 機材センターで週休2日の導入を徹底することを検討されていますか?
有効回答73社を対象とし集計を行った(図-4)。週休2日制について,『導入済み』が32社(44%),『検討中』が15社(21%),『未検討』が20社(27%),『検討余地なし』が6社(8%)となった。
『導入済み』が最多ではあったものの,その割合は43%にとどまった。

設問② ①の設問で「導入済み」「検討中」と回答された方にお伺いします。
機材センターで週休2日の導入を徹底する場合,どのように対応されましたか?
(どのような対応を検討中ですか?)
有効回答47社を対象とし集計を行った(図-5)。週休2日制について,『土日の閉鎖で対応(検討)』が35社(74%),『週休2日相当の休暇をお互いにとることで対応(検討)』が8社(17%),『その他』が4社(9%)となった。
『土日の閉鎖で対応(検討)』が最多となった。

『その他』の内容について4社のうち3社から回答があった。

設問③ ①の設問で「導入済み」「検討中」と回答された方にお伺いします。
週休2日の導入を可能とするための条件は何でしょうか?
設問③の内容について以下のような回答があった。

設問④ ①の設問で「検討余地なし」と回答された方にお伺いします。
週休2日の導入が難しい理由は何でしょうか?
設問④の内容について以下のような回答があった。

【出典】
積算資料2021年2月号

最終更新日:2021-09-21
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