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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料 > 積算資料速報レポート > 【臨時特集】2022年度の資材価格動向を振り返る
積算資料2023年3月号(2月20日発売)速報(2023年2月17日発表)

歴史的な資材価格の高騰から高止まりへ~先行きは不透明感強まる~

1.建設資材価格指数の推移

2022年度は、前年度から続く世界的な資源相場の上昇の影響が国内の建設資材の取引価格に広範囲に波及した1年となった。
世界経済は2020年後半にコロナ禍からの立ち直りをみせ、それに伴って建設資材の原材料となる資源がひっ迫し高騰。
国内の建設資材市況は資源相場の上昇に押される形で騰勢を強めてきた。
これに2月のロシアのウクライナ侵攻や為替の円安基調が加わり、2022年度は国内の原材料調達コストがさらに上昇。
建設資材供給の川上に位置する資源の高騰・高止まりが建設資材の製造コストや輸送コストを直撃し、建設資材メーカーや流通筋ではコスト上昇分を販売価格に転嫁する動きが一段と加速した。
 
当会の調査に基づく建設資材価格指数の建築・土木総合(全国・2015年度平均=100)の推移をみると、2020年9月から昨年8月まで24カ月連続で前月を上回った。
その後も指数は小幅に上下しながら高い水準を維持、今年1月の調査では148.2まで上昇し、過去最高値を再び更新している。
ただし、指数を前年比でみると、昨年5月にプラス30.3ポイントとなったのをピークに増加幅は徐々に緩やかになっており、1月の指数は前年比プラス9.5ポイントまで縮小。
こうした指標から、足元では資材価格の上昇基調は沈静化しつつあるといえる。
 
建設資材価格指数(全国・2015年度平均=100)
 
価格指数の詳細は当会HP【建設資材価格指数】参照
 
 

2.複数資材で過去最高値を更新

2022年度は、国際資源相場の高騰の影響を受けた鋼材類や石油製品といった一次製品の騰勢が、それらを原材料とする二次製品へ波及した1年といえる。
特に生コンクリートやアスファルト混合物は、原材料であるセメントやストレートアスファルトが資源高を反映して史上最高値となったことから、コストの上昇分を販売価格へ転嫁する供給側の姿勢が強まり、全国的にこれまでにない規模と頻度で市況は上伸した。
「積算資料」掲載都市で、両資材の今年度1年間に変動した都市と全国平均単価を2021年度と比較すると、今年度の上昇傾向が際立っている(図-1)。
また、この他にも、異形棒鋼、コンクリート型枠用合板、電線・ケーブル、ガス管などは過去最高値を更新しており、2022年度は歴史的な資材価格の高騰局面だったといえる(図-2)。
 

図-1 2021・2022年度 生コンクリート・アスファルト混合物 変動都市数の累積と全国平均価格の推移

1.2021・2022年度 生コンクリート・アスファルト混合物 変動都市数の累積と全国平均価格の推移

 
 

図-2 2021~2022年度 主要資材価格推移(東京地区)

【鋼材】
 実需の後押しなく相場にこう着感。
 異形棒鋼は2カ月連続横ばいもエネルギーコストは上昇気配で先高観台頭。

品名/規格 単位 2021年
4月号
2023年
3月号
上昇額
(率)
先行き
異形棒鋼
SD295 D16 ②
78,000円 115,000円 37,000円
(147.4%)
H形鋼
200×100×5.5×8mm SS400②
83,000円 123,000円 40,000円
(148.2%)
鉄スクラップ
H2
33,000円 42,000円 9,000円
(127.3%)

 
【鋼材】実需の後押しなく相場にこう着感。異形棒鋼は2カ月連続横ばいもエネルギーコストは上昇気配で先高観台頭。
 
 
 
【セメント・生コンクリート】
 セメントの値上げ交渉が続く。
 生コンクリートは東京協組が4月から2,000円の値上げを表明。

品名/規格 単位 2021年
4月号
2023年
3月号
上昇額
(率)
先行き
セメント
普通ポルトランド(バラ)
10,800円 12,800円 2,000円
(118.5%)
生コンクリート
21-18-20 東京17区
m3 14,700円 18,200円 3,500円
(123.8%)

 

【セメント・生コンクリート】セメントの値上げ交渉が続く。生コンクリートは東京協組が4月から2,000円の値上げ表明。
 
 
 
【舗装用材】
 昨年急騰したストアスは原油相場の軟化を受け直近4カ月は連続で下落。
 混合物市況への影響が注目される。

品名/規格 単位 2021年
4月号
2023年
3月号
上昇額
(率)
先行き
ストレートアスファルト
針入度60~80
73,000円 94,000円 21,000円
(128.8%)
再生アスファルト混合物
再生密粒度13
8,200円 9,800円 1,600円
(119.5%)

 
【舗装用材】昨年急騰したストアスは原油相場の軟化を受け直近4カ月連続下落。混合物市況への影響が注目される。

 
 
 
【木材】
 高騰、高止まりが続いた型枠用合板は31カ月振りに下落。
 建築用木材は足元横ばい推移も先行き、弱含み。

品名/規格 単位 2021年
4月号
2023年
3月号
上昇額
(率)
先行き
杉正角材(KD)
3.0m×10.5×10.5cm 特1等
m3 60,000円 95,000円 35,000円
(158.3%)
コンクリート型枠用合板
無塗装品ラワン 12×900×1800mm
1,240円 2,150円 910円
(173.4%)

 
【木材】高騰、高止まりが続いた型枠用合板は今月31カ月振りに下落。建築用木材は足元横ばい推移も先行き弱含み。

 
 
 
 
 
【電線・ケーブル】
 主原料の銅価高止まりを背景に市況上伸。
 今月は2022年7月号以来の過去最高値水準に並ぶ。

品名/規格 単位 2021年
4月号
2023年
3月号
上昇額
(率)
先行き
IV電線
600V 単線2.0mm
37.7円 51.9円 14.2円
(137.7%)
CVケーブル
600V 3心38mm2
1,280円 1,785円 505円
(139.5%)

 
【電線・ケーブル】主原料の銅価高止まりを背景に市況上伸。
 
 

3.2023年度の見通し

世界的な景気減速懸念から、足元の海外経済は復調気運が弱い。
そのため、一部の国際資源には需給緩和の傾向もみられ、国内の調達コストは騰勢一辺倒だった2022年度から、分野によって差がある状況に変化している。
また、需要面でも再開発が進む首都圏などを除けば、内需は回復途上で力強さを欠いている。
しかし、エネルギー価格の上昇によるコストプッシュは2023年度も継続すると予想されることから、建設資材メーカーや流通筋では、需要者との価格交渉において慎重姿勢を崩していない。
こうした状況から今後も建設資材価格が大幅に下落する局面は予想しがたい。
最新の「積算資料」3月号でも、東京地区主要15品目の先行き気配は強含み4品目、横ばい9品目、弱含み2品目となっている。
先行き、不透明感は強いものの、総じて国内の主要建設資材は、現行水準を維持しつつ横ばいからじり高で推移する公算が大きい。
 
 
印刷用PDFは、こちらから。
一般財団法人 経済調査会 オフィシャルサイトへリンクします。
 
 
 

最終更新日:2023-07-18

 

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