鋼板 -月積み契約-とは
<資材の概要>
建築物、橋梁といった建材以外にも自動車、船舶、機械、圧力容器、ボイラー、タンクなど、様々な目的に使用される鋼材。素材をほぼそのまま使用することもあれば、二次製品の加工母材として使用されることもある。鋼板の厚みによって分類されるが、鋼板の圧延条件によって特性が異なるため、製造方法による分類も用いられる。
<資材の種類・規格>
1.熱延鋼板
厚さ3mm未満の薄板に分類され、ホットストリップミルで熱間圧延された鋼板および鋼帯(コイル)。主に1.2mm程度から圧延され、用途としては、建築、自動車、機械、二次製品母材などに使用される。最終製品に至るまでの工程が長いという特徴がある。
2.冷延鋼板
熱延薄板類を母材としてコールドストリップミルで冷間圧延された鋼板および鋼帯。熱延鋼板に比べ、厚さ精度が高く、薄肉のものが製造できるのが特長。また、冷間圧延の特性上、表面が美麗で加工性も優れているため、構造材よりも外装材や意匠用途として用いられることが多い。主に0.3mm程度から圧延され、用途としては、自動車、機械、家電、鋼製家具などに使用される。
3.厚板・中板
熱間圧延鋼板で板厚が6mm以上のものを厚板、3mm以上6mm未満のものを中板という(月積み契約鉄鋼販売価格では4.5mm以上6mm未満を中板という)。厚板と中板とをまとめて厚中板と呼ぶこともある。厚板ミルおよびホットストリップミルで圧延される。所定の厚さ、幅、長さに切断したものを定尺(品)といい、圧延後に板端の切断工程を通さない未整形のものを耳つきという。用途は土木・建築、橋梁などの建設向けのほか、産業・建設機械や造船、ボイラー、タンクなど幅広い分野で使用されている。
4.耐火鋼
FR鋼とも呼ばれ(Fire Resistant Steelの略)、鉄骨造建築物・構造物の耐火性性能確保に必要となる耐火被覆を低減、または省略することが可能な鋼材。一般の建築用鋼材と比較して高温時においても強度が高く、地震後の火災発生などを防止する観点から使用が期待される鋼材である。
5.建築構造用TMCP鋼
建築物の大型化・高層化にともなう高張力鋼の厚肉化に対応した鋼板で、主に40mmを超える構造部材に適しており、高強度、低降伏比に加え溶接性を高めた鋼材。
6.耐海水性鋼
海洋・海中構造物への使用を前提とした鋼材。
7.耐候性鋼
Cu、Cr、Niなどの合金元素を適量含有させた鋼材で、大気中での適度な乾湿の繰り返しにより鋼材の表面に緻密な錆が発生し、安定錆が逆に鋼材表面を保護する鋼材。
7.耐硫酸性鋼
ボイラーや煙突、集塵器など燃焼ガスに触れる部位について、燃焼ガスに含まれる微量のSO3が露点以下の温度で硫酸となり、鋼材に腐食の影響を及ぼす硫酸露点腐食や、ごみ焼却炉などで塩化ビニルなどの廃棄物から生じる塩酸が鋼材に腐食の影響を及ぼす塩酸腐食に対して効果を持つ鋼材。耐食性、耐酸性に優れている。
<適用規格>
1.形状、寸法、質量
JIS G 3193
2.鋼種
JIS G 3101(一般構造用圧延鋼材)
JIS G 3106(溶接構造用圧延鋼材)
JIS G 3113(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)
JIS G 3140(橋梁用高降伏点鋼板)
JIS G 3136(建築構造用圧延鋼材)
JIS G 3115(圧力容器用)
JIS G 3125(高耐候性圧延鋼材)
JIS G 3126(低温圧力容器用炭素鋼鋼板)
JIS G 3103(ボイラ及び圧力容器用炭素鋼及びモリブデン鋼鋼板)など
<資材の特徴>
需要分野が広いため、国内外問わず、鉄鋼生産の中心を担う存在である。国内では普通鋼鋼材の生産量の内、熱延薄板、冷延薄板、厚中板を合わせると40~50%、メッキ鋼板の母材としての用途を含めると60~70%を占めている。